My First Love Shoes, J.M. WESTON
ジェイエムウエストンは私の初恋だった靴
December 2020
text kentaro matsuo
photogaphy tatsuya ozawa
さて、先にタネ明かしをしてしまうと、私が世界で一番好きな既成靴のブランドは、ジェイエムウエストンである。ジョン ロブもエドワード グリーンも素晴らしいと思うけれど、やっぱり好きなのはジェイエムウエストンだ。その理由を話そう。
ジェイエムウエストンの東京・青山店がオープンしたのは、今から25年前の1993年である(この店は、骨董通りの同じ場所に今もある)。
四半世紀前の東京でも、欧米の本格靴は手に入ったけれど(ジェイエムウエストンもシップスには置いてあったけれど)、それはあくまでも単品だけの話で、本国とまったく同じフルラインナップとサービスまで含めて上陸したのは、間違いなくジェイエムウエストン青山店が初めてだった。
その店舗に足を踏み入れたときの衝撃を、いまだに忘れられない。同じブランドなのに、ローファーからフォーマル・シューズまで、いろいろな靴がさまざまな色で並べられていて、それぞれの靴に、たくさんのサイズが用意されていた。特にウィズの充実ぶりには目を見張った。靴のみならず、シューキーパーや靴クリームまでオリジナルが展開されていて、全部“ジェイエムウエストン”のロゴが入っていた。
今の若い人が聞けば、「そんなの当たり前じゃん」と思うかもしれないが、当時の東京では、どこを探してもそんな店はなかった。オリジナルのクリームを開けると、甘い蜜蝋の匂いがしたが、そんな香りを嗅いだのも初めての経験だった。
オリジナルの靴クリーム(右)¥4,000とワックス(左)¥4,000 J.M. WESTON
本記事は2018年12月7日に公開された記事を再掲載したものです。
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