Tom Aikens at The Tokyo EDITION, Toranomon
天才シェフ、トム・エイキンズの新店
東京エディション虎ノ門にオープン!
October 2022
text KENTARO MATSUO
トム・エイキンズは英国で最も高く評価され、影響力のあるシェフである。1970年に生まれ、若くから天賦の才を備えていた彼は、ジョエル・ロブション、ジェラール・ボワイエなど、錚々たる星付きレストランに勤めた後、ピエ・タ・テールにて英国人シェフとしては史上最年少の26歳でミシュランの2つ星を獲得した。2000年には一度料理の世界を離れ、農業の世界に身を置き、オーガニック野菜の栽培に携わり、トレーサビリティやサステナビリティについて学んだ。2003年、再びキッチンへと戻り、自身の名を冠したレストラン「トム・エイキンズ」をオープンし、ミシュランの1つ星を獲得した。現在では地元ロンドンをはじめ、カタール、ドバイ、アブダビ、ジャカルタなど世界中に自身のプロデュースしたレストランを展開している。
そんな天才シェフの料理を、日本でも食すことができるようになった。10月1日に東京エディション虎ノ門ホテル内にオープンした「ジェイド ルーム + ガーデン テラス」である。31階のロビーに隣接した翡翠色に彩られたインダイニングと、東京の街を一望できるオープンスペース(地上140m)から成る複合レストランだ。計画自体はホテルオープン当初からあったものの、コロナ禍でエイキンズの来日がままならず、2年に及ぶ準備期間を経てようやく開店に漕ぎつけたという。
「日本で最初のレストランをオープンすることになり、心躍る気持ちです。私は日本の料理や伝統に強い憧れを持っています。季節にフォーカスし、大自然からインスピレーションを得て、屋内のジェイド ルームと屋外のガーデン テラスのために、それぞれ別のメニューをデザインしました」とエイキンズ。
料理は和と洋が一体となったフュージョンでエイキンズの個性がいかんなく発揮されている。例えば「炭火で炙った根セロリのカルパッチョ、トリュフ」は大地を感じさせる根セロリの風味を活かし、アイスクリームやトリュフと合わせたまったく新しい一皿。シェフのクリエイティビティを感じさせる。
また「仔豚のばら肉、イカ、パイナップル、バニラ」はもともと英国で1970年代に流行った肉料理を現代風にリファインしたもの。豚とパイナップルの組み合わせはノスタルジックで、バラ肉ならではの食べ応えを楽しめる。
サーブされるワインは、欧州を中心とした「クラシック」から、日本やレバノンなど新世界から見出してきた「ディスカバリー」まで多彩。思いがけないマリアージュを体験できるだろう。
特筆すべきはコースのプライスがリーズナブルに抑えられていること。入国制限が撤廃され、多くの海外旅行者が再び日本にやってきたら、シェフの知名度と内容から考えて、このレストランは連日満席になるだろう。その前にいち早く、テーブルをリザーブしておくことをおすすめしたい。