RAKU SUISAN - NISEKO, HOKKAIDO

わずか18室の小さな宿で
ニセコの夏を五感で愉しむ

July 2021

開業から一年も経たずして富裕層たちがこぞって訪れる「楽 水山」はこの地の恵みすべてを心ゆくまで堪能できる、上質な里山の湯宿だ。

 

 

館内のすべての場所から、美しい羊蹄山の姿を望むことができる。上写真は、ゲストを迎えるラウンジ。夕刻にはカクテルタイムも。宿にゆかりのある書籍が揃うライブラリーやバーも併設されている。

 

 

 

 パウダースノーの聖地として国内外の富裕層を魅了する北海道・ニセコに、客室数わずか18の小さな宿「楽 水山」が誕生した。この平家造りの宿が位置するのは、ニセコの中心地ヒラフからクルマで5分ほどの場所。ラウンジや食事処、そしてすべての客室から、蝦夷富士の愛称で親しまれる羊蹄山を望むことができ、そのシンメトリーな姿は、ニセコ屈指の美しさとの呼び声も高い。

 

 宿の名は、孔子の『論語』の一文「知者楽水、仁者楽山(知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ)」に由来する。羊蹄山を望み、尻別川に抱かれるニセコの豊かな自然のなかに身を置くことで、我々人間も生き物であり自然の一部であることを感じてほしいという思いが込められている。

 

 離れのようにそれぞれが独立した建物になっている客室には、すべてに源泉掛け流しの温泉を完備。窓は羊蹄山側のみに向いているため、他のゲストからの視線が気になることは一切ない。木の温もりが溢れる落ち着いた和の内装は、カラマツやトドマツといった北海道産の木材が多用されたもの。アクセントとして控えめにあしらわれた宿にゆかりのある地域のアート、そして窓枠いっぱいに広がる大自然の景色が空間に彩りを与えている。この場所にいるだけで、日常の煩わしさから解き放たれていくのを感じるに違いない。

 

 

全室に源泉掛け流し露天風呂が設えられている。とろりとした泉質は筋肉痛や関節痛などの症状に効能がある「樺山温泉アンヌプリの湯」。加水・加温・循環ろ過なしの約50度という熱めの源泉を好みの温度に調節できる。

 

 

 

 旅の醍醐味である食も、諸兄の想像を凌ぐだろう。北海道出身の料理長が「驚くほど食材に恵まれている」と言うように、例えば夏はアスパラガスやトマトやじゃがいも、イチゴやさくらんぼ、ウニやイカに至るまで、ざまざまな山海の食材の宝庫であるニセコ。だからこそ、食事処「ゆきあい亭」に決まったメニューは存在しない。料理長自ら生産者のもとへ足を運んで厳選した地産地消の旬の食材を使い、その日その日で異なる献立が作られるのだ。和や洋といったジャンルにとらわれていないだけでなく、寿司や天ぷら、鉄板カウンターまで用意されているため、連泊をして、さまざまな北海道の味覚を堪能し尽くしてみてはいかがだろう。

 

 冬のパウダースノーばかりが注目されがちなニセコではあるが、夏こそ、この大地が育む恵みを余すことなく享受できる季節なのだ。雪が少し残る羊蹄山や風にそよぐ青い芝生、耳に心地よい小鳥の囀り、鼻をくすぐる新緑や新蕎麦の香り、イカやウニ、とうもろこしやメロンの甘味……ひとつひとつの要素すべてが、諸兄の五感を満たしてくれるだろう。夏のニセコはたくさんの感動に溢れている。

 

 

 

食事処「ゆきあい亭」では、旬の北海道産の山や海の幸を料理のジャンルにとらわれないおまかせで楽しめる。一皿一皿に見られる料理長の細やかな手仕事に誰もが脱帽するだろう。同食事処内には4席だけの寿司・天ぷら処「入舟」や8席の鉄板処「海王」も。こちらは料理の一例。ニセコ産わさび菜「花穂」を添えた「メジマグロのカツ」と、ニセコ産のとうもろこしと甘酒をスープ仕立てにした雲丹帆立の料理。

 

 

木の温もり溢れるベッドルーム。客室は2名定員の洋室(75㎡)と4名定員の畳の間と洋室(95㎡)の2タイプ。いずれもベッドルームとは別に、広々としたリビングルームも擁している。洗濯乾燥機も全室に完備。新千歳空港からクルマで約150分。JR倶知安(くっちゃん)駅からクルマで約15分。新千歳空港からのハイヤー(有料)と、倶知安駅からの送迎(無料)はいずれも7日前までの予約制。

 

 

 

 

楽 水山

北海道虻田郡倶知安町樺山119-1

TEL. 0136-22-0520

2名1室¥120,000 〜(グリーンシーズン)/¥220,000 〜(ウインターシーズン)

※2名合計料金、税別・サービス料込

www.raku-suisan.com/

 

 

 

本記事は2021年7月26日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue41