THE ARMOURY CELEBRATES THE 15th ANNIVERSARY with VITALE BARBERIS CANONICO
VBCと祝った、名店アーモリーの15周年
January 2026
世界で常に注目を集めるメンズウェアストア、アーモリーが今年で15周年を迎えた。偉大なマイルストーンを迎えたマーク・チョー氏がメンズウェアと記念アイテムについて語る独占インタビュー。
text yoshimi hasegawa
photography edward, chan tsz fung
Mark Cho/マーク・チョー
1983年、ロンドン生まれ。米国ブラウン大学卒業。2010年、香港でアーモリーを設立。同年、英国タイメーカー、ドレイクスの共同オーナーに。世界有数の時計コレクターとしても知られる。2023年、香港にライフスタイル型ショッピングモール、ペダーアーケードをオープン。業界のキーパーソンとして常に注目されている。
デイタイムスタイル1:VBC 4プライ、今回のエクスクルーシブファブリックを使用した15周年記念限定スポーツジャケット モデル3 リングヂャケット製、記念ラベル付き。オンラインで購入可能。時計はNaoya Hida Type 4A-1。靴はアーモリーハドソンスエードローファー。
今年10月20日、アーモリーは創立15周年を迎えた。創立者マーク・チョー氏が香港の1店舗から始めた挑戦は、今や香港とNYで合計4店舗となり、更なる躍進を続けている。創業当時から現在までの道程を、チョー氏はこう語る。
「最初は非常にシンプルな形で始めました。世界中から優れたメンズウェアを仕入れ、クラシックなメンズウェアの世界を支えるブティックを立ち上げたいと思ったのです。テーラードの人気は徐々に低下しつつあり、それを新たな世代に広めたいと考えていました。予想外だったのは自社デザインと製品開発へ事業が大きく方向転換したことです。経験を積むにつれ、ブティック兼小売業者から、独自の理念とビジョンを持つメンズウェア&時計ブランドへと変貌を遂げました。一方で、メンズウェア業界自体は変わっていないといえるでしょう。私たちが身にまとう衣服は、今も時代のファッションや文化と密接に関わっています。スタイルは変わり、マーケティングや販売、プロモーションの方法も変化しましたが、衣服を着る根本的な理由は、自己表現を求め、社会の期待に応えようとする人間の本質に根ざしているのです。私はお客様に製品を愛用頂き、喜びを感じていただくことに大きな満足を覚えます。人々の生活に何かよいものを届けられたならと願っています。また、この事業を通じて、仕入先、職人、同僚、ジャーナリスト、お客様など、これほど多くの友人を得られるとは予想していませんでした」
中でも、イタリアの名門ファブリックメーカー、ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(以下VBC)とは特別な信頼関係があるという。1663年創業、イタリア北部ビエッラにて創業者一族13世代が経営するVBCは、世界最古のファブリックメーカーのひとつ。一貫生産による徹底した品質管理には定評がある。
「VBCからアーモリーへの過去15年間にわたる友情と配慮に感謝しています。私たちは、発表当時に業界では異端とされた生地、VBCによるテーラーメイド向けの生地の多くを、長年にわたり評価してきました。中でも、最も気に入っているのが15周年記念にエクスクルーシブファブリックとして製作した21マイクロンウールの4プライ(390g)です。VBC独自の超強撚糸と織り構造によりシャープな手触りと美しいドレープを実現しています。今回、この素材のスポーツジャケットを開発しました。私たちのお客様の多くは既に4プライ製スーツを数着所有しているため、その利点をすべて備えつつ、典型的なネイビーブレザーではない控えめなウインドウペーンが印象的なジャケットを提供したかったのです」
デイタイムスタイル2(パーソナルスタイル):VBCボーソレイユ(ソラーロ)製アーモリーモデル106 。
時計ルイ・ヴィトン タンブール コンバージェンス。
靴ビスポークCanonsローファー。
特別スポンサーVBCによる祝賀記念ディスプレイ。
体験が喜びとなる、特別な存在であり続けたい
メンズウェア業界は競合他社との競争が激しいことに加え、近年ではコロナ禍など未曾有の苦境があった。過去には多くの店舗やブランドが消滅したが、アーモリーが15年間継続できた理由は?
「アーモリーは顧客との関係性を重視し、職人とサプライヤーとの緊密な関係を維持し、変化を受け入れる姿勢を貫いています。加えて、過度なビジネスの拡大は避けてきました。規模が大きくなり過ぎると、お客様から相反する要求が多くなり、すべてに応えることは難しくなります。お客様にとってアーモリーでの体験が喜びとなる、特別な存在であり続けたいのです」
この15年間で特に印象的な出来事や商品、そして新たな試みは?
「長年にわたり開発してきた製品カタログには大きな誇りを持っています。特にリングヂャケットやアスコット・チャンとの共同開発製品、そしてさまざまな時計ブランドとのコラボレーションの数々が挙げられます。また、12月には自社ブランドのテンポラル・ワークスにて、初めて自社開発した時計を発表予定です。アーモリーの歴史における重要な瞬間をご覧になりたい方はウェブサイトをご覧ください。それらの一部をまとめた素敵なフォトストーリーを制作中です」
ナイトスタイル:テーラーケイド製ビスポークタキシード、アスコット・チャン製シルクシャツ。ベルネロンの時計「ミラージュ 34」とボードイン&ランジ製スエードサガンスリッパースで外しが効いた洒脱なスタイルに。
長年、THE RAKE JAPANではチョー氏のライフスタイルとそのコーディネイトを追い続けてきた。チョー氏のスタイルには、周囲への敬意、上質さからくるエレガンス、控えめで男性的なスタイルに生きる外しや遊び心が常にある。ワードローブ同様、時計のコレクションはどう構築するべきなのだろうか?
「時計コレクションとワードローブの構築には共通点があります。最も重要なのは、どちらも身体に着用するアイテムであり、個人のスタイルに関わるということです。選ぶ際には『最良の選択』は存在せず、単に今の自分に最も響くものを選ぶことです。
一方で大きな違いもあります。時計は明らかに高価ですが、価値を保持すれば、取引可能な資産となり得ます。つまりコレクションを構築する過程で、時計には売買する機会がより多く生まれるということです。
ワードローブをネイビーのブレザーから始めるように、まずは頻繁に着用する時計から始め、その後により専門的なモデルへと多様化させていきましょう。スタイルに関わるすべての事柄と同様に、自分自身について、自分に合うものをより深く理解し、そのニーズを満たすアイテムを見つけようとする過程が大切なのです」
最後に、THE RAKE JAPAN読者へ、今後15年、さらにそれ以降に向けたメッセージを紹介しよう。今後のスタイル構築の指針にして欲しい。
「流行に流されず、内面を見つめてください。自分に本当に合うアイテムとは何か、その理由は?オープンマインドでさまざまなアイテムを試してください。十分な失敗を重ねれば、必ず自分に合ったものが見つかります。また、好みは変化し、それに伴いワードローブも変わることを認識してください。永遠に変わらないものなど存在しないのです」
パーティには世界のファッショニスタたちが集った
アーモリーのストアが位置する会場のペダーアーケードは15周年を祝う人々で熱気に包まれた。アーケードには写真のバースペースに加え、フィリップスオークションハウス、ウィスキーライブラリー、金子眼鏡店、アーモリーのシガーラウンジ「スタディ」等を備える。
15年の歴史を彩る名品スーツ
ペダーアーケードには訪れた人々がアーモリーの歴史を辿るべく、創業当時から現代に至るまでの写真と、リングヂャケット、リヴェラーノ&リヴェラーノ、オラツィオ・ルチアーノ、テーラーケイドなど、全13体の名品スーツが展示された。イタリアンスタイルやブリティッシュスタイル、アメリカンスタイルといった国ごとに分ける既存のスタイルの枠を超え、厳選された世界のクラフツマンシップによる製品を、顧客の個性と予算に合わせて提供する、アーモリー独自のインターナショナルな世界観が表現されたエキシビションだ。
THE ARMOURY
VITALE BARBERIS CANONICO
www.vitalebarberiscanonico.com
『The Rake 日本版』Issue68より抜粋



















