Dressing for a New Era Part1
鴨志田康人:大研究 Vol.2
新時代のカントリー・ジェントルマン
April 2021
日常のカジュアルウェアをどう捉えるべきか?
新たな時代のライフスタイルウェアについて語る。
photography tatsuya ozawa
ブルゾンはクルチアーニのスエード、カシミアマフラーはジョンストンズ オブ エルガン、トラウザーズはベルナール ザンス。バッグはアライア、ゴルフバッグはジョーンズ。シューズはチャーチの英国海軍ヴィンテージ。「全体がフラットなのでマフラーで柄物を加えた。ちょっとテクスチャー感がほしい。巻き方は気分。マフラーの楽しさは全体のボリューム感やバランスをいろいろ遊べるところ」
鴨志田氏が好んで使うキーワードに“カントリー・ジェントルマン”がある。シティでフォーマルな装いのジェントルマンに対し、カントリーサイドでのインフォーマルなスタイルがそのコンセプトだ。
一般的に言って賛否両論あるゴルフウェアだが、ゴルフは鴨志田氏自身の趣味でもある。果たしてゴルフの行き帰りにどんな着こなしをするのか。
「このゴルフ場を選んだのは、構えたゴルフ場が多い中、ここはひとりでもセルフで回れて、ゴルフを日常的に楽しめる。気負いのなさは、いい意味でカントリー・ジェントルマンのスタイルと通じています」
同時に今日のカントリー・ジェントルマンのコンセプトはカジュアルウェアにも通じている。
「カジュアルも格好良い人を俺は認めたいし、カジュアルが格好良い人ほどスーツスタイルも格好良いものです。スーツだけ着ていて格好良い人がいるとして、この人なにか変だなと思うとたいがいカジュアルが変なんです」
誰もが履いているデニムの穿き方ひとつにも法則がある。
「若い頃はスティーブ・マックイーンとかいろいろ見て勉強しました。微妙な腰穿き具合、ヒップの余らせ具合、一定の法則がある。だからリーバイスのオールドがかっこいいよね、となる。カジュアルに法則がないかというと、スーツの着こなしと同じようにある」
カジュアルスタイルとスーツスタイル、実は着こなしにおいて共通なのだと鴨志田氏は言う。
「クラシックなアイテムはなんてことない。自然でオーソドックスでクオリティは高いけど特徴はない。それをこの人がこうやって着ることによって、全然違うものに生まれ変わる。それがクラシックスタイルの面白さ。もし読者が鴨志田的なスタイルがいいと思うなら、そういうクラシックとの付き合い方をしている、そこを評価されているんじゃないかと思います。カジュアルなスタイルでもルーツのあるものをベースに、それをアップデートさせる。違う素材を持ってきて組み合わせるほうが面白い。そういう足し算、掛け算的なもののほうが好きですね」
コートはリヴェラーノ&リヴェラーノのハウスカットのアルスターコート。セーターはクルチアーニ、スカーフはベグ。シューズはクラークスのワラビー。トラウザーズは80年代復刻版ワイドシルエットのベルナール ザンス。「細身のパンツに飽きたし、こういうシンプルな格好のときはシルエットで新鮮味が出せる。黒にエクリュのミニチェックとか、ほっこりした感じをクールに着るのが今の気分」。
撮影協力:ブリック&ウッドクラブ
THE RAKE JAPAN EDITION issue 38