July 2022

RED TARTAN by JEREMY HACKETT & VITALE BARBERIS CANONICO

ハケット氏、タータンの着こなしを考える

ブリティッシュネスの象徴ともいえるスコティッシュタータン。
ジェレミー・ハケット氏がウェルドレスに着こなす方法をTHE RAKE JAPANの読者に向けて、持ち前のユーモアとともに伝授する。
text yoshimi hasegawa
photography nick tydeman

サヴィル・ロウストアに現れた英国王立騎兵隊を馬の朝食用のミニキャロットとともに満面の笑みで迎えるハケット氏。

 集合時間は朝7時。この時期(本記事掲載号は3月25日発売)のロンドンはまだ朝靄の中だ。昼間の喧騒が噓のように、サヴィル・ロウは静寂に包まれている。突如として馬の蹄の音が響き渡り、英国王立騎兵隊が朝靄の中から姿を現した。さあ、撮影の始まりだ。

 サヴィル・ロウ14番地、J.P.ハケットサヴィル・ロウストアの前にずらりと4頭の騎馬隊が並ぶ。その様は壮観だ。

 白いドアが開くと、そこにはスコティッシュタータンのドレッシングガウンを羽織ったジェレミー・ハケット氏が現れ、友人である将校たちに挨拶した。王立騎兵隊である彼らは英国陸軍の最上級連隊で、ライフガーズとブルースアンドロイヤルズで構成されている。今日は特別に朝の訓練を終えた友人をハケット氏が朝食に招いたという趣向である。

 着用しているドレッシングガウンは英国王室スチュアート朝由来のレッド、グリーン、ネイビーのパターンの構成に、ダークネイビーのパイピングがあしらわれ、胸ポケットにはちゃんと馬たちの朝食用にミニキャロットが入っていた。

「サヴィル・ロウでの朝食へようこそ」

 ハケット氏はシルバートレーからまず馬用にミニキャロットを振る舞った。 次に、将校たちにミニハンバーガーとペストリー、熱いコーヒーが振る舞われた。突然の王立騎兵隊の出現に、これを記念にと街頭で写真を撮る人も現れ、朝のサヴィル・ロウは騒然となった。

「ハケットがポロ競技のスポンサーになった縁で、王立騎兵隊の将校と仲良くなった。友達の将校にTHE RAKE JAPANの撮影があるから、朝食に来ないかと誘ったんだ。ドレッシングガウンを着て、家で寛いでいたら騎兵隊が訪ねてくるなんて、楽しいサプライズだろう?」と笑う。

リラックスウェアをドレスアップするには?その答えとなるのがドレッシングガウンだ。華やかさと温かみを与えるレッドタータンは自然な色合いが重要だ。胸のポケットにはテディベアとシガーを入れて見る者を微笑ませるユーモアも忘れずに。普段ドレスウォッチは好まないが、その中で数少ないお気に入りがカルティエのタンクだ。中でも希少な限定のブラックセラミックのタンクを所有。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 45
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