MESS OF BLUES: FIT FOR A KING

“スター”のためのアクセ&グルーミング

July 2020

エルビス・プレスリーへのオマージュとして名づけられた“メス オブ ブルース”は、男性用アクセサリーやグルーミングの世界に新鮮な風を吹き込んでいる。

 

by christian barker 

 

 

 

 

 メス オブ ブルースは、イタリアの伝統的な職人技と“ロックンロール”を融合させた、まったく新しいメンズ高級アクセサリー&グルーミング・ブランドだ。

 

 デザイナーのステファノ・ザムナー氏によると、同社の商品は、現代の男性を念頭に置きつつも、クラシックな方法で、手作業で作られているという。THE RAKEのインタビューで、ザムナー氏は、ブランドのバックグラウンドと、ネクタイ、シルクのポケットチーフ、バンダナ、ジュエリー、高品質のヘアケア製品など、ユニークな商品構成について説明してくれた。

 

 

——このブランドに馴染みのない方のために、メス オブ ブルースを始めたきっかけについて教えてください。

 

「このブランドは2016年2月にスタートしましたが、コンセプトはその数年前から、私の頭の中にありました。発売の18ヶ月前、私は製品のアイデアを形にし、プロトタイプを開発しました。最高のイタリアン・クラフツマンシップを取り入れて、オリジナリティを出したかったのです。1950年代と60年代のノスタルジックなジェントルマンのスタイルを、現代社会に似合うように仕立て直したいと思っていました」

 

 

 

 

——エルビス・プレスリーの曲にちなんでブランド名をつけたのですか?

 

「私はエルビスのファンですが、そんなに熱狂的ではなく、コマーシャルな意味はありませんでした。ただし彼は、この地球上を歩いた男の中で、最もクールでカリスマ的だと思っていました。特に彼の声が好きでした。ピュアでジャズやブルースのトーンに満ちています。それから1960年代の大胆なスタイルも気に入っていました。

 

 彼のヒット曲であり、私のブランド名ともなっている“メス・オブ・ブルース”は、人が恋に落ちるときの喜びと悲しみについて歌っています。私たちが男として経験するさまざまなこと・・それらを心の中に押し込めるのではなく、自分の感情を受け入れ、それを乗り越え、ポジティブなエネルギーに変えて、人生の次の章へと進むことを促しています。

 

“I gotta get myself together / Before I lose my mind / I’m gonna catch the next train goin’ / And leave my blues behind “

 

 私は、この歌詞がとても気に入っています。そしてこのエッセンスを、現代のジェントルマンのために応用できないかと考えたのです」

 

 

 

 

——メス オブ ブルースのデザイン・インスピレーションと哲学とは何ですか?

 

「ブランド名の話に戻ると、ロック、ジャズ、ブルースの大御所たちが着ていたスタイルをベースとしています。エルビスからシナトラ、マイルス・デイビスからマディ・ウォーターズまで・・。彼らはステージ上でも、その外でも、スタイリッシュで自信に溢れていました。カジュアルな場でもフォーマルな場でも、プレスされたばかりのスーツやシャツ、ネクタイ、その他のアクセサリーを誇らしげに身につけていました。

 

 彼らは“流行”などは考えずに、ただシャープに見えることを大切にしていました。常に完璧であろうとし、自分の一番良いところを見せ、場にふさわしい装いに努める、そんな姿勢を取り戻したいと思っています。これをフレッシュでありながら、時代を超越したマインドで表現したいのです。私はヴェネツィア出身のイタリア人ですが、デザイナーという職業のおかげで、今までさまざまな国で生活してきました。そんな自分の背景を、繊細かつ大胆な方法で、商品に取り入れたいと思っています。プロポーションはあくまでも端正であり、生地はイタリアとのつながりを表現しつつも、常にインターナショナルであることを意識しています」

 

 

 

 

——ユニークで個性的な商品を作るために、どのような努力をしていますか?

 

「私たちは、”イタリアの心を持ったビスポーク”を目指しています。将来は、ビジュアルでストーリーを語ることができるような、シルク・プリントを作りたい思っています。それはスーツからネクタイ、革小物まで、さまざまなアイテムに取り入れられるものです。私のデザインのバックグラウンドはファッション・イラストレーションなので、アイデアは全て手描きで描いています。それをネクタイなどに使われている特殊なヴィンテージ生地とミックスするのです。

 

 同時にエクステリア・ラインのデザインもしていきます。実は現在では、個人のお客様のスーツをデザインするのが、仕事の大きな部分になってきています。スーツには、季節ごとの作品をプリントしたり、お客様の夢を叶えるために、その場で作品を描いたりして、自分たちだけのオリジナルを作っています。シルクの裏地とアクセサリーは、すべてイタリア、コモでプリントされ、手縫いされています。コモは、私たちが求めている品質基準を達成するために、最高の場所なのです」

 

 

 

 

——メス オブ ブルースの製品が、他社と違うのはどういったところですか?

 

「ネクタイ、ポケットチーフ、スカーフについては、タイムレスかつフレッシュなものを目指しています。昔ながらの手作業で、タイには3つ折り、5つ折り、7つ折りなどがあり、すべてのエッジは手巻きです。洋服にも、ユニークなディテールを取り入れています。ジュエリーは、コレクションの重要な部分です。大胆かつエレガントで、コーディネイトを格上げすることができます。シルバーと本物のターコイズを使い、メキシコでハンドメイドされたヴィンテージ・ピースを揃えています。

 

 グルーミング用品も作っています。実は、私たちの最初の商品は、ポマードだったんです。先ほどの大物スターたちは、髪の毛をとても大切にしているんですよね。だからこそ私は、男性が必要とする唯一無二のヘアケア製品を作りたいと思ったのです。乾いた髪に使うとマットな質感に、湿った髪に使うとわずかにシルクのようなツヤを与えます。大切なのは香りです。ウイスキーとグリーンオークモスの軽やかなベースに、ミルラのようなミディアムトーンをミックスしたものを調合しました。フレッシュな柑橘系と、クリスピーなベリー系が、刺激的で魅力的な芳香を持続させます。

 

 最近では、実際にオードトワレを開発しました。少量生産で、すぐに完売してしまったので、近くリメイクし大々的にリリースする予定です」

 

 

 

——なぜ、メンズグルーミングの道を選んだのですか?

 

「この5年間で、理容室やメンズ・ヘアコスメのシーンは非常に成長してきました。しかし私は、大手化粧品メーカーに属さず、健康的な成分と男性的でありながら、高級感のあるハイエンドなグルーミング製品を開発する余地があると考えていました。私たちは、レディスのビジネスからインスピレーションを得ました。女性たちは健康への影響を重んじており、動物実験をしていないことを重視しています。

 

 また、女性用化粧品が持つクオリティとは、洗練された美しいパッケージをも意味しています。私たちは、膨大なサンプルを試し、ラベルのスペックを読んで、多くの研究を重ねてきました。男性用化粧品のマーケットにおいて、このような特徴をひとつのポマードにまとめた製品はありません。私たちは、これらすべての要素を、コンパクトなブルーとゴールドのポットに収めました。髪が喜ぶ、髪の健康のための100mlなのです」