POCKET GUIDE: CRAFT WORK

世界のファッショニスタに学べ
トビー・フォンとT.C.チン

Tuesday, July 20th, 2021

 

香港を拠点とするトビー・フォンとT.C.チンは、ビスポークメンズウェアがより身近なものになってほしいと思うのと同時に、顧客にモノの質を見直してもらいたいと願っている。

 

 

by ben st. george 

translation wosanai

photography jonathan tang

 

 

Tobe Fong and Ng Tze ‘T.C.’ Ching

Craftsman Co. 創業者

 

 

 ここ数年、香港のブランドCraftsman Co.についてよく耳にするようになった。このブランドを始めたのはふたりの香港人、トビー・フォンとT.C.チン。カスタム&ビスポークで作られるレザージャケットはとても美しい仕上がりで、世界中で熱心なファンを作っている。

 

 トビーとT.C.が出会ったのは、2006年のとあるメンズウェア・フォーラム。話すとすぐに意気投合したようだ。

 

「私たちがCraftsman Co.を始めた理由は、最高の素材を良心的な値段でカスタムオーダーできるというサービスが、マーケットになかったからです」

 

 

左:「このヴィンテージのロレックス デイトジャストは、他界した父親が残してくれたもののひとつです。彼が残してくれたものはすべてすばらしいものばかりです。ちょっと雰囲気を変えるために、カモフラージュ柄のスエードストラップに変えてあります。アースカラーのトーンとゴールドの相性がよくて気に入っています。日頃よく着けているのもこれです」とトビーは語る/右:トビーのサングラスは、トム フォード。彼曰く、すべては自分にあったシェイプのものかどうかだけだという。「 チャレンジしてみることもあります。ですが大きすぎる頭にはいろいろ難しい問題もあるのです」。

 

 

 

 人々が考える香港の職人の仕事への見方が変わってくれることも、このブランドでは重要なプロジェクトのひとつだとトビーは語る。

 

「40年以上の経験がある職人たちによって、我々の洋服は作られています。これは、我々が香港を拠点にする大事な理由のひとつです」

 

 目標はビスポークサービスがより広まり、より利用しやすくなること、そして人々が今一度、モノの質に価値を見出だすことだとトビーは語る。

 

「人々が着る洋服の数は限られています。少量のいいものを着る習慣は、環境にもいいと思います」

 

 

左:T.C.の1930年代後半のロレックス バブルバック 3133は、厚めのオートローターが入るため少々肉厚な設計。「このセミ・カリフォルニアダイヤルの感じがいいですよね。スポーティではないものに、このメルセデス・ハンズがついていることも珍しいと思います」。時計と合わせたレザーのアクセサリーは、日本のゴローズとフラットヘッド/右:日本で見つけたインディゴブルーのバンダナは、アメリカ製のヴィンテージ。「このシルクリネンのアイボリー色のジャケットに非常に合うんです。生地がホーランド&シェリー製ということはわかっているのですが、どのテーラーが作ったかは未だに謎です」。

 

 

 

 香港でのローカルビジネスと同様にふたりは重要なクライアントに会うために海外を飛び回っている(デイビッド・ギャンディも彼らの顧客のひとり)。日取りがだいたい決まっている俗に言う“メンズウェア・サーキット”(世界で行われるメンズの見本市、展示会、ショー等を回る事)でもよく彼らを目にする。

 

 未来のビスポークメンズウェアシーンを見据える彼らのビジョンは、クリアであり、非常にワイドだ。

 

 

トビーのエス・テー・デュポンのライターも父親が残してくれたもの。「このピーンという音が本当に美しいですよね。おかしな話が、父親は喫煙家ではなかったのです。なぜ彼がこれを持っていたのかはわかりません」

 

 

トビーのオフホワイトのコットングルカトラウザーズはCraftsman Co.のもの。スタイルだけでなく、リラックスシルエットがより好みのようだ。「 以前好んで着用していたトラウザーズはとても細いものでした。シャツに至っては力をいれてジャムの瓶をあけようとしたら破けるのではないかと思うほどでしたよ。ですが今は、より呼吸感のあるテーラーリングのものを着るようになりました」。

 

 

 

 

 

「ヴィンテージの眼鏡を集め始めて、今は30本くらいあります。タートやスティルライト、アメリカンオプティカルなどもあります。このOP-27Tはオリバーピープルズヴィンテージのレトロモデルです。最も同社らしいスタイルのひとつで、オリジナルのアーカイブから復刻されたものですが、素材や質はアップデートされています」とT.C.。

 

 

T.C. が選んだグルカトラウザーズも自身のブランドCraftsman Co.。アルバート サーストンのブレイシズは、The Rake別注のもの。

 

 

 

THE RAKE JAPAN EDITION issue27