Little Blue Bar at The Peninsula London
イギリスで飲茶と麺が食べたくなったら迷わず「ザ・ペニンシュラロンドン」へ
September 2025
ロンドンで本格的な飲茶や麺料理を味わいたいなら、ハイドパーク前のラグジュアリーホテル「ザ・ペニンシュラロンドン」へ。館内には格式あるダイニングから気軽なカフェまで揃っており、特に「Little Blue Bar(リトルブルーバー)」では香港仕込みのシェフが手掛ける麺と点心を堪能できる。
text yukina tokida
まっさらな状態から7年もの月日をかけて、2023年9月にロンドンに誕生した「ザ・ペニンシュラロンドン」。機能的で洗練された客室をはじめ、多彩なダイニングやバーは、ロンドン中を探しても出合えないユニークさに溢れている。
場所はハイドパークの目の前、ウェリントンアーチのすぐ近く。ルーフトップのバーやダイニングからはロンドンの街並みを一望することができ、昼も夜もそのパノラミックな景色に息を呑む。
中庭には車寄せが設けられており、その錚々たる車と、ペニンシュラグリーン色を纏ったホテルの送迎車を目にすると、このホテルのオーナーが大のクラシックカーファンだったことを思い出さずにはいられない。
館内にも車の要素がふんだんに散りばめられており、たとえばダイニングやバーへと続くエレベーターまでの道には、ブルックランズ博物館とのパートナーシップによって実現したクラシックカーが展示されており、照明もメタリックな車を彷彿とさせる意匠。エレベーター自体も気球のようなバスケットの装飾があしらわれており、上がっていく時にはガスの音が響き渡る。
パートナーシップを象徴する空間のひとつであるホテル最上階のバー「Brooklands Bar(ブルックランズ・バー)」へ辿り着くと、カウンターの下部分には車のフロントグリルがあしらわれていたり、テーブルはヘッドライトを彷彿とさせるデザインだったり、壁には歴代の名レーサーたちの写真や車の模型も飾られている。まるでエレガントなアミューズメントパークのようで、大人をも童心に返らせる。
バーの隣には、ロンドン屈指ともいえる充実のラインナップを揃えているシガールームもある。すぐそばのテラス席でシガーを嗜むこともできるため、非常に人気だという。
打って変わって客室は、クラシックで落ち着いた雰囲気。高い天井と重厚な扉が続く廊下は、まるでタイムスリップしたかのような、英国然とした格式ある空間だ。扉を開けると広がるのは光に包まれた明るい客室。なかでもバスルームは中央にバスタブが鎮座しており、ゆったりとくつろげる仕様になっている。手元のタブレットにある「スパモード」をワンタッチすると照明がグッと落ちて、リラクゼーション音楽が流れ出す。
寝室にもタブレットが備え付けられており、照明のオンオフやカーテンの開け閉めはもちろん、ダイニングやスパの予約も可能。利便性も徹底的に追求されている。
ロンドンの中でも非常に注目されているホテルであることに加え、その利便性やサービスの高さゆえ、特に夏季休暇の時期は人気のあまり満室のため、まずおすすめしたいのは、先述したバーやダイニングを訪れるか、カジュアルが気分な時にはヌードルバー「Little Blue Bar」にぜひ足を運んでみてほしい。
他のペニンシュラグループと同じく、広東料理ダイニング「Canton Blue」もぜひおすすめしたいところだが、同店の魅力は、イギリスらしいタップビールだけでなく、独創的なカクテル、そしてシューマイや春巻きといった飲茶に加え、多彩なヌードル、デザートまでを気軽に楽しめること。
カジュアルにも関わらず、こちらの料理はいずれも「Canton Blue」のシェフたちが手掛けているため、味はもちろん最高。ロンドンでのヌードルブームを受け、ホテルでも人気の麺料理を気軽に楽しんでほしいという思いから誕生したという。
店内は高い天井に、中国の伝統的な薬局を思わせる引き出しが壁一面を覆っている一方で、モダンなアートピースも優雅に空間を彩っている。
用意されているメニューはシンプルで、定番の麺料理が4種類と、飲茶が10種類、季節の麺料理が数種類、そしてデザートが1種類だ。定番の麺料理は、担々麺、ジャージャー麺、山椒が香る炒め麺、海老入り塩味の伊府麺と、いずれも個性豊かな4種類が揃う。筆者が実際に食べたのは担々麺とエビの塩麺だが、担々麺は平打ちの麺で、山椒のピリッと感が心地よく、ひき肉とたっぷりのセロリやザーサイが刻まれてさまざまな食感を楽しめる一品だった。塩麺の方もあっさりとしていて、にんじんやネギのトッピングにプリプリのエビが乗っていて、非常に食べやすいひと皿だった。
また飲茶に関しては、「Chicken Siu Mai Dumpling, Black Garlic」と「Steamed Scallop Dumplings, Asparagus」はぜひ味わってほしい。前者は椎茸と鶏肉の旨みがこれ以上ないほどのバランスを生み出していて、上に載せられた黒ニンニクのペーストとの相性も抜群。後者はレンコンのサクサク感と生姜の爽やかな香りが心地よい飲茶だった。
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ドリンクは、Gweilo Beer(鬼佬啤酒)のラガーとIPAをタップで楽しむことができる。これは、香港を拠点とするクラフトビールメーカーで、英国出身のIanとEmily Jebbitt夫妻、そしてJoseph Gouldの3人によって2015年に設立されたブランド。香港最大規模のブルワリーとして知られている。
カクテルも多彩に揃っており、アルコールは7種類、ノンアルコールは3種類用意されている。バーカウンターがあるのはもちろん、バーテンダーが常駐しているため、適切にシェイクされた本格的なカクテルを楽しめる。じっくりメニューを見てその時の気分に最適な一杯を選んでみてほしい。
進化を続けるロンドンのダイニングシーン。次回の旅の楽しみとして、心に留めておきたい一軒だ。
Little Blue Bar(リトルブルーバー)
TEL. +44-20-8138-6888
www.peninsula.com/ja/london/hotel-fine-dining/little-blue
ザ・ペニンシュラロンドン
TEL. +44-20-3959-2888


















