SAINT-LOUIS AZABUDAI HILLS STORE
サンルイという小宇宙を発見する日本唯一の路面店
April 2024
麻布台ヒルズに、サンルイの日本唯一となる路面店がオープン。来日したCEO、ジェローム・ドゥ・ラヴェルニョール氏に話を伺った。
photography tatsuya ozawa
Jérôme de Lavergnolle/ジェローム・ドゥ・ラヴェルニョール
1963年生まれ。1994年にエルメス・グループに入社。各社での財務、監査などの経験を経て、2004年にエルメス・セリエ社のジェネラルマネージャーに就任。2006年、エルメス・サービス・グループのジェネラルマネージャーに。グループ全体のサポート機能部門のマネージャー兼コーディネイターを務めた後、2010年より現職。
「お客様が戻って、オーダーが増えました。自宅に籠もるという時間を過ごしたことで、“Art de Vivre(暮らしの芸術)”を求める気持ちが強くなったのではないでしょうか。生活するということを心から楽しもう、そんな意志を感じます」
世界的なパンデミックを経てこう振り返るのは、フランスのクリスタルメゾン、サンルイのCEO、ジェローム・ドゥ・ラヴェルニョール氏。サンルイは、テーブルウェアからインテリアに至るさまざまな商品で大きな伸びを見せている。そんな中、2024年2月に満を持して日本国内唯一の路面店をオープンさせた。場所は東京で今最も注目されている麻布台ヒルズ。アジアでは香港に次ぐ、2軒目の旗艦店となる。
「これまで東京でサンルイの商品を見ていただく場としては、主に銀座メゾンエルメスと伊勢丹新宿店でした。この2拠点はいずれもエネルギーに溢れたエリアで、多くの方に足を運んでいただくことができました。しかし、サンルイのさまざまな商品の全体像を、立ち止まって、時間をかけてゆっくりと見ていただく、そんな場所を設けたかったんです」
確かに、麻布台ヒルズは銀座や新宿とはまったく異なる。緑豊かで、より静か。“暮らし”に近いエリアといえる。
「いらっしゃる方々は、何かを楽しむ、発見するということに、より時間をかけてくださるのではないかと思います。ですから、この路面店には壁にかけるモジュールライトやシーリングなど、大型の照明を取り揃えています。日本のお客様には新しい発見となるかもしれませんね。サンルイの照明は、クラシックなシャンデリアからコンテンポラリーなポータブルランプまで多岐にわたります」
さまざまなテクニックが結集されたペーパーウェイトは、メゾンを象徴する逸品のひとつとして知られる。©Nacása & Partners Inc.
フォリア ミニポータブルランプ
サンルイの工房を囲む北ヴォージュ地方の森から着想を得た「フォリア」コレクション。可愛らしく佇む一番小さなランプが今季の新作。2種類の色調と3段階の明るさが調整可能。
とりわけ目を惹くのは、シャンデリアだ。展示された数点は、異なる趣ながら、同じ「ロワイヤル」コレクションである。実はこれは、カスタマイズ可能なオーダー商品なのだ。店内にはパーツの実物も展示されているが、顧客は店舗のタブレットを使ってシミュレーションしてゆく。自宅のインテリアとの相性を確かめるために、撮影した部屋の写真を取り込んで確認することもできる。その組み合わせは、5万通り以上にもなる。
「最近のお客様は、ユニークピースであることをより実感するために、ご自身が商品のクリエイションに携わるということを心から楽しんでくださいます。つまり、世界であなただけの“作品”がつくれるのです。じっくり考えていただくために、この麻布台ヒルズ店があります。オーダーの要望にも応えることができる、これはサンルイの大きな強みです」
新店舗では新作も展開する。「フォリア」コレクションからは、コードレスで持ち運びできるポータブルランプのミニバージョンが世界に先駆けて登場。また、メゾンの職人技術が詰め込まれた逸品として人気のペーパーウェイトの数々が、アート作品のように並ぶ。
サンルイ麻布台ヒルズ店は、メゾンの小宇宙を俯瞰し、創造力を刺激するミュージアムのようだ。想像を膨らますほど、Art de Vivre の夢は尽きない。
緑豊かな麻布台ヒルズは、森に囲まれた工房で作られたクリスタルを見るにふさわしい。2024年は、この日本唯一の路面店オープンだけでなく、サンルイの製造技術がユネスコの「人類の無形文化遺産」の代表リストに登録される予定も控えている。© Nacása & Partners Inc
SAINT-LOUIS AZABUDAI HILLS STORE
サンルイ麻布台ヒルズ店
東京都港区虎ノ門5丁目9番1号 麻布台ヒルズ ガーデンプラザB 1F
TEL.03-3569-3300