Explore the Hidden California Episode1
【短期連載1】スターラックス航空で行く、山と海の都市対決 「ザ リッツ・カールトン レイクタホVSマリナ デル レイ」
August 2025
カリフォルニアには、知られざる魅力的な旅先がまだまだいくつもある。今回から4回に渡りご紹介するWellness&Retreatな大人のディスティネーション。第1回は、2020年から就航を始めた5スターの航空会社「スターラックス」で行く、レイクタホとマリナ デル レイの「ザ リッツ・カールトン」をめぐる旅。全く異なる楽園をホッピングして、五感を整える体験を!
text maiko takeda
LAやサンフランシスコなど、カリフォルニアのハブ空港がある大都市には、楽しみがもちろんたくさんあるけれど、そこで終わるだけではもったいない!カリフォルニアのダイナミックな魅力に出会うため、もう一歩、足を伸ばして知られざる都市へ。心に響く輝かしい体験が待っている。
今回の旅は、2020年から運航をスタートした台湾発のラグジュアリー航空会社「スターラックス」で、まずはサンフランシスコへ。就航以来、洗練されたインテリアやシートの良さで旅好きの人々から話題のスターラックス航空。2023年からは台湾⇔北米路線もスタートし、さらに大きな注目を集めている。日本からは、まず成田国際空港から一度台湾の桃園国際空港に入ってトランジット。ストップオーバーもできるので、行きか帰りに台湾に一泊して、食事やショッピングを楽しむのも旅慣れた大人におすすめの旅程。初めてのスターラックス航空は、居心地が良く最高だった。何が良かったのかは、4回の短期連載の最後のエピソードでまとめてご紹介したい。
Destination 1: レイクタホ
快適な空の旅を終え、サンフランシスコ国際空港から車で向かったのは「ザ リッツ・カールトン レイクタホ」。レイクタホは、雄大なシエラネバダ山脈に囲まれた風光明媚な高地のリゾート。湖は世界屈指の透明度を誇り、夏はカヌーやサップ、ハイキング、ゴルフ。冬はスキーやスノーボードを楽しむ人々でにぎわう。たくさんのアクティビティがあるレイクタホ。絶対おすすめなのは、初心者でも楽しめるクリスタルベイエリアのハイキングトレイル。ここはステートライン・ルックアウトというタホ湖を見渡せる展望台まで、往復約1時間のおすすめコースだ。標高1897メートルの高地ゆえ、歩いていると少し息が上がるけれど、展望台に到着すればタホ湖の素晴らしいパノラマビューが望める。
お目当てのホテルは湖畔からわずか車で15分ほど。ノースレイクタホに位置する「ザ リッツ・カールトン レイクタホ」。西洋松に囲まれたマウンテンリゾートらしい重厚な建物が山中にそびえ立ち、中庭で深呼吸をすると、澄み切った空気が驚くほど美味しかった。
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ホテルのラウンジには陽の光がふんだんに降り注ぎ、気持ちのいいゆるやかな空気が漂う。コンドミニアムタイプのレジデンス棟も隣にあり、愛犬を連れて長期滞在をしている方も。ウェルカムドリンクはキューカンバーミントのモクテル。さっぱりして、一気にリラックス気分に。
夏のグリーンシーズンにステイするなら、まずはプールでのんびり過ごす1日もいいし、湖まで足を延ばし、1日湖畔を眺め、マイナスイオンに浸るのも心地いい。ちなみにプールは一年中温水タイプでオープン。真冬でもアフタースキーに入る人がたくさんいるのだそうだ。
楽しみにしていたのは、人気が高い中庭でのハッピーアワー。テラス席に備えられたガーデンテーブルに火が灯され、カリフォルニアワインと共に、シーフードプラッターやスモアを頂いたが、そのスモアの内容がリッチだった。マシュマロだけでなくフレッシュなイチゴやパフ、カカオクッキー、ナッツチョコレートなどがふんだんに用意され、炎で炙ったとろけるマシュマロを好みのクラッカーやクッキーにチョコレートと一緒にはさんで頂くと抜群の美味しさ。レイクタホは、夏の昼間は高地とはいえ30℃ぐらいの暑さになるものの、夕方は15℃ほどに下がる山の気候。プールが通年温水タイプなのも納得だ。夕方に向かい、徐々に涼しさを増すなか、このリッチな焚き火スタイルのアペリティフは快適すぎた。ホテルスタッフのホスピタリティは温かく、親近感が感じられるのも特筆すべき点。リッツ・カールトンはどこも素晴らしいが、ここは特別快適に感じられた。
夕方から向かったのはレイクタホの湖畔。海のように広いタホ湖をさまざまな角度から楽しめるボートでのサンセットクルージングを体験するためだ。湖畔近くのタホシティで見つけたデリで、美味しいものを調達して桟橋に向かう。
途中、湖沿いでミュージックフェスティバルが行われていたのを発見。大人も子供も椅子を持ち込み、タホ湖からの風を感じつつ、音楽を聴きながら思い思いに過ごしていた。桟橋に着き、チェックイン。ライフジャケットを着込み、ボートクルージングがいよいよスタート。
どこまでも湖の色が美しく、清らかな透明度に驚く。最大深度が501メートルというタホ湖の深さは全米2位を誇る。深さがあるため、冬になって周囲が雪景色でも湖は一切凍らず、一年を通して透明度は随一の美しさ。湖に映り込む西洋松の木々や、周囲のシエラネバダ山脈の雄大さ、そして刻々と装いを変えて行く空の景色に圧倒されながら、ヨットは静かに湖を進んで行く。
レイクタホの南側にある青緑色に見える湖水で有名な入江、エメラルドベイにたどり着いた。浅瀬の湖の底まで見える透明さと、タホ湖の他の場所とは明らかに異なるエメラルド色。その景色が醸し出す不思議な空気感にいつまでも見惚れてしまう。作家マーク・トウェインはレイクタホを指して、「地球上でもっとも美しく、その空気は純粋で、まるで天使が吸い込む空気のようだ」と語ったそうだが、そうつぶやいた理由がわかる気がした。
デリで仕入れたワインやシャンパン、チーズやサラダなど、銘々に好きなものを口に運びながら、暮れて行く空のショーに見入っていると、約2時間のクルージングはあっという間に終わってしまった。ちなみに、ボートやヨットのサイズはさまざまあり、ディナー付きクルーズのチャーターもできる。(クルーズ詳細)。
湖畔を存分に楽しみたいなら、ホテルから車で約15分の場所にある「ザ リッツ・カールトン レイクタホ レイククラブ」を活用するのもいい。こちらは、5月から9月のサマータイムのみオープンする、湖畔に面した二階建ての貸し切りプライベート・サマーハウス。
桟橋付きなので、無料で借りられるカヤックやパドルボートで建物から直接湖畔に出ることができるのがなんとも贅沢。タホ湖をプライベートビーチのように楽しめるのだ。10時から17時まで利用でき、真っ青な湖を一望できるテラスや庭からの景色は圧巻。下まで透けて見えるような湖の美しさに丸一日浸れるサマーハウスでは、BBQや食事もゆっくり楽しむことができる。40人まで入れるのでウエディングパーティなどにも好評。3食ドリンク付きでひとり$600/day〜。
静謐な山と湖の絶景を楽しみながらラグジュアリーに過ごせる「ザ リッツ・カールトン レイクタホ」。健康的で快適なアウトドアトリップは、大人にこそふさわしい。
ザ リッツ・カールトン レイクタホ
アクセス:サンフランシスコ国際空港から車で約3時間、サクラメント国際空港から車で約2時間、リノ/タホ国際空港から車で約50分
(リノ/タホ国際空港またはサクラメント国際空港への送迎可能)
www.ritzcarlton.com/en/hotels/rnorz-the-ritz-carlton-lake-tahoe/overview/
Destination 2: マリナ デル レイ
次は、打って変わってビーチタウンへ!ロサンゼルス国際空港から車で約15分。マリナ デル レイは世界最大のマリーナがある西海岸のオーシャンフロントタウン。LAに近く、都会的で陽気なムードと、気持ちのいい太陽や海風が、心身をゆるやかに開放し、気持ちの赴くままエネルギッシュに過ごせる場所だ。クルージングやSUP、パラセーリングなどマリンアクティビティを始めとし、自転車やE-bikeでビーチを巡ったり、海を眺めながらホテルのプールで一日中泳いだり、水辺の時間を満喫できる都市型リゾート。
目的地の「ザ リッツ・カールトン マリナ デル レイ」は、ベニスビーチやサンタモニカに程近い州立公園内に佇む白亜のラグジュアリーホテル。全米のリッツ・カールトンで唯一、海沿いに位置するホテルである。
まずは柚子とローズのウェルカムドリンクをロビーで頂き、チェックイン!なぜ人は海を眺めるとこんなにも高揚感を感じるのだろうか。部屋に備えられた小さくて愛らしいジュリエットバルコニーに出てみると、空と椰子の木とプール、そして約5000隻のヨットやクルーザーが停泊するマリーナ。このオーシャンブルーな景色に、移動で疲れた体がふわ〜っと解放されていき、なんだかワクワクしてきた。
プールは24時間オープンの温水海水タイプ。マリナ デル レイは、8月でも平均最高気温が28℃、平均最低気温が18℃。近くのパームスプリングスやユニバーサルスタジオが37℃ぐらいになっている日でも、マリナ デル レイでは26℃ぐらいだったりするそうで、涼しい海風も相まって、避暑地と言ってもいいぐらい穏やかな気候が魅力的。近年、夏となると40℃近くなるアメリカの東海岸や日本とはまったく異なり、湿度も低く、爽やかで過ごしやすい。温水プールなら、気温が下がるナイトプールだって快適というものだ。
プールの隣では、卓球のようなラケットを使用するピックルボールを楽しむ大人の方々でコートが埋まっていた。このところ爆発的にアメリカで流行中との噂は本当だった。マリナ デル レイには、いたるところに笑顔があふれている。
サンセットに合わせ、18時からビーチフロントのレストラン「CAST & PLOW」のテラス席にて、海を眺めながらディナーを。こちらは、農場直送のローカル食材を使用した次世代ダイニング。みんなでシェアするカジュアルなアラカルトスタイルが心地よく嬉しい。そしてテラス席には、涼しくなる夜でも外でのディナーを楽しめるよう、席の上の天井にヒーターが埋め込まれていた。
好奇心が刺激され、選ぶのに悩んでしまうほど洗練されたメニューがずらり。ひと手間かかった味付けで、野菜や魚介が食べ応えのある料理に格上げされている。芽キャベツのバーボングレイズ パプリカアイオリソース、炭火焼きのタコ ロメスコソース(ナッツとパプリカのスペイン風ソース)、クレオールフリット(魚介の揚げ団子)、ペルー風マグロのクルード(お刺身)を前菜に、メインは各々チョイス。サーモンのオレンジ味噌バター、カレー風味のスイートポテトと頂くホタテソテー、ステーキと海老のスペシャリティなど、どれもソースやサイドまで凝ったお料理が美味しい。デザートはチョコレートレイヤーケーキとマカロンの盛り合わせ。ここは、味と居心地の良さ、マリナ デル レイらしい景色を楽しめる魅力的な場所。たとえ宿泊していなくても、わざわざ訪れたいレストランだ。
次の日は、朝からヨットクルージングへ。近くのホテル「コートヤード&レジデンス イン マリナ デル レイ」の目の前の桟橋からヨットへ乗り込む。マリナ デル レイには8つの桟橋があり、周遊する水上バスもあるそうで、乗船は1回$1とお手頃だ。今回は3ベッド2バスのキッチン付きで、宿泊することもできる豪華なヨットで海上へ。1時間の朝食付きクルージングが始まった。フムスやフルーツヨーグルト、野菜のディップをつまみながら、太陽の光が降り注ぐ中、ヨットは速いスピードで進んで行く。
ゴージャスなクルーザーや小さくて可愛らしいボート、愛犬を乗せて一緒にSUPを楽しむ人、カヤックを一生懸命漕ぐ人、ヤシの木が立ち並ぶビーチ沿いのホテルやコンドミニアム…。リゾートでもあり、実際に人が暮らす街であり、多彩なものが混在しているビーチタウンがヨットから垣間見える。
今回のヨットを操縦するのはふたりの女性。重たい帆を操る姿はとても頼もしく、カッコよかった。2時間コースや半日コース、ディナークルーズなど、さまざまなプランが用意されているヨットの予約は、宿泊ホテルのコンシェルジュにオーダーするのがおすすめ。
ヨットの後には「ザ リッツ・カールトン マリナ デル レイ」内にある評判の良い「シスレースパ」での全身マッサージが待っていた。シスレースパは世界中で23軒あり、全米ではバミューダ諸島とこちらの2軒のみ。
ヨーロッパナイズされたエレガントな施術の個室、施術の前後に利用できるユーカリスチームルームとシャワールーム、ハーブティーやスイーツを楽しめるリラクゼーションラウンジ。そのどれもがラグジュアリーで快適。エッセンシャルオイルでしっかりと強めに流してくれるディープティシューマッサージ60分は癒しそのもの。シスレーの化粧品やハワイ発のサンスクリーン系コスメ、ヘアケアアイテムなど、お土産も購入できる(シスレースパ公式ウェブサイト)。
ホテルの近所には、車で約10分のベニスビーチやサンタモニカがある。なかでも人気はアボットキニーBlvd.。カリフォルニアキュイジーヌ発祥の地であり、道の両サイドにはブティックやカフェがぎっしりと立ち並ぶ。歩いて30分ほどの街並みだが、西海岸の街でこんなふうにショップが狭いエリアに集中し、歩いてショッピングできるスポットはほかになかなかない。
土曜日だったのでファーマーズマーケットが開催されていて、大にぎわいだった。駐車場で行われていたオープンな会場内をそぞろ歩きするだけで、たくさんのスモールビジネスを垣間見られてウキウキ楽しくなる。いちばん印象的だったのはフルーツ屋さん。さまざまな種類のピーチやプラムを味見させてもらったが、甘くてジューシーでめちゃくちゃ美味しかった! 皮が薄くて皮ごと味わえるのがいい感じ。
そしてアメリカ本土に来て、行きそびれてはならないのがスーパーマーケット。「ザ リッツ・カールトン マリナ デル レイ」から車で約5分の場所に「トレーダージョーズ」があった。PB商品はパッケージデザインがポップで可愛らしく、またクオリティがよいのにお手頃価格だと評判。円安時代にうれしい場所で、まさにお土産探しには最適。スイーツやスパイス、エコバッグ、ペットのおやつも大人気。とくにおすすめは、グルテンフリーマドレーヌ、ダークチョコレートカバードプレッツェル、ツヤツヤになるヘアオイル、オリジナルハーブティー。
「ザ リッツ・カールトン マリナ デル レイ」を拠点としたマリナ デル レイの滞在。レイクタホが、山と湖といった絶景の中で静かに心を休め、自分と対峙する旅だとしたら、マリナ デル レイは、心と体を解放し、とことん笑って楽しむエネルギッシュな旅。この両方の楽園を体験できるカリフォルニア「リッツ・カールトン」ホッピングは、カリフォルニアの両極の魅力を知り、五感を整え、さらに鍛えられるような、そんな旅だ。2箇所それぞれ長めに宿泊し、ゆったりじっくり過ごしたい。
ザ リッツ・カールトン マリナ デル レイ
アクセス:ロサンジェルス国際空港から車で約15分。
www.ritzcarlton.com/en/hotels/laxmd-the-ritz-carlton-marina-del-rey/overview/
取材協力
カリフォルニア観光局 www.visitcalifornia.com/jp
ノースレイクタホ観光局 www.gotahoenorth.com/
マリナ デル レイ観光局 www.visitmdr.com



































