My First Love Shoes, J.M. WESTON

ジェイエムウエストンは私の初恋だった靴

December 2020

 

 ひとつには、自前のタンナーを持っているということが効いているのだろう。ジェイエムウエストンの本拠地、リモージュ近郊には、底革のなめし工場がある。そこでは、数百年前と変わらないベジタブル・タンニンの製法が守り続けられている。高級ブランドで、こういった施設を持っているのは、ジェイエムウエストンのみである。現在、本当に良質な底革を供給できるのは、英ベイカー、独レンデンバッハなど、世界でも数社になってしまった。当然値段は高騰し、ブランド間で奪い合いになっているという。

 

 

新しく、丸の内・二重橋スクエアにオープンしたジェイエムウエストンの旗艦店。

 

 

 

 そんなジェイエムウエストンのニューストアが、去る11月8日、丸の内・二重橋スクエアにオープンした。都内では、実に四半世紀ぶりの路面店だ。2018年7月にオープンした、世界最大規模を誇る新しいシャンゼリゼ店のコンセプトを受け継ぐアジアでは初のコンセプト・ショップだという。

 

 丸の内仲通りに面し、そばには、ジョン ロブやオールデンの専門店も軒を連ねる。靴ファンには、嬉しいエリアの誕生だ。

 

 

奇を衒わず、落ち着いた印象の店内。フランスのブティックならではの意匠だ。

 

 

 

 ショップ・デザインは、ジョゼフ・ディランが担当した。ファッション・ブティックの内装を得意とする俊英だ。バルマンやバレンシアガ、ジバンシィなどのショップを手掛けたことで知られる。

 

 1930年代のアールデコからインスピレーションを得たという店内は、大理石とレザーが多用され、現代的な高級感に溢れている。注目したいのは、陳列棚やディスプレイ台に使われている美しいボワズリ(木工指物)で、こういった木工芸はフランスのブティックの伝統なのだ。いつまでも飽きが来ず、明るい色調に、ダークな靴が映える。

 

 

本記事は2018年12月7日に公開された記事を再掲載したものです。
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