The Most Wearable Looks From Spring Summer 2025
2025春夏コレクションより「着られる」トレンドを解説する
October 2024
ファッションウィークのランウェイから日常のワードローブへ。2025年春夏ショーがどのように実用的なメンズウェアのトレンドを形作っているか。THE RAKEがリポート&解説する。
author charlie thomas
ファッション業界は決して停滞することがない。毎年2月と9月には、世界の主要なスタイル都市において、エディター、セレブリティ、インフルエンサー、そしてファッション愛好家が集まり、一連のショーやプレゼンテーションが開催される。今年の9月も例外ではなく、ニューヨークが例年通り幕を開け、その後ロンドン、ミラノ、パリが続いた。エイサップ・ロッキーやケイト・モスといった著名人が、ボッテガ・ヴェネタ、サンローラン、エンポリオ・アルマーニ、バーバリーなどのデザイナーのショーを鑑賞した。
9月と2月のショーはウィメンズウェアがメインだが、メンズウェアも多数披露される。しかし、ファッションウィークで発表される多くの服は、日常生活にはあまり関連性がない。ランウェイを歩く服の大半は、クリエイティビティの表現であり、実用的とは言い難い。これらのトレンドは、次年度のファッション業界における傾向を示唆するものの、あくまでトレンドにすぎない。ファッションのアクセントとして取り入れることは有効ではあるが、トレンドを闇雲に追い求めることは、スタイル面でも財政面でも賢明ではない。派手な注目を集めない、実用的なアイテムの方がワードローブには適している。
迷った際には、ラルフ ローレンを選ぶべし。
スタイルに悩んだときは、ラルフ ローレンの店舗に入れば、その問題は解決される。たとえば、ロンドンのボンドストリートに位置する旗艦店は、街で最も見事なウィンドウディスプレイを誇っている。店内に一歩足を踏み入れると、ダークウッドのパネルが施された壁と、慎重に選ばれたアートワーク、そして類を見ないほどお洒落に装ったマネキンが出迎えてくれる。「ダブルRL」ショップもまた同様で、ニューバーグストリートの店内は、ヴィンテージの美学に基づいてデザインされている。ベルト付きフィールドジャケット、完璧なレザーボンバージャケット、ミリタリーグリーンのカーゴパンツなどが、見事に調和している。さらに、店外には象徴的にハーレーダビッドソンが駐められていることが多い。
ニューヨークで行われた同ブランドの2025年春夏ショーは、プレッピーなスタイルを多く取り入れていた。ハンプトンズで開催されたこのショーでは、ジェイ・ギャツビーのワードローブから出てきたのような、柔らかな仕立てのオフホワイトのリネンスーツが披露された。フリンジ付きのスエードジャケットとプリーツ入りトラウザーズ、タックインされたTシャツ、そしてレザー製フィッシャーマン サンダルが組み合わされており、さらにカシミアのセーターが無造作に肩に掛けられ、チョークストライプのダブルブレステッドスーツはビジネスに適した風格を醸し出していた。ショー全体は、洗練されたクラシックなスタイルを見事に演出し、数十年にわたりアメリカンスタイルを定義してきたラルフ ローレンにふさわしいものであった。
ダブルブレステッド ジャケット
ダブルブレステッド ジャケットは、2025年春夏のファッションショーで強い存在感を示しており、多くのファッションハウスが再びスーツに注目している。特に、サンローランでは、ボタンが低い位置に配置された6×1のダブルブレストジャケットがスマートなスタイルで多く使用され、豊富な生地やカラーのバリエーションが展開された。このジャケットは、大きなパッド入りの肩、幅広いピークトラペル、オーバーサイズのフラップポケット、そしてボクシーな胸とウエストなど、誇張されたプロポーションを特徴としている。その多様なスタイリングがダブルブレステッドの汎用性を示していた。
エンポリオ アルマーニもまた、ダブルブレステッドに敬意を表していた。イタリアのこのブランドは、異なるデザインをいくつか披露しており、シングルボタンで留める「ハーフダブルブレステッド」や、6×1のショールカラーのダブルブレステッドジャケット、さらに軽量なチェック柄のグレーファブリックを使用したものなどがあった。また、流れるようなシルクウールとワイドレッグトラウザーズ、タッセルローファーと組み合わせたボクシーカットの4×1のダブルブレストも特徴的であった。
これらのデザインは、伝統的な仕立ての技法を踏襲しつつも、現代的で自由なアプローチを取り入れた新たなスーツスタイルの象徴といえる。
トーナル レイヤリング
レイヤリングは、秋冬の定番として知られるスタイルであるが、2025年春夏のショーでは、暖かい季節にもレイヤリングが有効であることが示された。特にトーナル(同系色)レイヤリングを駆使したスタイルが印象的であった。
ボス(Boss)は、リブランディング以降、クラシックなスタイルを追求しており、今季も例外ではなかった。ニュートラルな色調が多く使用され、例えば、ライトブラウンのダスターコートがライトカーキのアンストラクチャードスーツの上に羽織られ、洗練された印象を与えた。さらに、グレーのワーカーシャツとプリーツショーツにクロスボディのダッフルバッグを合わせたスタイルは、ミッドセンチュリーの探検家を思わせるものであった。最後に、ストーンブルーのショールラペルディナージャケットとネイビートラウザーズ、ブルーのクラバットを組み合わせたトーナルなスタイルが、コレクションを締めくくった。
トッズ(Tod’s)もまた、独自のトーナルスタイルを打ち出しており、ブラウンのロングコートに同色のトラウザーズとライトブラウンのニットを合わせ、ネイビートレンチコートには同色のボトムを、ストーンカラーのレインコートにはドローストリングトラウザーズを合わせるなど、統一感のあるスタイルを見せた。
夏は鮮やかな色を試すシーズンであるが、控えめなトーンを用いたスタイルもまた、洗練された選択肢であることが示された。
ロング&ライトなアウターウエア
丈が長いアウターは、通常春夏シーズンに登場するアイテムではない。しかし、気候によっては、軽量で防水性のあるアウターが役立つことがある。ボッテガ・ヴェネタやバーバリーのルックはまさにその考えを反映しているようだ。ボッテガ・ヴェネタでは、軽やかで風通しのよいロングレインコートが披露された。クラシックなマックコートをシワ加工で仕上げ、前面にはボタン留め、調整可能なカフスが特徴である。次に登場したのは、オーバーサイズのラグランショルダーを持ち、全体がふんわりとしたシルエットのバージョンであった。最も印象的だったのは、テクスチャーのある生地を使ったボクシーカットのコートで、ドロップショルダー、斜めのサイドポケット、ミニマルなデザインが特徴的であった。
一方、バーバリーでは、ブランドを象徴するレインコートにアップデートが加えられていた。ウエストにベルトが付き、大きなフロントボタン、ラグランショルダー、そして大きめの襟が目を引くデザインであった。さらに、ベルトレスのバージョンも登場し、スチールブルーのカラーに仕上げられ、ストライプシャツとブラックのワックスドトラウザーズと組み合わせられていた。このクラシックなレインコートは、テーラードスタイルにもカジュアルスタイルにも対応可能であり、春夏のワードローブに欠けていたアイテムかもしれない。