UNION MAN : DAVID MASON
マイナーな英国ブランドのチャンピオン
September 2020
マイケル・ケインはカーリー&パクストンのメガネをご愛用。
製品だけでは不十分。ブランドが必要だ
「私は英国ブランドをサポートすることに情熱を傾けています。あまり知られていないメーカーを発掘し、映画や音楽などのストーリーを通じて、有名ブランドに育てるのは、素晴らしい冒険です。アンソニー・シンクレアを始めたとき、多くの小さな英国ブランドが、失われつつあることに気づきました。1960年代後半、英国のファッションは強力でした。例えば、『ミニミニ大作戦』のような映画を例に取ると、マイケル・ケインのテーラー、ダグラス・ヘイワードは、映画の冒頭にクレジットされており、ミスター・フィッシュはケインのシャツメーカーとして、映画の中に登場します。その時点では、ミスター・フィッシュは、時代における最もスタイリッシュな映画で取り上げられるほど、クールだったのです。しかし、1970年代の半ばになると、アルマーニ、ヴェルサーチ、ラルフ ローレンなどが表舞台に登場し、英国ブランドを吹き飛ばしてしまいました。それはすべてクラフツマンシップではなく、ブランド・アイデンティティの問題だったのです。あれから英国のメンズウェアが、本当に復活したとは未だに思えません」
人々はよい物語とつながる
「アルマーニとラルフ ローレンは、創業時から、ストーリーを語るのが得意でした。職人は多くの場合、製品だけに集中しがちです。ヘリテージブランドは、自分を宣伝することに長けていなかったのです。今日、その素晴らしいストーリーが、まだ明らかにされていないブランドがたくさんあります。そのようなストーリーを、顧客に伝えることが重要なのです。カーリー&パクストンはいい例です。マイケル・ケインが『ミニミニ大作戦』で着用したイヴァンフレームを、セットバックしたラグと六角形に配されたピンで再登場させて、ブランドをリニューアルしました。今は、コレクションをヴィンテージ風のメンズとレディスのフレームに拡大しようとしています。なぜならカーリー&パクストンは、もともと男女どちらの商品も提供していたからです。重要なのは、ブランドが全盛期に行ったことに忠実であることです」