RULE BRITANNIA
“英国流イタリア服”が一番新しい
ANGLO ITALIAN(アングロ・イタリアン)
April 2023
Alex Pirounis / アレックス・ピロウニス(左)1988年、イタリアのビエラ生まれ。イタリアとギリシャのハーフ。シンガポールとローマで育ち、ロンドンの大学で国際政治を学ぶ。父がビエラ有数のミルに携わっていたので服地に親しい環境で育つ。2011年、ナポリのキートンのMTMで働き、香港のアーモリーを経て、2015年にアングロ・イタリアンをオープン。
Jake Grantham / ジェイク・グランサム(右)1988年、英国、ロンドン生まれ。ティーンエージャーのときからサヴィル・ロウで働き、その後、ドレイクスに勤める。22歳のときに香港に移り、アーモリーで働き始める。同店のバイヤー兼商品開発デザイナーとなり、ニューヨークストアに勤務。クラシックをカジュアルダウンするセンスには定評がある。
ジェイク・グランサム氏とアレックス・ピロウニス氏が2015年にアーモリーを離れて以来、ふたりが店を出すという噂は業界で大きな注目を集めていた。
2年後の2017年5月、メリルボーンにオープンした彼らのストアはその名も“アングロ・イタリアン”。コンセプトは英国とイタリアのハイブリッドだ。
「売りはイタリアの仕立てのコンストラクション(構造)を持つ、英国テイストのメンズウェア。英国テイストとはいっても、クラシックなメンズウェアの店によくあるウィスキーや重厚なウッドといった、ステレオタイプなイメージを一掃したいと思ったんだ」
こう語るグランサム氏の言葉通り、店内は“イタリアン・トニック”の20年代のヴィンテージ・ポスターが目をひく、クールでモダンな空間となっている。そのイメージは彼らの着こなしと共通だ。
「ロンドンに店を持つことは長年の夢だった。この店はとても個人的なアプローチで、自分たちが着たいもの、毎日着てるものを売ってる」と、グランサム氏。
一方で、自分たちの店を立ち上げた経緯をアレックス・ピロウニス氏はこう語る。
「今は大半の店が同じものを売ってるが、ここではすべてがここにしかないオリジナル。スーツやジャケット、シャツはナポリ製だ。ナポリのハンドメイドだからできる、着ているうちに身体に馴染む製品を、誰もが手の届く価格で販売したいと思ったからだ。基本のパターンはひとつだが、ショルダーのタイプを選べて、カスタムすれば誰にでも合うパターンを開発した。店には今までこの業界で働いてきた10年の経験が生かされてる」
加えて、彼らが独自のルートでイタリアと英国のミルから手に入れたファブリックもすべてエクスクルーシブだという。
会った瞬間からお互いを理解しあえたと語るふたり。進化するロンドンのメンズウェアに新たな選択肢が加わった。
1パターンのみというハウススタイルは広めのラペルに袖山はクリーンだがパッドなしのカッタウェイフロント仕様となっている。ナポリ製で袖付け、カラー、ラペル、キャンバス、ボタンホールはハンド、ライニングはハンドステッチだ。既製服はジャケット1,150ポンド~、MTMは1,420ポンド~、スーツは1,700ポンド~。
ピーコートやボンバージャケットなどカジュアルにも対応している。
左:トラベル・フランネルはダグデイルブラザーズに別注した13オンス。右:シャツもナポリ製。スプレッドカラーとボタンダウンの2種類が用意されている。
店のあるメリルボーンはモノクル本社やメンズウェアストアのトランク等があり、業界でも注目のエリア。元は理容店だった店のファサードは30年代オリジナルのガラスとグリーンのアイアンワークが目印。
ANGLO ITALIAN57 Weymouth Street, London, W1G 8NP
TEL +44(0)20 7183 4492
www.angloitalian.com
本記事は2018年1月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 20