A DIFFERENT PACE OF LIFE

リシャール・ミルが
もたらした時間の贅沢

Friday, September 4th, 2020

リシャール・ミルがタイトルスポンサーを務める「ラリー・デ・レジェンド リシャール・ミル」が、昨年スペインのアンダルシア地方で開催された。

日々のプレッシャーや息が詰まるような時間の制約から逃避できる、他では味わえない貴重なラリーに参加した。

 

 

text frédéric brum  photography mathieu bonnevie

 

 

 

 人生において最も大切な要素は“時間”だ。スペイン南部・アンダルシア地方にあるロス・アルブレホス牧場に到着した私たちは、その重要さを知ることとなる。名門ドメック家が創設し、現在は政治家、実業家、ワインメーカーでもあるアルバロ・ドメック氏が指揮を執るこの牧場は、数十年にわたり闘牛の飼育にこだわり抜いてきた。闘牛は一生のうち最期の15分(試合時間)にしかスポットが当たらないが、ドメック氏はむしろそれまでの長期間に及ぶ慎重な選定プロセス、さらに動物への愛情から導き出された彼の飼育について熱を込めて説明してくれた。1頭の雄牛のトレーニングを終えるのに6~8年かかることもあるという。

 

 牧場では馬術ショーと、迫りくる闘争心むき出しの勇ましい雌牛と度胸試しをするデモンストレーションを見学して手に汗握った後、ドメック家のプライベートガーデンでランチをとり、アンダルシアの文化にどっぷり浸かった。毎年多くの観光客がこの地方を訪れているが、歴史や伝統にこれほど深く入り込んだことがある人はごくわずかだろう。

 

 

時計師でもデザイナーでもなく、「ウォッチコンセプター」として自身の名を冠した高級時計ブランドを率いるリシャール・ミル氏。大のクルマ愛好家、コレクターとしても知られる。

 

 

 大成功を収めているウォッチコンセプターというだけでなく、スポーツカーのコレクターとしても知られるリシャール・ミル氏は、“時間”の価値を知っている。1964年製フェラーリ 250 GT ベルリネッタ・ルッソから降りて姿を現すと、しばしの間、ピニンファリーナがデザインしたこの美しいクルマの形状を眺めていた。ヘーゼルナッツブラウンの内装は、スティーヴ・マックイーンの愛車を思い起こさせる。アンダルシアの曲がりくねった道を走るには最高の1台だ。

 

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