Silvia Damiani Interview
シルヴィア・ダミアーニ氏インタビュー
ジュエリーに囲まれて
育ったプリンセス
May 2019
「ヴェニーニは技術面でも業界をリードしています。ガラスの色の元となるスティックは“ケイン”と呼ばれますが、これをすべて自前で誂えているのはヴェニーニだけです。ヴェニーニほどたくさんの色を使える工房はありません。伝統の技術を使って作られる、新しいデザインのヴェネツィアングラス、それがヴェニーニなのです」
ヴェネツィア、ムラーノ島に位置するヴェニーニの工房では、熟練の職人たちが腕を振るう。
そんなヴェニーニを象徴するようなエキシビションが、去る5月に東京・九段南のイタリア文化会館にて行われた“ミケーラ・カッタイ展”だ。ヴェネツィアングラスの伝統的な技法に依拠しつつ、新しい作品を送り出しているアーティスト、ミケーラ・カッタイとヴェニーニが共同製作した作品数十点が展示された。
「ミケーラとは2年ほど前に知り合いました。私が日本文化が大好きということを知っていて、“日本の茶の湯をテーマにした作品を作りたい”と持ちかけてきたのです。出来上がった作品————水差し、一輪挿し、棗(なつめ)などは、自然への愛が溢れたものでした。フォルムは川の流れの中で削られた石をモチーフにしています。アシンメトリーな佇まいは日本庭園を思わせるものです。またサスティナビリティにも配慮し、通常は捨ててしまう炉の底に溜まったガラスの塊を、あえて表面に貼り付けてあるものもあります。それはまるで宝石のような輝きを放っています」
ミケーラ・カッタイがデザインした作品の一部。炉の底に残ったガラスを表面に貼り付けてある。
ビジネスとアートに精通したシルヴィア氏だが、最後にプライベート・ライフについて尋ねると、パートナーとの生活を語り、相好を崩した。
「もう十年も一緒に住んでいるパートナーがいるのです。いまだ結婚はしていないのですが、いつも彼のことを語るときは“ハズバンド”と呼んでいます。ボーイフレンドと呼ぶには、お互い年を取り過ぎていますからね(笑)。イタリアでは、こういった関係を“フィダンツァート”と呼ぶのです。英語でいうと“フィアンセ”ですが、ちょっと意味が違います。フィアンセとなると、“ではいつ結婚するのですか?”という話になるでしょう? でもフィダンツァートだと、“ああ、そうですか”で終わりです(笑)」
現在は改築中の家のインテリアに夢中だそう。
「インテリアは大好きで、いつも考えています。ヴェニーニの作品を、家の中だけではなく、家の外にも置いたら、面白いことになるのではないかと思って。可能性が広がりますよね。プールサイドの壁一面をヴェニーニで何か作りたいと思っています。ヴェネツィアングラスの壁なんて、素敵ではないですか?(笑)」
生まれたときから美しいものに囲まれて育ち、ダミアーニとヴェニーニという至高の美を追求し続けるファミリーの一員として活躍するシルヴィア氏の一番の魅力は、愛らしい笑顔にこそあった。
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ダミアーニ 銀座タワーTel.03-5537-3336
ヴェニーニ GINZA SIX Tel.03-3569-0027