PAUL STUART × VITALE BARBERIS CANONICO
ポール・スチュアートの日本におけるディレクター
鴨志田康人氏が語るVBCの魅力とは?
February 2020
鴨志田康人氏がポール・スチュアートの日本におけるディレクターに就任した。
アメリカ本国のクリエイティブ・ディレクター、オリエンマ氏と鴨志田氏との、興味あふれる対談。
photography natsuko okada still photography jun udagawa styling akihiro shikata
(左)ラルフ・オリエンマ氏/Ralph Orienma
イタリアのブランドで米国市場向けの企画・デザインに携わったのち、ラルフ ローレン パープルレーベルのデザインを担当。現在はポール・スチュアートのクリエイティブ・ディレクターで、2006 年よりフィニアス・コールも手がけている。
(右)鴨志田康人氏/Yasuto Kamoshita
ユナイテッドアローズの設立から参画し、2004年から同クリエイティブ ディレクター、昨年よりクリエイティブ アドバイザー。07年、「カモシタ ユナイテッドアローズ」を始動。2019FWよりポール・スチュアートの日本におけるディレクターに就任。
オリエンマ 鴨志田さんはずっと私のサルトリアルヒーローのひとりでした。彼のスタイルは常にエフォートレスエレガンス。エレガントであるけれども常に自然体、それでいてグラマラスなんです。クラシックは堅くなりがちですけど、決してそうはならないところに鴨志田さんの美しさがあると思います。今回、ポール・スチュアートの日本におけるディクレターという大役を引き受けてくれたこと、今こうして一緒に働いていることを、とても嬉しく幸せに思っています。
鴨志田 ポール・スチュアートには他のアメリカントラッドとは一線を画す雰囲気があって、大人だなぁと高校生の頃から思っていました。今思えば、アメリカンクラシックにヨーロッパのインフルエンスが入っていたり、ブリティッシュ色が濃かったり、ポール・スチュアート独特の色使いとか、さまざまな要素が混じっていたとわかるんですけど、憧れのブランドであると同時に自分にはハードルが高いブランドでもありました。NYの店に初めて入ったときも、すごくソフィスティケイトされているなと感じましたし、洗練という言葉が最も似合うブランドだと、今でも思っています。
THE RAKE その洗練をしっかり残しながら、さすが上手に再構築して新しい風を吹かせたなぁ、と率直に感じました。
オリエンマ 鴨志田さんは新しい風を吹き込んでくれると確信していました。私たちは、ポール・スチュアートのDNAはしっかり大切に残しながら、流行を追わずともグラマラスな服ではありたいと常々思っています。そういった中で今回のコレクションでは、ヴィターレ バルベリス カノニコ(以下VBC)の新作生地が大きな役割を担ってくれました。その中心となっているのが、スーパーソニックという生地です。ウール100%でありながら優れた防シワ性、ナチュラルストレッチ性を誇り、もちろんしなやかなタッチで、世界中を忙しく飛び回るビジネスマンやジェットセッターたちのライフスタイルにとてもマッチしています。この生地は今までのポール・スチュアートの顧客とは異なる若い人たちに向けての訴求力もありますし、今の柔らかな仕立てのスーツともマッチしています。トラベル素材の黄金時代に入った今、スーパーソニックは我々の時代にとって、最も重要なファブリックになります。
鴨志田 本当にすばらしい素材は、既存のお客様にも新しいお客様にも喜んでいただけるんですよね。スーパーソニックは本当にすばらしい生地ですし、VBCのもうひとつの新作生地、ラミネート加工によって防水、防風、透湿性を備えたアース ウィンド&ファイアーは、柔らかなウール素材に最高の機能性を融合させています。今回のコレクションにあるM-65タイプのブルゾンに同生地を使用しているのですが、スーツの上からでも着られる多機能アウターにナチュラルなウールの機能素材を乗せた提案は、ポール・スチュアートらしさを残しながら、今日のニーズにも合っていると思うんです。
オリエンマ そのとおりです。バルベリスは心の底から私にとってナンバー1の生地を提供してくれるメーカーです。イギリスで織られた生地のような雰囲気を感じさせてくれますし、最高の品質で高級感があり、何よりお客様に付加価値を提案することができる。そこがいちばんの魅力です。
鴨志田 そういう要素を大切にしながら、成熟した大人のための品格あるコレクションを再構築していきたいですね。