PERSOL'S TIMELESS VISION
サングラスの不動はペルソール
July 2020
世界で最もアイコニックなアイウェア・ブランドのひとつ、ペルソール。
その魅力はクラフツマンシップとテクノロジーに対するこだわりにある。
text aobh o’brien-moody
アイウェア業界のトレンドを席巻しているのは、相変わらずペルソールだ。数十年もの間、ハリウッドスターやスポーツ選手に愛されてきた。その人気は今もライバルを探すのが困難なほどである。しかし、伝統的なイタリアのクラフツマンシップに根ざしたこのブランドの嚆矢(こうし)は、現在の隆盛とはほど遠く控えめなものだった。
1917年、ジュゼッペ・ラッティというイタリアの眼鏡職人は、トリノの家の中庭で眼鏡の製造を始めた。それらはパイロットが着用するために設計されており、快適さと安全性を念頭に置いた、最高の視界を得られるよう作られていた。その名の通りの性能を持つ“プロテクター”という最初のモデルは、イタリア軍に採用され、1918年にかのガブリエーレ・ダンヌンツィオが率いるウィーンでの伝説的な飛行にも着用された。
映画『華麗なる賭け』(1968年)で、ペルソールのPO714を着用するスティーブ・マックイーン。彼が日常でもこのモデルを愛用したことでPO714は一躍有名になり、以降定番アイテムとなった。
ペルソールという名がついたのは、1930年代になってからだ。同社の控えめなラグジュアリーの哲学に沿った名前は、気取らず要を得ている。“Persol”はイタリア語で“太陽のため”を意味する“per il sole”が語源となっており、サングラスの純粋な機能を考えると実にシンプルで適切なネーミングである。また、ヒンジに施された、古代戦士の剣をモチーフとした矢(シルバーアロー) の装飾は、同社のトレードマークとなった。
ペルソールが本格的にマーケットへ登場したのは戦後だった。研究と技術革新への多大な投資によって、埃や破片、太陽光線から目を確実に保護する頑丈で機能的なデザインを生み出し、ブルーカラーの間で一躍有名になったのだ。また、過酷な状況でのサングラスの普及も進めた。ノルウェーのスヴァールバル諸島への遠征から、パリ-ダカール・ラリー、さらにはロシアの宇宙飛行士のサバイバルトレーニングにまで使われた。
同時に、ペルソールはハリウッドスターの間でも人気を博した。1968年の映画『華麗なる賭け』では、スティーブ・マックイーンがペルソールのPO714を着用して登場した。それ以降、PO714は半世紀以上にわたりクラシックとして存続している。これは、ペルソールのブランドとしての継続性をも示している。
風と埃を防ぐ必要があったトリノの市電の運転手のために考案されたPO649は、折りたたみ式のPO714のベースとなったモデル。『イタリア式離婚狂想曲』(1961年)でマルチェロ・マストロヤンニが着用した。$ 180 Persol
ペルソールは常にルーツに忠実であり、高品質の職人技と時代を超えたデザインを守り、トレンドやシーズンを超えてデザインされた“作品”を生み出し続けている。これらは、伝統と技術のユニークな融合を象徴するものであり、科学的知識と世代を超えて受け継がれた職人のノウハウが見事に詰まっている。さあ、 今すぐ完璧な1本を見つけよう。