Simpson London Managing Director
Patrick J Coyne Interview

古くて新しい、
最高級レザーブランド

September 2018

 

英国のシンプソン ロンドンは、200年の伝統と技術を受け継ぐかたわら、

新しい時代に合ったモノ作りにも挑戦している。

レザー・ビジネスを知り尽くした男に、その戦略を伺った。

 

photography tatsuya ozawa

 

 

Patrick J Coyne  / パトリック・コイン

1959年、ロンドン生まれ。200年の伝統を継承する、シンプソン ロンドン マネージング・ディレクター。ダンヒル、アスプレイなどで、レザー・ビジネスに長らく携わった後、2015年、シンプソン ロンドン入社。同社を発展に導いた。週末の趣味はゴルフ。4人の子供の父であり、4人の孫の祖父でもある。

 

 

 

 巷では英国風がもてはやされ、ブリティッシュ・ライクな、かっちりとしたバッグやレザーグッズに人気が集まっているが、その真打ちともいえるブランドを紹介しよう。“シンプソン ロンドン”である。

 

 その歴史は、19世紀まで遡る。創業1860年、かつて英国最高峰といわれた老舗、タナー・クロールからのれん分けしてできたのがシンプソン ロンドンなのだ。1997年、タナー・クロール創業者一族のロバート・シンプソンによって興され、現在では、ロンドン市内に工房を構える唯一の、そして英国屈指のレザーグッズブランドとなっている。

 

 200年にわたる伝統と技術を継承する同社の舵取り役、パトリック・コイン氏にインタビューする機会を得た。

 

 

 

「1997年にシンプソン ロンドンがスタートしたときは、たった6人の職人しかいませんでした。しかし彼らは、タナー・クロール時代からの長い伝統と技術を継承していました。トラディショナルな手仕事のスキルです。ハンドステッチと鞄の構造を作る技術は、特に秀でていました。そこで彼らを先生役として、若い職人たちを教育させました。ロンドン・スクール・オブ・ファッションやコードウェイナーズなどの一流校からも卒業生を迎え入れ、いまでは31人の職人を抱えるまでになりました」

 

 近年、ロンドン東部テムズ河沿岸のドックランズに新しい工房を構え、生産能力が飛躍的に高まったという。

 

「ドックランズは、ロンドン・オリンピックのスタジアムにも近い、いま注目のエリアです。そのロケーションは素晴らしく、交通も便利なところです。われわれはそこに、約3350平米の広さを誇る新しい工房を作りました。追求しているのは、何よりもクオリティです。加えて、生産キャパシティも充実しつつあります。われわれのカスタマーが期待しているラグジュアリーな品質を満たしつつ、より多くの商品をお届けできるようになったのです」

 

 

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