INVEST: GAZIANO GIRLING SPECIAL BESPOKE
チャールズ皇太子と同じ靴を作る
July 2022
チャールズ皇太子がオーダーしたのと同じ、ガジアーノ&ガーリングを代表するモデル、セント・ジェームズ。デザイン自体は伝統的なアデレード・スタイルだが、トニー・ガジアーノならではのバランスのとれたパターンが美しい。ダークマルゴーは、濃いベージュのクラストレザーから顔料を使いパティーナ仕上げを施してある。実にノーブルな雰囲気の一足だ。約£1,600~(パターンオーダー価格)Gaziano & Girling
ガジアーノ&ガーリング(以下G&G)は、英国を代表する靴ブランドのひとつだ。2006年創立と英国のシューメーカーとしては後発でありながら、流麗なデザインと素晴らしい履き心地で知られている。あのチャールズ皇太子も工場を訪れ、同社の靴をオーダーされたという。G&Gの共同設立者である日本人、長谷川雅一氏に経緯を伺ってみた。
「チャールズ皇太子は常に英国各地を回られているのですが、2019年1月にノーザンプトン州を訪問された際に訪れたのがふたつの靴工場でした。ひとつは一番古いトリッカーズ、そして100年以上ぶりに新設されたG&Gの工場でした。皇太子は2時間かけ、ひとつひとつの工程を熱心に見てくださいました。工場訪問の最後に皇太子のために作ったセント・ジェームズを進呈したのですが、残念ながらサイズが合わなかったので、その場ではお持ち帰りいただけませんでした。しかし、翌日にヴァレーから連絡があり、家族に見せたいので、ロンドンのクラレンスハウスに送って欲しいという依頼があり、直ぐにお送りいたしました。その後、再び連絡があり、靴自体のクオリティに感銘を受けていただいたようで、ハリー王子にピッタリ合うので、そのままキープしてもよいか? そしてご自分で履かれる靴の注文を受けてくれるかと打診されました」
皇太子のオーダーシート。デザイン、ラストシェイプに関しては1930年代にロンドンで履かれていたような靴がメインコンセプトだ。皇太子の足のサイズは9で、ライニングはナチュラル、2足同時に注文、納期はASAP(可能な限り早く)だとわかる。
皇太子はなぜこのモデルを選んだのか、どんな注文をされたのだろう?
「モデルを選ばれた理由はわれわれが最初に献上したモデルがセント・ジェームズであったので、われわれのセレクションを尊重してくださったのだと思います。チャールズ皇太子はとてもきめ細かく周りの人々に配慮される方です。色はダークマルゴー、そして基本の黒の2足をご注文なさいました。黒、茶系の2足をまとめてというのはとても多い注文の方法です。外反母趾の痛みに悩まれていて、ストレスなく履ける靴が、50年間履き込んだ2足しかないと仰っていました。歩くことが非常に多いので、とにかく足に優しい靴を作ってしいというご依頼でした。靴を受け取ったときの皇太子は、最初からストレスなく履けたので、大変に喜んでくださいました」
今回、皇太子と同じ靴が、G&Gのパターンオーダーにて入手可能になったという。日本でも定期的にオーダー会が開かれているから、「ロイヤルな」履き着心地を堪能できる。ただし、プリンス・オブ・ウェールズの紋章である三本羽根のメダリオンは、皇太子専用となっている。
左:ノーザンプトンにあるガジアーノ&ガーリングの工場を訪れた際の皇太子。ひとつひとつの工程を丁寧に見学され、靴職人とも親しく言葉を交わされた。右:プリンス・オブ・ウェールズ専用のメダリオン(ダチョウの三本羽根の紋章)が施された、実際に皇太子に収められた一足。この紋章ばかりは、リクエストがあっても受けられないという。
左:今回、当誌編集長・松尾(右)もチャールズ皇太子と同じセント・ジェームズを注文した。都内ホテルにて、定期的に開かれているオーダー会では、さまざまな素材とスタイルを選ぶことができる。右:オーダーの相談や採寸を担当するのは、G&Gの共同設立者である長谷川雅一氏(左)とご子息の依世理氏(右)。非常にエクスクルーシブな催しだが、本誌読者であれば、どなたでも参加が可能だ。
お問い合わせ先
長谷川雅一
masaichi@gazianogirling.com
TEL.070-3998-5445
本記事は2022年3月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 45