UNION MAN : DAVID MASON
マイナーな英国ブランドのチャンピオン
September 2020
デヴィッド・メイソンは、過去10年にわたり、1960年代以来あまりパッとしなかった、いくつもの英国ブランドをよみがえらせた。彼はどのようにそれをやりとげたのか?
そして新しいプロジェクト“ミスター・フィッシュ”が最もチャレンジングである理由とは?
by aleksandar cvetkovic
David Mason
デヴィッド・メイソン
さまざまな英国ブランドを手掛けるメイソン&サンズを率いるビジネスマン。2012年にはショーン・コネリーの服を仕立てたテーラー、アンソニー・シンクレアをリローンチ。その他にも豪華なモーターリング・コートで知られる“モトラックス”や、英国の伝統的なアイウェア・ブランド、“カーリー&パクストン”などを擁する。2015年より長男のエリオットも会社に参加。新たなアプローチを続けている。
デヴィッド・メイソンは、実にスタイリッシュだ。 私が彼と会ったのは、2月のある雨の日だった。彼は爽やかなネイビーのモヘア・ブレザーと、完璧にプレスされたチャコール・グレイのフランネル・トラウザーズを身につけていた。
彼は銀のトレイでコーヒーを出してくれ、ロンドンのモンタギュー・スクエアにあるショールームでレザー張りのアームチェアに腰を下ろした。
長い間、“マイナーな英国ブランドのチャンピオン”であるメイソンは、眠っている巨人を生き返らせることによって彼のキャリアを築き上げた。2012年には、かつてジェームズ・ボンドを演じたショーン・コネリーの服を仕立てたテーラー、アンソニー・シンクレアを買い取り、リローンチした。この成功に続き、豪華なアルパカ・モーターリング・コートで知られる20世紀初頭の宝石、“モトラックス”と、英国の伝統的なアイウェア・ブランド、“カーリー&パクストン”をリニューアルした。
次は、イギリスのシャツメーカー“ミスター・フィッシュ”である。マイケル・ケイン、ミック・ジャガーが愛したのみならず、1974年にモハメド・アリが“キンシャサの奇跡”のときに羽織っていたガウンも同社製であった。“本物”に対する飽くなき追求が、デヴィッドのメンズウェア・ブランドをユニークなものにしている。英国ブランドを育ててきた10年近くの間に、彼が学んだことを列挙してもらった。