THE LIFE TEUTONIC

ゲルマンの遊び人たち

February 2018

text nick scott

夫人のグロリアとプリンス・ヨハネス(第36回エイプリル・イン・パリ・ボールにて、1987年)

 デイリーメール紙から「いつも日焼けしているヒップスター」と呼ばれるロルフ・エデンだが、その興味深い生い立ちが最近明らかになった。子供の頃にナチス・ドイツから亡命した彼は、イツハク・ラビンのもとで1948年の第一次中東戦争に参戦したそうだ。

 これほど想像をかき立てるエピソードにもかかわらず、地元のマスコミからは「最も厄介なベルリンっ子」という栄誉ある称号を贈られている。77歳だからといってセックスを断った19歳の女性を年齢差別で訴えたことが、理由のひとつかもしれない。

遺伝する浪費癖 遊び人の三大要素といえば、富、階級、そして快楽主義だが、このうちのふたつが突出していれば3つめはどうでもいいという場合も多い。だが富には、節度という名のとりすました愛人がついてくることもある。バイエルンの億万長者、プリンス・ルパート・ローウェンスタイン(ザ・ローリング・ストーンズの財務マネージャーを長年務めた銀行家であり貴族)はミック・ジャガーやキース・リチャーズといったメンバーとの関係から「ルーピー・ザ・グルーピー」の愛称で親しまれていたが、彼自身は趣味のいい資産家だから同バンドのロックンロールなライフスタイル(やその音楽)には馴染めないと感じていた。

 何しろ、このバイエルン貴族はトリエント・ミサの順守を嘆願するような敬虔で超保守的なカトリック教徒である。聖ジョージ騎士団の審問長官であり、マルタ騎士団の英国支部長でもあった。この点、ローウェンスタインは例外であるが、ザックスやアルフォンソのライフストーリーからは、莫大な富という風を受けながら豪華なヨットで帆走する、富裕なエピキュリアンの人生航路が垣間見える。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 12
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