PARMIGIANI FLEURIER “TONDA PF AUTOMATIC”

ヴィンテージを醸し出す小径モデルの
奥ゆかしいエレガンス

November 2022

今人気のラグジュアリースポーツウォッチはケース径が大きい傾向にあるが、だからこそ小径モデルが新鮮に見える。パルミジャーニ・フルリエの「トンダ PF オートマティック」に新たに加わった36mmモデルは、小径ゆえヴィンテージな雰囲気を醸し出す。さらに美しいディテールと控えめな佇まいにより、ドレススタイルを一気に格上げしてくれる。

 

 

 

text tetsuo shinoda

photography jun udagawa

styling akihiro shikata

 

 

 

36mmのケース径は、クラシックなテーラードスーツにぴったりのサイズ感。さらにケース厚は8.6㎜しかないので、シャツの袖口に干渉せず、すっと馴染む。シルバーサンドカラーのダイヤルは絶妙なニュアンスカラーで、シンプルなグレイスーツにマッチする。時計「トンダ PF オートマティック」 自動巻き、SSケース(プラチナ950製ベゼル)&ブレスレット、36mm¥2,750,000 Parmigiani Fleurier(パルミジャーニ・フルリエ pfd.japan@parmigiani.com) スーツ¥829,400、シャツ¥79,750、タイ¥35,200 all by Cesare Attolini(ディエトロレクインテTEL.03-6427-9894

 

 

 

 ラグジュアリースポーツというジャンルが人気を博している。ドレスウォッチに匹敵する美しい仕上げのケースとブレスレットを持つスポーツウォッチのことで、オンとオフをクロスオーバーする汎用性の高さが評価されている。近年、多くの時計ブランドがこのジャンルの時計を発表しているが、中でも時計愛好家から熱く支持されているのが、パルミジャーニ・フルリエが2021年に発表した「トンダ PF」コレクションだ。

 

 そもそもパルミジャーニ・フルリエというブランド自体が、特別な物語を持っている。そのルーツは1976年に開かれた時計修復工房にあり、主の名はミシェル・パルミジャーニ。彼は老舗ブランドのヒストリカルピースの修復を担当し、80年から彼の才能を認めたスイスの名家サンド家の財団が所有する希少なコレクションの修復と管理を担当するようになる。そして、財団のバックアップを受けて彼の修復工房を発展させる形で96年に発足したのが、時計ブランドの「パルミジャーニ・フルリエ」だ。

 

 彼は設計図さえも存在しない時計の修復を通じて古の時計師たちと対話を続け、知識と経験を積み重ねてきた。ゆえに彼が生み出す時計の数々は、どこかクラシカルな趣がある。ギヨシェパターン、ロゴ、針など随所に⾒られる⻩⾦⽐に基づいて計算されたフォルムや、ベゼルのローレット加工といった細やかな装飾は歴史的な重みを感じさせるが、その一方でティアドロップ型のラグなど華やかなデザインも巧みにミックス。単なる懐古主義の時計ではなく、現代的な美意識も兼ね備えている。

 

「トンダ PF」コレクションは、丁寧な手仕事から生まれる贅沢なディテールをもつスポーツウォッチにもかかわらず、ブランドロゴさえも主張しないミニマルでリッチなデザインで、実にパルミジャーニ・フルリエらしい、華美でない控えめなエレガンスを確立した。そこが目の肥えた愛好家たちに評価されているのだ。

 

 最新作となる「トンダ PF オートマティック」は、ケース径を36mmに抑えたことで、よりヴィンテージウォッチのような雰囲気が加わった。タフなステンレススチールケース&ブレスレットを備え、防水性能は100m。スペックとしてはスポーツウォッチではあるが、細部にまで行き届いた精緻な仕上げや、ステンレススチールとは違う輝きのグラデーションを演出するためにベゼルをプラチナ製とするなど、全体に気品が漂い美しい。ラグジュアリーだがこれ見よがしではなく、上質なミニマリズムを纏ったタイムピースとなっている。

 

 こうした時計は、実はスーツスタイルに良く似合う。スーツにはレザーストラップの時計を合わせるべきという意見もあるが、そんな先入観から脱却し、自分らしく時計を楽しみたいものである。36mmの小ぶりな「トンダ PF オートマティック」は、それを可能にしてくれるのだ。

 

 

 

ダイヤルに施されたバーリーコーン・ギヨシェは、熟練の職人が一筋ずつ手仕事で彫り込んでいく。美しいだけでなく、ダイヤルの反射を抑えて針に視認性を高める効果もある。小さくミニマルなバーインデックスは、ダイヤルの美しさをしっかり見せてくれる。

36mmケースモデルの搭載ムーブメントは、自社製の自動巻きCal.PF770。ムーブメント自体の厚さは3.9mmと薄型化を実現している。ケース&ブレスレットの素材やダイヤルの違いによる3つのバリエーションを展開。ローズゴールドモデルは、時計界のアカデミー賞と称される「ジュネーブ時計グランプリ 2022」(GPHG)の部門賞を獲得し、批評家たちからも認められる時計となった。左から:シルバーサンドダイヤルモデル。SSケース(プラチナ950製ベゼル)&ブレスレット。¥2,750,000/インデックスにバゲットカットのダイヤモンドがセッティングされたウォームグレーダイヤルモデル。SSケース(プラチナ950製ベゼル)&ブレスレット。¥3,696,000/インデックスにバゲットカットのダイヤモンドがセッティングされたディープルビーダイヤルモデル。18KRGケース&ブレスレット。¥7,337,000 Parmigiani Fleurier

 

 

パルミジャーニ・フルリエ

pfd.japan@parmigiani.com

www.parmigiani.com/jp/