THE RAKE DISPATCH: VISITING FLORENCE DURING PITTI UOMO

ピッティ・ウォモ期間中の
フィレンツェで訪れたいスポット

January 2023

メンズ・ファッション界において最も大切なエキシビション、ピッティ・ウォモ。その期間中、美しい街フィレンツェはスタイリッシュな参加者たちが集まり、華やかな賑わいに包まれる。どこへ泊まり、何を食べ、何を飲むか、THE RAKEが指南しよう。

 

 

by CHRIS COTONOU

 

 

 

 

 

 メンズ・ファッション業界を志す者なら一度は訪れてみたいのが、毎年1月と6月にイタリア・フィレンツェで開かれる国際見本市「ピッティ・ウォモ」である。さまざまな国から、バイヤー、ジャーナリストが集まり、街はインターナショナルな雰囲気に包まれる。紳士服の愛好家たちとドリンクやディナーを楽しむことが、フェアの合間の日課となる。

 

 中世からの古い歴史を持つフィレンツェは、実に懐の深い街である。何年もの間、ピッティ・ウォモを取材し続けてきたTHE RAKEは、喧騒から離れた場所に穴場を発見した。

 

 SNS映えする定番のお店だけでなく、少し外れたレストランやバーに赴いてみるのもいいかもしれない。会場であるフォルテッツァ・ダ・バッソでひと仕事終えた後、そこで出会った新しい友人を連れて行くのにぴったりなスポットをご紹介しよう。

 

 

 

 

WHERE TO STAY

 

 豪華な「ザ セント レジス フローレンス(The St. Regis Florence)」ホテルは、フィレンツェのラグジュアリーの象徴となっている。セレブリティ、政治家、芸術家などを迎え、富裕層がひと晩を過ごす場所として利用されている。主要な観光スポットのそばにあり、フォルテッツァ・ダ・バッソから15分という理想的な立地である。

 

 もし距離が問題でなければ、フィエーゾレの近くの小さな村にベルモンドホテルグループが提供している静かな場所をすすめたい。「ヴィラ・サン・ミケーレ(Villa San Michele)」は、15世紀に建てられた古いヴィラを改装したホテルだが、その内部にはモダンな設備が整っている。フォルテッツァから戻った後、人混みから逃れるための森の小道も近くにある。

 

 常にファッション性を求める方には、フェラガモ社所有のラグジュアリーな「ホテル ルンガルノ(Hotel Lungarno)」をおすすめする。スタッフはブランドの最新コレクションを身に纏い、アルノ川を見渡す洗練されたバーが併設されている。

 

 

 

 

WHERE TO EAT LUNCH

 

 イタリア風のサンドイッチ、パニーノはフィレンツェの生活に欠かせないものだ。ピッティでの滞在は移動が多いので、手早くランチを済ませられる場所を知っておくと便利である。

 

 ヴェッキオ宮殿の近くにある「アル アンティコ ヴィナイオ(All’Antico Vinaio)」では、スキアッチャータと呼ばれる地元の平たいパンを使った有名なサンドイッチに行列ができている。ここはフィレンツェにおける通過儀礼のような店である。

 

 しかし、フィレンツェの人々が好んで利用する店は他にもある。フィレンツェで最もローカルなエリアといわれるサンタンブロージョ地区(フィレンツェ弁をよく耳にするところ)には、日中数時間しか営業しないサンドイッチ店「セメル(Semel)」があり、目の前の市場から調達された肉、魚、チーズを挟んだパニーノを、フルボディのハウスワインと一緒にテイクアウトすることができる。サンタンブロージョのフードマーケットは有名だが、あまり観光地化されていない。

 

 フォルテッツァの近くにある「スペラ(Spera)」もおすすめだ。ここでは、女性ピッツァイオリ(世界チャンピオンにもなったこともある)が、さまざまなトッピングが施されたピザを、フリーフローのトスカーナワインとともにカジュアルな雰囲気で提供している。

 

 

 

 

WHERE TO EAT DINNER

 

 フィレンツェ料理の王様といえば、シンプルな塩味で、ジューシーな“ビステッカ”ステーキだろう。街にはビステッカに舌鼓を打ちつつ、ロマンチックなディナーを楽しめるトラットリアがたくさんある。

 

 地元の人々は、ミシュランガイドにも掲載されたトラットリア、「イル・ラティーニ(Il Latini)」を好んで訪れる。クラシックな趣があり、トスカーナワインが豊富に揃っている。

 

 素朴なトラットリアとは別に、ミシュランの星付きレストランもあり、予約が取れればぜひ訪れたい。「エノテカ・ピンキオーリ(Enoteca Pinchiorri)」は、ミシュランの3つ星を獲得している6軒のうちの1軒で、トスカーナの伝統料理をイノベーティブにアレンジした料理を提供している。

 

 しかし、もし滞在中に市街地を離れることができるなら、絵のように美しい丘の町、コル・ディ・ヴァル・デルサにある「アルノルフォ(Arnolfo)」がおすすめだ。地元産の食材を使った素晴らしい料理が堪能できる。中世の塔が立ち並ぶ町、サン・ジミニャーノへの日帰り旅行に組み込むといいだろう。

 

 

 

 

WHERE TO ENJOY A NIGHTCAP

 

 有名な「ハリーズバー(Harry’s Bar)」でネグローニの杯を飲み干した後でも、飲みに行くべき場所はたくさんある。フィレンツェには経験豊富なバーテンダーが揃っている。バーの楽しみ方はエリアによって異なる。

 

 ドゥオモ周辺やオルトラーノには、パブや60年代の雰囲気を漂わせる「ミステリウム(Mysterium)」のようなラグジュアリーなバーが多い。1920年代のアールデコ調の雰囲気が漂う「ビター バー(Bitter Bar)」では、ジャズの生演奏を聞きながらカクテルを楽しむことができる。

 

 サン・ロレンツォ市場の近くなら「サボール キュバノス(Sabor Cubanos)」がおすすめだ。店内はハバナ風の内装となっており、オーナーはキューバ人夫婦で、時々ピアノと歌を披露してくれる。名物のモヒートに惹かれて多くの人が集まる。

 

 ホテル ルンガルノは宿泊先として紹介したが、部屋を予約していなくてもバーは利用できる。街で最もエレガントな場所のひとつで、水辺のテラスからマスタード色に輝くパラッツォやヴェッキオ橋を眺めながら、夜遅くまでマティーニの杯を傾けるのに理想的である。

 

 

 

 

 以上、フィレンツェでどこへ行くべきかわからないという方は、ぜひ参考にしてほしい。ピッティ・ウォモの期間中は、ファッションはもちろん、美味しい食事や酒、そして安らかな眠りを楽しんでいただきたい。