Explore the hidden California Episode 2
【短期連載2】山と湖、巨木の絶景を旅するロードトリップ:マンモスレイク〜セコイア/キングスキャニオン国立公園
September 2025
カリフォルニアには、知られざる魅力的な旅先がまだまだいくつもある。Wellness&Retreatな大人のディスティネーションをご紹介する短期連載の2回目は、カリフォルニア中西部を車で行くロードトリップの様子をリポート。マンモスレイク〜セコイア/キングスキャニオン国立公園を車でめぐる旅は、大自然に触れる貴重な体験の数々に、生命力がリチャージされるようだった。
text maiko takeda
ロサンゼルスから半日で行けるカリフォルニア中西部。レンタカーを借りたり、ガイドさんとロードトリップする旅は、今まで感じたことのない新鮮な体験と感動を与えてくれる。
Destination1: マンモスレイク
マンモスレイクは、カリフォルニア州のシエラネバダ山脈に囲まれたイースタンシエラの美しいリゾートタウン。こちらは、セコイア/キングスキャニオン国立公園やヨセミテ国立公園に近いので、自然を満喫するネイチャートリップの拠点にする人も多い場所だ。マンモスレイクを目指して、広くカーブの少ないハイウェイ395号線を車でひた走ると、渓谷や湖、岩場といった雄大な景色が広がり、広大なアメリカ本土にいることを実感させられる。
グリーンシーズンは、トレッキングやサイクリング、釣り、マウンテンバイク、キャンプ、乗馬などアウトドアスポーツを楽しむ人でにぎわい、冬はスキーやスノーボードなど、この地域の雪山を楽しむ人々の拠点として、いちばん人気のスポットに。スキーは11月から6月まで、長い期間楽しめる。
©Visit California/Mering
マンモスレイクへの道すがら、どうしても立ち寄りたかったのが「モノレイク・トゥファ州立自然保護区」。車を降り、100万年前に生まれた湖の湖畔まで歩くと、そこに広がるのは、自然が生み出した彫刻のような石柱(トゥファ)がそこかしこに、湖中に鎮座している風景だった。計算されたアートのような不思議な造形美。まるで地球ではない別の星に来てしまったようだ。
塩分濃度が高いモノ湖の底にはカルシウムが大量に溶け込んでいて、湖底からは炭酸水が湧き出している。それにより石灰石が自然に生成され、長い年月を経て、このような石柱状に形成されていったと考えられている。火山活動により生まれた湖による、実に神秘的な光景。モノ湖の周辺ではいまも火山活動が続いている。
火山によって生まれる湖周辺では、地球のエネルギーや恵み、マグマの熱を感じさせる温泉や、地球の永い営みを実感させられる鉱物、肥沃な土地、美しく複雑な山の景観に出合えるものだ。やはり、モノレイクからマンモスレイクに向かう間にも、大小たくさんの温泉がある。温泉施設や温泉併設のホテルなども多く点在する。今回は、ブリッジポートという街の近くにあるトラバーティン温泉というナチュラルな岩場に湧き出る無料の温泉に立ち寄った。
トラバーティンとは、ミネラル分が豊富な温泉水や地下水が沈殿して造られる天然の石灰岩。水中の炭酸カルシウムが急速に析出することで形成される天然石は、ベージュの優しい色や、堆積により生まれる縞状の模様が美しく、高級感があるので、ラグジュアリーな大理石の一種として建材に使用されてきた。1890年代には60トンものトラバーティンが採掘され、サンフランシスコ市庁舎を始めとする建築物の内装に使用されている。イタリアのローマでも豊富に採掘できるそうだ。
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車を停めて、タオルを片手に荒涼な岩場を5分ほど進む。すると岩場の間に湯煙が立つ、お湯の溜まり場がいくつかあった。みんな水着を着て、露天の天然岩風呂にのんびりと浸かっている。お、意外と熱い。場所によって温度が違うのだが、まずは足湯を。本当に自然そのままの露天風呂。日本だって、昔の温泉場はこんなプリミティブな雰囲気で、地域の方々が湯治や癒しに訪れたのだろう。のんびりと足を浸けていると、足裏から地球のエネルギーが体に取り込まれるよう。
足浴後は美しいトラバーティンの地層や大きな岩を眺めながら歩き、ネイチャーが奏でる壮大な美しさに浸った。ここは気持ちが良すぎるヒーリングスポットだ。裸足で岩場を少し歩いてアーシングすると、体内に取り込んでしまった電磁波などが放たれ、解毒できたような気もしてきた。ここはきっと力強いパワースポットなのだ。
今回、宿泊するのはマンモスレイクの中心地に位置するホテル「アウトバウンド マンモス」。こちらは俳優ジョン・ウェインも訪れた歴史深いホテルで、ロッジ風のインテリアが魅力的だ。訪れたのは6月末だったが、NYが40℃近くになった日も、最低気温が12℃、最高気温が25℃といった気候で、避暑地らしく夕方になるとぐっと冷え込む。そしてホテル敷地内のちょっとした坂道を歩いていると、涼しいのに少し息が上がってしまった。やはり標高2402メートルの高地だけのことはある。
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暖炉を備えたホテルのロビーにはソムリエのいるワインバーがあり、到着早々、ワインの試飲会に参加した。同じ品種のぶどうから作られたワインを飲み比べる試飲会は楽しく、おすすめだ。
ウッディなお部屋も清潔で心地よく、深く熟睡できた。朝は、敷地内にあるローカルの方々からも大人気の「カフェクレープ」へ。オープンエアーの席でいただく焼きたてのクレープとコーヒーで頭が冴え始める。
アウトバウンド マンモス
https://outboundhotels.com/mammoth/
次の日は楽しみにしていた「コンヴィクト レイク」トレッキング。ホテルから車で10分ほど走って駐車場へ。「コンヴィクト レイク」は7つの湖で構成されるマンモスレイクのうちのひとつの湖で、5億年以上前の岩石に囲まれた壮大な景色が魅力。一周するのに約4,8km。歩くと1時間半ほどの道のりだ。透明度の高い湖と水面に映るシエラネバダ山脈の景色が壮大で、釣りやボートを楽しむ人も大勢訪れる。
高地のトレッキングは息が上がりやすいので、景色を愛でながら、湖のマイナスイオンを存分に吸い込みつつ、ゆっくり歩くのが正解。キラキラ輝く水面の美しさに心が癒される。澄んだ浅瀬で魚が泳いでいたり、敏捷なリス、野生のセージやローズの群生地、わたり鳥の鳴き声にも遭遇。基本、歩きやすい道ながら、途中、湖に流れ込む小川や足場の悪い岩場もあるので、必ずスニーカーを履いて行くこと。約30分歩いたあたりにあるミネラヴィスタポイントの標高は2700メートル。高山病になる場合もあるので無理は禁物。帽子をかぶり、水やスポーツドリンクを必ず持参して。あまりの気持ち良さに、一周歩き終わったときは1時間半よりもっと短いような気がした。
ランチは、街で評判のレストラン「BURGERS」でボリュームたっぷりのハンバーガーを頂き、午後はマンモスレイク・エリアの滝を見にEバイクをレンタルしてサイクリングへ。絶景を見ながら、ハンドルに付けられたアクセルを駆使して運転すれば、ペダルを漕がずとも上り坂でも楽々。電動自転車というよりは、もはやほぼバイクのようなEバイク。舗装された道路で疲れ知らずのサイクリングを、景色を眺めながら約3時間楽しんだ。砂地のオフロードを走る近道コースもあるけれど、カーブが多く、横滑りしやすいので、とくに帰りの下り坂では要注意!途中、釣り人が獲物である大きなマスを見せてくれた。
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Eバイクでも通りかかったが、ツインレイクスのほとりに佇む、マンモスレイクでいちばんのファインダイニング「ザ・レイクフロント・レストラン」でのディナーも外せない。1924年に建てられたタマラック・ロッジ内にあるムーディーなインテリアのなかでクラシックなフレンチが頂ける。
ワインの種類が豊富で、料理はコースではなく、アラカルトなのもうれしい。オシェトラキャビアを添えた帆立貝ソテー、ポートベローマッシュルームと椎茸のタワー・ザクロのエスプーマソース、鴨胸肉のグリル・ブルーベリーソースが美味しかった。毎週水曜日〜土曜日のPM6時〜8時はロビーでライブ演奏があるのでムードたっぷり。
ザ・レイクフロント・レストラン
www.mammothmountain.com/things-to-do/restaurants/lakefront-restaurant
Destination2: セコイア/キングスキャニオン国立公園
一生に一度は、北米ならではの国立公園にも訪れたい。カリフォルニアには全部で9つの国立公園があり、なかでもセコイア/キングスキャニオン国立公園は、世界の中でもっとも雄大な景色とされるいくつかの場所が見られる
「ジャイアント・セコイアの森」にある世界最大の樹木「ジェネラルシャーマンツリー(シャーマン将軍の木)」を目指す。この木は、現存する世界最大の樹木とされ、地球上でもっとも大きな生命体と考えられている。その大きさは、高さ約83メートル、根元の直径は約11メートル。樹齢はなんと2200年!この木のパワーに触れてみたい。
「ジェネラルシャーマンツリー カーパーク」の駐車場から歩いて5分でたどりついた「ジェネラルシャーマンツリー」。近づいてみると、赤みのあるブラウンの色彩や質感は、シナモンに似ていた。ビルを見上げるかのごとく、首が痛くなるほど上ばかり見てしまう。それはそれは大きく迫力満点。威風堂々と根を張り、長きにわたり地球の営みを眺めてきた、この星でもっとも大きな木には、特別な威厳が満ちていた。周りにはほかにも巨木が林立し、どの木も神々しく生命力に溢れている。「ジェネラルシャーマンツリー」には触れられないけれど、触れてもよいほかの巨木に体を預け、手で触れ、エネルギーをたんまりと充電した。
「ジェネラルシャーマンの木」の先には、全長3,6kmの「コングレス・トレイル」という巨木が集まる森へのコースがある。舗装されているので比較的歩きやすいおすすめトレイルだ。
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巨木の下には大きな松ぼっくりがたくさん落ちていた。ジャイアントセコイアの木には、山火事の熱によって松ぼっくりの傘が開き、そこから種子が地面に落ちて新たな木が生まれる、という珍しい習性がある。だから自然発火による山火事は、この木にとって必要な営みなのだそうだ。地球の生命サイクルの不思議に、畏敬の念を抱かずにはいられない。
セコイア国立公園の入口にある看板から5分ほど車で走ったところの道路の脇には「トンネルログ」がある。道路に倒れた、樹齢2000年のセコイアの巨木をくりぬいてトンネルが掘られ、車が通過できるようになっている。見たことのない景色!ぜひ車で通過してほしい。
ほかにも、「クリスタル・ケーブ」という鍾乳洞や花岡岩のドームである「モロ・ロック」など、まだまだセコイア/キングスキャニオン国立公園には見どころがたくさん。キャンプ場でテントを張ることもできる。まぶしいほどにきらめく星空の下、またはパワフルな朝日を浴びながら、見渡す限りの絶景に心身を預けて冥想する、なんて体験も楽しめる。セコイア国立公園の入園料は車1台につき$35。入園後7日間有効で、キングスキャニオン国立公園にもそのまま入場できる。
広大なアメリカ本土で体感するネイチャーなロードトリップ。マンモスレイクでは、山と湖が織り成す爽やかな空気と輝く水面に心が動かされ、セコイア/キングスキャニオン国立公園では大迫力の山と巨木の光景に驚きっぱなしだった。自然が形成する不思議な美しさと心地よいマイナスイオン。体に美味しい空気が充満し、生命力がリチャージされることを実感した至福の旅。知られざるアウトドアの旅に興味がある方は、さまざまなツアーガイドを行う「アウトドアツアーズU.S.A」にご相談を。日本語でご対応いただけるので安心。
アウトドアツアーズU.S.A
Email: info@outdoortoursusa.com
次なる目的地は、古き良き街バイセリアと、美味なる野菜やフルーツの宝庫モデストの2都市。新たな発見と感動のカリナリーツーリズムをご紹介したい。
取材協力
カリフォルニア観光局 www.visitcalifornia.com/jp
マンモスレイク観光局 www.visitmammoth.com/
セコイア/キングスキャニオン国立公園 www.nps.gov/seki/index.htm


























