POCKET GUIDE: AKIHIRO SHIKATA
世界のファッショニスタに学べ:スタイリスト、外しの美学 四方 章敬
April 2024
スタイリスト、四方章敬。あまたのファッション誌のスタイリングを手掛ける、日本のメンズファッション界を牽引する存在だ。そんなファッショニスタの素顔に迫る。
text shuntaro takai
photography masaki kuroda
Akihiro Shikata/四方 章敬
スタイリスト。1982年、京都府生まれ。文化服装学院を卒業後、スタイリストアシスタントに。クラシックファッションに精通。現在はオリジナルアイテムの企画を監修するなど、活躍の場を広げている。
チェーザレ アットリーニのスーツに、ディエトロレクインテのシャツ、小紋柄ネクタイ、スリップオンをセレクトし、クラシックなアイテムをシンプルにまとめた。チーフを差さないことで“ 抜け感”を演出。ギュパールのメガネは薄いブラウンのレンズが入っており、ほんの少しの洒落感をプラスしている。
メンズファッション愛好家で四方章敬氏の名前を知らない者はいない。かく言う私も氏のファンである。クラシックに忠実ながらも、ひと捻りあるスタイリングには唸らされるばかりでいつもお手本にしてきた。しかし今回の取材では、四方氏の意外な一面を知ることになる—。
スタイリストになったきっかけはスタイリストブーム。専門学校時代に読んだファッション誌のスタイリスト企画で、裏方の仕事が格好いいと憧れを抱いたそう。「学校の時間割とか、決められた時間に決められたことをするのが苦手なんです。しかもスタイリストは誌面に出たりして格好いいなと思いました」と冗談交じりに笑顔で語る。洋服が好きというのは大前提であるが、そういった自由なイメージに惹かれて目指した、というのには驚いた(実際スタイリストアシスタントになると理想と現実はかけ離れていて、修業の日々を過ごす)。
当時はカジュアルなスタイルを好んでいたが、ある転機が訪れる。それは、「ここに2着のネイビー無地のスーツがある。一方は一般的なスーツ、もう一方はサルトリアのスーツ。この違いがわかるか」という師匠からの質問だった。その問いをきっかけに両者の違いに興味を持ち、サルトリアのスーツ、とりわけイタリアのスーツにのめり込んでいった。
クラシックファッションのスタイリングに定評のある同氏に、そんな1ページがあったとは想像もしなかった。飾らない人柄に確かな実力、四方氏の活躍から目が離せない。それではスタイリングを見ていこう。
ジョンロブ「デラーノ」。スリップオンを合わせて“抜け感”を演出するのがポイント。ネイビーとグリーンの相性は抜群だ。
パテック フィリップの「カラトラバ」。小ぶりなサイズで、手首とのバランスがよいのだという。