MARK OF A MAN

世界のファッショニスタに学べ:マーク・チョー

October 2021

世界中のウェルドレッサーを虜にしているメンズウェアショップ「アーモリー」の創設者のひとりであるマーク・チョー。

サルトリアルの世界における彼の存在感は日に日に大きくなるばかりだ。

 

 

text tom chamberlin

translation wosanai

photography chan tsz fung

 

 

マーク・チョー/Mark Cho

1983年、ロンドン生まれ。米国ブラウン大学卒業。投資会社を経て、2010年、アレン・シー氏とともに香港でアーモリーを設立。同年、英国タイメーカー、ドレイクスの共同オーナーとなる。2013年にはアーモリーをNYにも進出させ、現在では香港に2店舗、NYに2店舗を展開。世界が注目するウェルドレッサーのひとりだ。インスタグラムアカウント@markchodotcomも要チェック。

 

Suit: 東京のサルトリア チッチオで仕立てたスーツはコットンシアサッカー。とても柔らかく、ナポリ的で夏には最適な一着。特にマークの活動拠点である香港ではなくてはならない一着かもしれない。ソフトなコンストラクションとは対照的にラペルはレーザーシャープ。「スポーティなものが欲しかったのでパッチポケットで仕立ててもらいました。ジャケット、またはトラウザーズ単品でも様になるようなバランスで作ってもらっています」。

 

 

 

 少なくとも私はマーク・チョーという人物に嫉妬している。マークはアーモリーとドレイクスに疑いようのないセンスを供給し続けてきた。非常に忙しい日々を過ごしているにもかかわらず、いつも落ち着いていて穏やかな人物だ。インスタグラム(@markchodotcom) の動画では現在、彼のショップで購入できるアイテムをピックアップし、なぜ彼がそれを選んだのか、そしてどのようにそれを着こなすかなど、あなたのショッピングを丁寧にアシストしてくれている。彼は洋服にとてつもない情熱を持っていて、きっとこの熱は一生消えることはないだろう。

 

 彼の洋装に対する視野の広さと深い理解は、長いロンドンでの生活(仕事はもちろん、実際彼は英国で生まれ育っている)、そして中国での経験が生きているのだろう。

 

「イギリス人は、消費者にばれないようにどれだけ安いものを作れるかという努力をするより、できるだけベストなものを作ろうと試み、そしてそれを正しいターゲットに届けようとしているように思います」

 

 

 

ペイズリー柄のタイは、もちろんドレイクス。オフホワイトのタブカラーシャツはアスコット チャンでビスポークしたもの。生地はカルロ・リーバ。「基本的にはボタンダウンかタブカラーのシャツしか着ません。1950年代、60年代のアイビー・スタイルが好きですね」。

 

 

手彫りのブレゲ数字が印象的なタイムピースはNaoya Hida & Co.の「NH TYPE 1B」。日本の独立時計師によるものだ。同モデルはすでに完売。年に45本くらいしか生産されていない。「最初は顧客として飛田さんに出会いましたが、その後アーモリーにてNaoya Hidaのトランクショーを行いました。結果はすばらしいものでした」。

 

 

 

 

 今日、サルトリアルの世界における彼の声はより影響力が強くなってきている。ドレイクスはネクタイ専業という枠からとうに外れ、幅広いメンズスタイルを提案するブランドに成長し、サヴィル・ロウに店を構えている。

 

 このページにマークが登場してくれることになったときにはすでに私は大船に乗ったつもりでいたわけだ。間違いが起こるわけがない。さあ彼にしかできないオリジナルなスタイルの詳細に迫る時間だ。

 

 

 

カランダッシュのプッシュトップ ボールペンはマークのお気に入り。色違いで揃えている。「最近あまりポケットスクエアを胸に挿さなくなりました。その代わりにこのボールペンを忍ばせています。印象も少し変わりますよね。実際使い勝手もいいんです」。近年では物書きとしてのレベルアップも図っている彼には、より実践的であるようにも思える。

 

 

Zinoのジェットライターは彼の妻からのプレゼント。彼はシガリロやシーズンドシガーを嗜む。「特にこのパンデミック中は喫煙が増えました」。この撮影時に吸っていた短めのシガーがお気に入りのようだ。

 

 

スエードで作ったシングルモンクストラップの靴はお気に入りの一足。ヨウヘイ フクダでのビスポーク。引き続きテーマは日本。繊細なディテールと卓越した技術をマークの目が逃すはずがない。付け加えると、ヨウヘイ フクダはジョージ クレバリーやガジアーノ&ガーリングのアウトワーカーとしての経験もあり、大きいサイズの靴作りに慣れ親しんでいることから、大きいサイズの靴をエレガントに仕上げる数少ない職人のひとりだといえる。