THE SHUTTER SCENE by JAMIE FERGUSON
人気フォトグラファー、ジェイミー・ファーガソンの視点に学ぶ装い
October 2021
クラシックをよく知るウェルドレッサーでありながら、「自分」をもった装いを好む氏が捉える被写体には、しばしば斬新なツイスト感がある。
その中からTHE RAKEが選んだ、アメリカとフランスのふたり。
Jamie Ferguson ／ ジェイミー・ファーガソン1983年、トロント生まれ。98年よりロンドン。アバディーン大学を卒業後、メンズウェアの世界に入る。ドレイクスでマーケティングやオンラインコンテンツの仕事に携わったのち、2015年にフォトグラファーとして独立。2019年、写真集『Portraits of Modern Men’s
Style』を刊行。
ネイビーストライプの
フランネルスーツにデニムウエスタンシャツ
Matthew Woodruff ／ マシュー・ウッドラフ1990年代初頭にイーストテネシーで生まれ、8年前よりニューヨーク在住。ドレイクス NY店のマネージャーを経て、2018年よりJ.Mueserのクリエイティブ ディレクター。最高にクールな面々とともに2019年にスタートしたBullshot Book Clubでは、プレジデントも務めている。
着用のブランドは、すべてJ.ミューザー。従来、クラシックなストライプスーツはどこか堅い印象があったが、デニムウエスタンシャツでこうも巧みにドレスダウンしているのはサスガだ。同店では、ハリウッドからカントリークラブ、ダウンタウンのギャラリーからアップタウンのオペラボックスまで、アメリカの最高のラグジュアリーをイメージしたスタイルを築ける。
マシュー・ウッドラフ氏はニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにブティックを構えるオーダーメイド・テーラーリングハウス「J.ミューザ―」のクリエイティブ ディレクターを2018年から務めている。また、NYに住む9名の仲間たちと四半期ごとに集まり、お気に入りカクテルの“ブルショット”とともに食事や酒を楽しみながら読書中の本やファッションや進行中のプロジェクトについて語らい合う「ブルショット ブック クラブ」のプレジデントという顔ももつ。
ドレイクスあがりの氏はこのふたつのプロジェクトを通してNYにツイスト感のある新しいムーブメントを巻き起こしている。J.ミューザーではテーラーリングをよりモダンで身近な存在にするべく、レディメイドもスタートさせた。全身J.ミューザーの彼の装いはスーツにウエスタンシャツとスリムベルトの合わせが新鮮だが、何よりクールなのは、スーツがチョークストライプという点である。
ダブルブレステッドの
ストライプスーツにタートルネックニット
Gauthier Borsarello ／ ゴーティエ・ボルサレロ1988年、パリ生まれ。2018年に『L’Etiquette』誌を創刊し、編集長兼ファッション ディレクター。2018年にはアメリカンヴィンテージウエアを扱う「Le Vif」をオープン。また、メンズショップ「De Fursac」のクリエイティブ ディレクターを今年より務めている。
ハズバンドのスーツに、スタイルディレクターを務めていた「ホリデー ボアロ」のキャップ、ジョン スメドレーのタートルネックニット、タルトオプティカルのヴィンテージサングラス。そして手には1940年代のヴィンテージロコジャケット。ダブルブレステッドのストライプスーツを見事にドレスダウンした、最高にクールな装いだ。
今年から英語版もスタートして注目度がさらに増しているパリ発の『L’Etiquette（エチケット）』誌を開くと、現代版『チープ・シック』とでもいうべきパリの空気がこれでもかとばかりに襲いかかってくる。それの編集長兼ファッション ディレクターが、ゴーティエ・ボルサレロ氏だ。
音楽家の家庭でコントラバス奏者として教育を受けた氏は、コンサートで訪れた先でヴィンテージショップを巡るのが趣味だったというほどの筋金入りのヴィンテージウェアコレクター。ラルフ ローレンでヴィンテージの専門家として働いていたこともある。今日、自身のヴィンテージショップ「Le Vif」をパリ16区にもつほどだ。
写真ではダブルブレステッドのチョークストライプスーツをタートルネックニットとベースボールキャップで洒脱にドレスダウン。手にはヴィンテージのロコジャケット。なんという自然なツイスト感、これぞパリ。大いに参考にしたいところだ。
