FAV LUX Miyazaki

「FAV LUX 宮崎」は、シティステイをどう変えるのか

October 2026

街で食事を楽しみ、ホテルに戻ってからもゆっくり過ごす。広い客室とサウナを備えた「FAV LUX 宮崎」は、都市での滞在に何を加えてくれるのか。大淀川沿いの一泊と、霞ヶ関キャピタルでホテル開発を統括する樋口達夫氏の言葉から、その狙いを読み解く。

 
 

text Nobuhiko Takagi

 
 

二面の窓から大淀川を望む、FAV LUX 宮崎のサウナスイート。リビングから専用バルコニーへと視線が抜け、83㎡の客室に開放感をもたらす。

 

 宮崎には、海辺で過ごす楽しみも、市街地へ出かけて地元の食を味わう楽しみもある。今夏、家族で訪れた際は、市街地に近い宿で過ごした。2026年7月に開業したばかりの、FAV LUX 宮崎である。

 ホテルが建つのは、大淀川沿い。繁華街の西橘通り、通称「ニシタチ」へも歩いて出かけられる場所だ。市街地近くに泊まる利便性がありながら、川に面した客室には視界が開ける心地よさがある。夕食は周辺の飲食店へ出かけ、宮崎の味を楽しんだ。ホテルと食事先が近いと、移動に大きく時間を取られずに済む。この立地の使いやすさは、実際に泊まってみてよくわかった。

 
 

大淀川沿いに建つFAV LUX 宮崎。宮崎空港から車で約20分、繁華街のニシタチへも徒歩で出かけられる。

 

 一方、客室については、外へ出かけるための便利な宿というだけでは語りきれない。二面に窓を設けた「サウナスイート」は、川の眺めと開放感が印象的で、広々ゆったりと過ごせた。客室内にはプライベートサウナもある。外出先へのアクセスに加え、部屋で過ごす時間も楽しみにできる。その両方を備えていることが、FAV LUX 宮崎に泊まって感じた魅力だった。

客室で過ごす時間を旅の楽しみに

 サウナスイートは、全41室の中にたった一室だけ設けられた83㎡の客室だ。40㎡の専用バルコニーを併設し、クイーンベッド2台とシングルベッド2台を組み合わせたバンクベッドを備える 。定員は最大6名。人数の多い旅でも、同じ客室で過ごせるつくりである。

 
 

大きなソファの奥にベッドを配したサウナスイート。クイーンベッド2台とシングルベッド2台を備え、最大6名が同じ一室に泊まれる。

 

 この広さは、同室に泊まれる人数を増やすだけのものではない。食事に出る前にひと休みしたり、戻ってからその日の出来事を話したりする場所にもなる。家族や友人と出かける旅では、観光地やレストランでの体験と同じくらい、こうした時間が印象に残ることがある。客室自体に余裕があれば、外出と外出の間にも、ホテルへ戻って寛ぐ予定を入れたくなるものだ。

 FAV LUXを手がけるのは、霞ヶ関キャピタルグループのFHG hotels株式会社。家族や友人とのグループステイを軸とする「fav」の上位ブランドが、FAV LUXにあたる。ホテル開発を統括する霞ヶ関キャピタル取締役上席執行役員の樋口達夫氏は、その違いをこう説明する。

「FAV LUXは、favの『みんないれば、もっと楽しい』というグループステイのコンセプトはそのままに、客室と施設コンテンツを引き上げたブランドです」

 従来のfavが客室とカフェを中心としたシンプルな構成だったのに対し、FAV LUXではサウナや大浴場、飲食施設などを充実させたという。「ホテルの中での滞在そのものを楽しんでいただける設計にしています」と樋口氏は続ける。広い一室に泊まることを基本に、そこで何をして過ごすかまで考えた発展といえる。

夕食へ出かける前に、サウナを楽しむ

 サウナスイートであれば、外から戻ってひと息ついた後、夕食へ出かけるまでの時間にサウナを楽しむ過ごし方ができる。サウナへ行くために客室を出る必要がなく、同行者が部屋で寛いでいる間にも、自分のペースで利用できる。予定を詰め込んで外出する日にも、ホテルでゆっくり過ごす日にも、客室の使い方が広がる。

 
 

サウナスイートのバスエリア。METOS社製のプライベートサウナを備え、外出から戻っても、客室の中で入浴とサウナを楽しめる。

 

 一方で、共用の「Spa & Sauna」も備えている。フィンランド式とモリス式を組み合わせたサウナに、水温の異なるふたつの水風呂、内湯、外気浴テラスという構成だ。水着着用で利用するため、友人同士やパートナーと一緒に楽しめる。

 
 

大きな窓を設けた共用サウナ。水着着用のSpa & Saunaでは、友人同士やパートナーと一緒に温冷浴を楽しめる。

 

 滞在中にまとまった時間を取ってスパへ出かけるのもいいが、ホテル内にあれば、その日の外出予定に合わせて組み込みやすい。観光から戻ってサウナへ向かい、その後は近くの店で夕食を取る。翌日は少し早くホテルへ戻り、客室でゆっくり過ごす。街に泊まる機動力に、ホテルで寛ぐ楽しみが加わる。

 
 

共用スパの水風呂と外気浴スペース。水風呂から上がれば、そのまま椅子でひと休み。ホテルに戻ってからも、ゆっくり過ごす場所がある。

 

 館内には、標高2500m相当の低酸素環境を再現する24時間営業のジム「LOX-Fit」もある。旅先でも運動の時間を取りたい人に向けた設備だ。サウナを楽しみに訪れる人も、トレーニングを日課にしている人も、自分の過ごし方に合う設備を選べる。

宮崎でこの滞在が成り立つ理由

 サウナや客室に滞在の楽しみを持たせる一方で、ホテルの外へも出かけてもらう。宮崎という土地を選んだ理由には、その両立があるという。樋口氏は、温暖な気候、青島や日南海岸の海、ゴルフやサーフィン、神話ゆかりの場所、食文化など、グループで旅を楽しめる要素が揃っていることを挙げた。そのうえで、大淀川沿いにあり、空港や繁華街へもアクセスしやすい場所なら、「街へ出かける、自然を楽しむ、ホテルに戻ってみんなで過ごす」という滞在が成り立つと考えた。海やゴルフ場へ足を延ばす旅行にも、市街地で食を楽しむ旅行にも対応できる。その接点にホテルを置こうという狙いである。

「日中は海やゴルフ、観光を満喫し、ホテルに戻れば広々とした客室でゆったり休み、スパ&サウナで心身を整える。外で遊び、ホテルで回復するという往復を、滞在の軸として意識しました」

 今回も、周辺での食事の楽しみと、川を望む客室の快適さが、ひとつの滞在につながっていた。海沿いで過ごす旅の最後に、市街地での一泊を加えるのもいい。食事を目的に宮崎を訪れ、店を巡る合間にサウナや客室で寛ぐ。そんな旅なら、このホテルの立地と設備を生かせそうだ。

 館内のオールデイダイニング「KITCHEN BY fav」では、日南鶏など宮崎の食材を使い、朝食から夕食まで提供している。外食を楽しむ日も、移動を終えて館内で食事を済ませたい日もあるだろう。食事の選択肢がホテルの内外にあることは、同行者の予定や体調に合わせて過ごしたい旅にもありがたい。

 
 

木の大テーブルやソファ席を配したKITCHEN BY fav。日南鶏など地元の食材を取り入れ、朝食から夕食まで提供する。

 

滞在の違いを ブランドの個性に

 このホテルの位置づけは、霞ヶ関キャピタルの他のブランドと並べてみるとさらにわかりやすい。樋口氏によれば、FHG HOTELSが共通して掲げるのは「self hospitality」。旅の目的ごとに異なる軸を持つブランドを展開している。

 ハイエンドラインの「seven x seven」では、プールやサウナ、バー、レストランなど、ホテル内で遊ぶ施設を充実させる。「edit x seven」は、その世界観を継承しつつ、グループステイ向け客室や貸切サウナなどを通じ、自分で旅を組み立てる滞在を提案する。都市のカルチャーとつながる「BASE LAYER HOTEL」、食やアート、建築を通して土地の文化に触れる「HOTEL FORK & KNIFE」もある。

 その中でFAV LUXは、グループで泊まれる客室を土台に、サウナや食事を楽しむ場所を加えたブランド。同じ系列であっても、ハイエンドのリゾートと、都市での外出や寛ぎを組み合わせるホテルでは、担う役割が違う。旅の目的に合わせて選べることに、複数ブランドを持つ意味が見えてくる。

 FAV LUXは、2027年2月に旭川、同年4月に名古屋丸の内での開業を予定している。土地が変われば、周辺で楽しめることも変わる。その土地での楽しみと、ホテルで過ごす時間をどう組み合わせるかに、今後も注目したい。

 
 
 

FAV LUX 宮崎

宮崎県宮崎市橘通東1丁目2-24

050-1724-9826

https://fav-hotels.com/hotels/lux/miyazaki/