MAZZI FINE ART
イタリア人アーティストが日本で革命を起こす!:黄金のラグジュアリーアート
September 2021
一流シェフから華麗に転身したアーティストが革新的なアート作品を発表し、旋風を巻き起こしている。
Photos: Benjamin Parks
Mazzi Francesco
マッツィ・フランチェスコ
1977年、イタリア・リグーリア州生まれ。来日後、エグゼクティブ・シェフとして活躍。2020年2月に、妻の三枝真綺氏とともに自身のアート作品を扱うアートカンパニー「MAZZIFINE ART」を設立。2021年6月にはアトリエ、オフィス、住居を兼ねたギャラリーを大阪に新設。現在は日本とイタリアを行き来しながら制作活動を行っている。
差し込む光の加減や角度、そして観る者の動きによって、その美しさは変化する。繊細で煌びやかな輝きはまるで1点モノのハイジュエリーのようだ。……いや、このアート作品には実際に、24Kゴールド、プラチナ、ダイヤモンド、大理石、アンティークウッドなどが使われている。物質的な意味においてもまさに「ラグジュアリーアート」といえる、大胆かつユニークなアートを展開するのは、日本とイタリアを活動拠点とするアーティスト、マッツィ・フランチェスコ氏である。
「世界中から厳選した希少な高級素材を、伝統的な油絵と組み合わせています。金は6000年もの間、人々を魅了してきました。人間の永遠性への願望を昇華させたものです。また、大理石は自然によって強さと美しさがつくられたもの。ちなみに祖父はカッラーラの大理石の採石場で働いていました。海の宝石は、古くから女性らしさと豊饒、好機へと清める装飾的な要素の象徴です。私は先祖の伝統に従ってこのような素材を使っています」
Pelle di Sole “太陽の肌”
銅のパネル上でさまざまな色合いの金の連続波が躍動的に続く様子は、完璧さと絶対的な美しさの象徴である女神ヴィーナスのローブのドレープを連想させる。女神が生まれた海の波や、太陽から放出される光の波からインスピレーションを得た、普遍的な覇権の源である太陽と生命力ある強さを表現した彫刻作品。24Kゴールドシートが贅沢にあしらわれ、運気を授けるようなラグジュアリーな輝きを放つ。作品もフレームも立体感に溢れ、観る者を優美な世界へ引き込む。45×53.5×4.5cmのキャンバスパネルの彫刻、石膏、綿、油彩、24K-23K-22K純金箔、銅箔。フレームバンドは約8cm。フレームサイズは約61×69.5cm。¥4,400,000 Mazzi Fine Art(マッツィ ファイン アート Tel.090-4464-0397)
パレットの上ではカラーを混ぜないという。キャンバスの上に直接オイルカラーや素材をのせてグラデーションを調整する。レオナルド・ダ・ヴィンチも同じ手法だったといわれる。ひとつの作品に多くのカラーは使わず、厳選した色だけを祈りを込めるように丁寧にのせてゆく。
作品が持つ立体的な厚みと、それを囲うフレームもまた非常に独創的である。厳選された貴重な木材と、イタリアの最高の職人による塗料と樹脂によって仕上げられた「3D Frame Push-up」は、日本の実用新案も取得しているオリジナルの手法だ。
「まったく新しいアートをつくろうと決心しました。自分が形にしたいと考える作品は古典的な方法では表現できないと考えていたので、新しいアプローチが必要でした。そこで、既存のアプローチから解放された、立体キャンバスを使ったスタイルをつくり出しました。これこそが“トータルアート”です。キャンバスとフレームの新しい関係に基づいています」