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最高級の世界
#04 ゴルフクラブ
至高のゴルフクラブ「PXG」の目指すもの
August 2021
アメリカの大富豪、ボブ・パーソンズ。インターネット関連企業で大成功を収めた彼は、満足できるクラブに出会えず、自らクラブ設計家を集め、ゴルフクラブを作り上げる。
これを世界のトッププロたちが評価、今では多くのツアープロたちが使用するクラブとなった。
今回は至高のゴルフクラブと評される、「PXG」のゴルフクラブを見てみよう。
text jun nakano
DRIVERS: 0811 X GEN2 / FAIRWAYWOODS: 0341 X GEN2 / HYBRIDS: 0317 X GEN2 / IRONS: 0311T GEN2 / WEDGES: 0311T MILLED WEDGES / PUTTERS: MINI GUNBOAT HOSELS
ボブ・パーソンズは米国海兵隊出身の実業家。ベトナム戦争から復員後、ボルチモア大学を優秀な成績で卒業し、独学でコンピュータープログラミングを習得。1984年に自宅の地下室でソフトウェア会社を起業する。94年に6,400万ドルで売却後97年、後に世界最大のドメイン名登録業者となる「GoDaddy」を設立。2011年に大半の株式を売却し、翌12年、夫人とともに財団を設立。以来慈善団体に9,000 万ドル以上を寄付してきた。
2014年、ゴルフマニアを自認する氏は、アリゾナ州スコッツデールに「Parsons Xtreme Golf/ パーソンズ エクストリーム ゴルフ」を創業。他社で20年以上設計していた著名なデザイナーを引き抜き、開発費や開発時間に制約を設けず、さまざまな素材・テクノロジー・製造工程を追求した。取得した特許は270を超え、創業からたった1年の翌15年、契約プロのザック・ジョンソンが全英オープンを制して以来注目を浴び、日本には16年夏に進出した。クラブの特徴をドライバーから説明すると、
・純正シャフトが用意されていない。
・クラブロフトが±1.5度に可変可能。
・ソール部に異なる重量の脱着可能ウエイトを16個配置。
以上のことから購入にはアイアンも同様に、フィッターがいる正規販売店に限られる。使用者の感想は、「微妙な重量バランスを調整でき、優しく安定して飛ばせる。ヘッドスピードが40台半ばの人なら、ロースピンでランもかなり稼げる」とのことだった。
PXG CEO を務めるボブ・パーソンズ。ソフトウェア会社、ドメイン登録業者で大成功し、その総資産は3000 億円ともいわれる。趣味が高じて理想のゴルフクラブを自ら開発した。
アイアンは2代目の「0311 GEN2」。マッスルバック風の形状だが、実際は中空構造。ヘッド内部にはPXGが特許を持つCOR2と呼ばれるエラストマー(樹脂)が注入されている。これにより肉薄なフェースでもソフトな打感と飛距離の向上を実現している。アイアンは難易度の順に4種類あり、「T(TOUR)」「P(PLAYERS)」「XF(XTREME FORGIVENESS)」「SGI(SUPER GAME INPROVEMENT)」で構成されている。
「よい製品を作れなかったら、世に出すことはない」。創業者のパーソンズ氏は繰り返し、この言葉を口にした。驚くべきことに、2代目の「0311 gen2」は、先代モデルよりもボールスピードが20%向上し、加えて設計の向上により、ミスヒット時のボールスピードを維持し、打球の散らばりに関しては40%も減少したという。気になる価格はシャフトの選択によって異なるが、目安としてドライバー¥110,000~、アイアン¥56,600~(いずれも税別)。高性能で高価格、至高のゴルフクラブと評されるのも頷ける。
PXGが契約するプロ・ゴルファーの面々。左からリディア・コ、パット・ペレッツ。下:ライアン・ムーア。
本記事は2019年7月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue29