AUDI A8 L : INNOVATION, TECHNOLOGY AND ELEGANCE

AUDI A8 L:これぞ大人のためのハイエンドモビリティ

January 2023

先進のアウディ、そのフラッグシップモデルがA8シリーズだ。モータージャーナリストの九島辰也が、心動かされた理由を綴る。

 

 

 

text TATSUYA KUSHIMA

 

 

 

AUDI A8 L

1994年のリリース以来、フラッグシップモデルとして君臨しているA8シリーズ。新型は第4世代のフェイスリフト。フラッグシップとしてアウディの最先端技術が満載されるのが役割となる。全長×全幅×全高:5,320×1,945×1,485mm/車両重量:2,160kg/エンジン:4リッターV8ターボ+48Vマイルドハイブリッド/最高出力:460ps/5,500rpm/最大トルク:660Nm/1,850-4,500rpm

 

 

 

 

 最近「クルマはみんなEVになるの?」という質問をよく受ける。各メーカーがそれぞれのロードマップを掲げているが、その中心になるのはEVだからだ。「2030年に全車EVにします!」なんて宣言を切り取ると、まさにそれ以外のクルマはすべて世の中から消えてなくなってしまうように思えて仕方ない。

 

 その結論はここでは置いておくが、現実的に魅力的なEVが増えているのは確か。当初はボテッとしたファミリーカーが多かったが、このところシュッとしたスポーティなモデルも増えている。アウディがラインナップするe-tronシリーズはまさにその代表格。彼ららしいセンスのいいデザインと最先端のテクノロジーが見事に融合されている。

 

 そんなアウディブランドではガソリン車も充実している。フラッグシップはここでスポットを当てるA8シリーズ。今回はそのロングボディとなるA8L 60 TFSI quatroを走らせてみた。こちらもデザインとテクノロジーでライバルを圧倒している。

 

 エクステリアはこれまでのA8をデザインキーとするが、進化の度合いはハンパない。光にキラキラと反射するフロントグリルはゴージャスで、存在感を強くアピールする。それとデジタルマトリクスLEDヘッドライトとOLEDリアライトは強烈なインパクトを与える。有機的な光の動きに未来を感じずにはいられない。

 

 インテリアもそう。特筆すべきは後席で、文字通りのファーストクラスとなる。助手席側リアシートに座るとボタンひとつで座面が前へずれくつろぎのポジションになると同時に前席が前へスライド、背面からオットマンが現れるのだ。しかもシート自体にベンチレーションとマッサージ機能もついている。これらはオプション装備だが、ここまで手が込んでいればエグゼクティブの皆さまも納得であろう。

 

 そんなクルマの走りはまさに動くリビング。キャビンはどこまでも静かでフラットライドが保たれる。それでいて高いスピード域で巡航できるのだから申し分なし。V8ターボ+マイルドハイブリッドは健在だ。これぞ大人のハイエンドモビリティであることは疑いの余地はない。

 

 

消費電力の少ない有機発光ダイオード(OLED)のリアライトはさまざまな光り方をする。エンジンスタートやストップもそうだし、後続車が2m以内に近づくとすべて発光させ警告する。またフロントのデジタルマトリクスLEDヘッドライトは降車時にアウディマークが現れるニクイ演出が隠されている。

 

 

運転席では横方向へ広がるダッシュボードが特徴。安定感、安心感を得る。イグニッションオンでエアコン吹き出し口が開くのもグッド。スイッチ類は減らされモニター内におさまった。

 

 

リア2名掛けのコンフォートパッケージはオプションで快適な空間を生み出すさまざまな装備を追加できる。オットマンに足を投げ出して座れるだけでなく、センターとドア側のアームレストにもヒーターを付けることが可能。10.1インチのモニターで映画を、Bang & Olufsen で音楽を堪能するのもあり。いずれにせよ、キャビンいっぱいに上質な空間が広がる。

 
 

 

THE RAKE JAPAN EDITION issue49