マイナーな英国ブランドのチャンピオン

ショーン・コネリーに衣装を着せ付けるアンソニー・シンクレア。

少しの運は長続きする

「私にとって、すべては2012年のアンソニー・シンクレアの復活とともに始まりました。ブランドをリニューアルするなら、その年でなければならないと思いました。ボンド映画の50周年であり、ロンドン・オリンピックが開催され、世界の目は、この都市に集まっていました。オリンピックの開会宣言は女王によって行われ、女王がジェームズ・ボンドと一緒に、ヘリコプターから飛び降りるという演出までしました。そんな機会を利用しない手はありません。アンソニー・シンクレアの成功によって、英国的な道を行く方向性が決定づけられました。もしそれが失敗していたら、おそらく現在の私たちは、まったく違ったものになっていたでしょう」

自ら信じるものに、こだわる

「私たちは、それぞれの分野の専門メーカーと協力するよう努めています。何かが得意なら、それに集中するべきです。それが、生産に対する私の哲学です。例えば、カシミア製品については、ベグ＆コーやウィリアム・ロッキーと協業を始めました。彼らが数百年の間存在していられたのは、いいものを作ってきたからです。ウィリアム・ロッキーは多くのことはできませんが、8プライのカシミア製ショールカラー・カーディガンを作ることにかけては、間違いなく世界一です。それが私たちのウェブサイトに掲載されている理由です。現在、Mason & Sonsのサイトには、27の英国ブランドが掲載されています。それらはすべて“何かに秀でている”ブランドたちです」