NEW PEUGEOT 408
【プジョー408 GTハイブリッド】こいつはかなり個性的
February 2024
フランス車はいつの時代も独自の路線を歩んできた。個性的な内外装を持つプジョーのフラッグシップには、フランスならではの伝統が受け継がれている。
text tatsuya kushima
PEUGEOT 408 GT HYBRID
全長×全幅×全高:4,700×1,850×1,500mm/エンジン:1.6L 直列4気筒ターボ+モーター/システム合計最高出力:225ps/システム合計最高トルク:360N・m/ハイブリッド燃料消費率:17.1km/L/EV走行換算距離:66km
フランス車にはどんなイメージがあるだろうか。パリの街中を小粋に走るオシャレなクルマといったイメージもあれば、ラリーで活躍するハッチバックのモンスターマシンを思い描く人もいるだろう。奇抜なデザインや雲の絨毯のような乗り心地もそうだ。歴史を紐解けば、時代ごとにそういった特徴が語られる。戦前は高級車ブランドが多かったのも事実だ。
そしてその都度彼らは独自路線を歩んできた。フランス以外の多くのブランドがトレンドを鑑みて車両開発を行っている中、それを踏まえながらもオリジナリティに溢れるモデルを次々投入してきた。
今回スポットライトを当てるプジョー408もまたその意味でフランス車らしい一台と言える。2023年6月に発表され、話題となったモデルだ。
インテリアはオリジナリティに溢れる。小径ステアリングとスイッチ類を機能的に配したi-Cockpitが特徴で、ドライビングを安全かつ楽しくさせる。
フランス車らしいポイントはまずはカタチにある。SUVが席巻する昨今、各ブランドは大型SUVとセダンをフラッグシップモデルに置くが、プジョーはそこにこのクルマを据えた。ファストバックとクロスオーバーを融合させたボディデザインのモデルを投入したのだ。しかも、高級感を注入しながら、セダン、ステーションワゴン、SUVの特性を持たせる工夫をした。キーワードは「解き放たれた新種」だそうだ。なるほど、こいつはかなり個性的。合理主義者のフランス人らしい産物と言えなくもない。
そしてそこにプジョーならではのデザインが施される。ライオンの牙をモチーフにしたLEDデイタイムランニングライトや鋭いライオンの爪をイメージさせる3本のLEDリアランプなどだ。グリルやエンブレムとともにブランドの世界観を強く演出する。
インテリアもそう。トグルスイッチを配した近未来的なダッシュボードや進化したi-Cockpitが独自性を表現する。デザイナーが楽しんでデザインした跡が垣間見られるのは気のせいだろうか。フランス人の遊び心を感じる。
パワートレインは1.2リッター直3ターボのガソリンエンジンと1.6リッター直4ターボとモーターのハイブリッドを用意する。フランス車らしい小排気量ターボと時代とパワーに対応するハイブリッド車だ。排気量を抑えながらモーターを活用してパワーを稼ぐハイブリッドはバランスがよく、走りが楽しい。
そんなプジョー408を実際に走らせると、そこにはフランス車の味がしっかり根付いていた。軽めのステアリング、粘りのあるリアサス、路面状況を問わないフラットな乗り心地はさすがだ。というか、新開発の408ではそれがさらに磨きがかかっているように思える。目隠しで助手席に乗せられても一発でフランス車と言い当てられる仕上がりだ。見た目だけじゃなく走らせて光る味付けがプジョーの醍醐味。408はそれを体感できるフラッグシップカーになっている。
トグルスイッチをはじめとするスイッチ類を未来的にデザインしているのも新鮮。ロングホイールベースのキャビンは広くゆったりした空間が広がる。カーゴも十分なスペースを確保した。