RAKE IN PROGRESS: LANCE STROLL

F1ドライバー、ランス・ストロール アストンマーティンを語る

July 2024

アストンマーティンの若きF1ドライバー、ランス・ストロールがTHE RAKEに、レーシングドライバーになるという夢を叶えるまでの道程、そして新型ヴァンテージの素晴らしい性能を語ってくれた。

 

 

text charlie thomas

 

 

 

 

 アストンマーティンにとって、ここ数年は大きな飛躍の時期だった。F1チームは好調で、最近では2度のチャンピオンに輝いたフェルナンド・アロンソと再契約した。ロードカーの会社としても、重要なモデルを次々と発表してきた。初のSUVであるDBXは2020年に登場し、翌年には全販売台数の半分を占めるまでになった。

 

 2023年には、ジェームズ・ボンドが愛用したDB5をルーツとするラグジュアリーなグランドツアラー、DB12を発表した。

 

「2024年は、アストンマーティンの製品が大きく変貌を遂げる年であり、年末までに4つの新モデルが市場に投入されます」というのは、同社のエグゼクティブ・チェアマンであり、オーナーのひとりでもあるローレンス・ストロールだ。

 

 最初に発表された新型ヴァンテージは、アストンマーティンの生粋のスポーツカーであり、おそらく最もエキサイティングなモデルである。ローレンスの息子であり、アストンマーティンのF1ドライバーでもあるランス・ストロール以上に、このクルマを語るのにふさわしい人物がいるだろうか?

 

「新型ヴァンテージを公道とサーキットの両方でドライブしてみました。アストンマーティンのチームが成し遂げた技術的な進歩の大きさがよくわかりました」とランスは語った。

 

 ランスは天才肌のドライバーだ。彼は2010年にフェラーリ・ドライバー・アカデミーと契約し、2014年にはジュニアカテゴリーでイタリアF4選手権にて勝利。2016年にはF3ヨーロッパ選手権で、ジョージ・ラッセルやランド・ノリスといった才能あるライバルたちを破って優勝している。マックス・フェルスタッペンと同様、ランスもF2をスキップし、2017年に父親の財政的バックアップを受けてF1に進んだ。

 

 ランスはまだF1では成功を収めていないが、抜群のドライビングセンスとタフネスさを見せている。2023年シーズンでは、開幕前の週末に両手首と足の指を骨折し、手術を受けて、プレシーズンテストがまったくできなかった。しかし、わずか2週間後には開幕戦のバーレーンGPで6位入賞を果たした。

 

 チームメイトのアロンソとともに、アストンマーティンに栄冠をもたらすための戦いは続いている。4月の中国GPを前に、ランスにインタビューする機会を得た。

 

 

 

 

 

レースを始めたきっかけや、初期の頃の思い出があれば教えてください。

「私はいつもレースに熱中していました。5歳の誕生日に小さなゴーカートを買ってもらい、駐車場にコーンを置いて走り回っていました。8歳のときにカナダ各地の選手権に出場するようになり、12歳でヨーロッパに渡って、ゴーカートで国際レースに参戦するようになりました。それからフォーミュラ4、フォーミュラ3を経て今に至っています。自分でも信じられないほど、次々に道がひらけていきました」

 

 

家族のサポートは、どれほど重要でしたか?

「家族全員が私のやっていることをよく理解してくれ、その点はとてもラッキーでした。母、姉、そして父は、私のレーシング・キャリアの大きな部分を担ってくれました。父がいなかったら、今の私はなかったでしょう。家族みんなでヨーロッパに引っ越し、多くの人が得られないような経済的なサポートをしてくれました。レースはとてもお金がかかります。そして競技としてやっていくには、ヨーロッパにいなければならないし、ランクを上がっていかなければなりません。私の姉と母も理解を示してくれ、私のレースキャリアのために自分たちの生活の拠点を欧州に移すことを厭わなかったのです」

 

 

父親との関係はこの数年でどう変わりましたか?

「われわれはいつも一緒に旅をしてきました。父と息子のレースの旅です。カナダでゴーカートを始めて間もない頃、父がレース会場に応援に来てくれたのが始まりでした。彼は初日から私のレーシング・キャリアを応援してくれました。資金面でもサポートしてくれたし、あらゆることについて助言してくれました。その情熱と愛、そしてアストンマーティンとF1との強い関係は今も続いています」

 

 

新型ヴァンテージのステアリングを握った感想は?

「まず、素晴らしく格好いいマシンですね。とてもセクシーで、古いヴァンテージの要素をうまく残しつつ、最新のデザインに仕上がっています。プラットフォーム、テクノロジー、シャシーなど、多くの点が進歩しています。クラスをリードするパワーは当然のこととして、このクルマに乗って一番驚かされるのは、ダイナミックな操縦性の高さです。重量配分は完璧なバランスで、新しいダンパーとタイヤが素早い反応とシャシーコントロールを可能にしています。特にサーキットでは、ドライバーの意のままに操ることができ、運転するのがとても楽しいクルマです」

 

 

今シーズンはここまでどうでしたか?

「まあまあですね。いいレースもあれば、そうでないレースもありました。マシンはレースによってはかなり競争力があったし、そうでないときもありました。やるべきことはたくさんあります。毎週末、マシンの性能を高めるために、できる限りのアップグレードを試みています。勝算は十分あるので、残りのシーズンを楽しみにしています」

 

 

 

 

お気に入りのサーキットはありますか?

「過去には鈴鹿と言ったかもしれないですが、先日犯してしまったペナルティには少々こたえましたね(ピットレーンでスピード違反に問われてしまった)。でも走るならば、やっぱり鈴鹿が好きです」

 

 

尊敬しているドライバーは?

「ミハエル・シューマッハが大好きでした。彼はF1ドライバーになるための大きなインスピレーションを与えてくれました」

 

 

これまでのキャリアで学んだ最大の教訓は?

「自分の夢を実現しようとするときに、誰にも邪魔をさせないこと。何かを不可能だと思わないこと。自分を信じ、たとえ人に何と言われようとも、決して目標から目をそらしてはいけないということです」

 

 

F1はプレッシャーの高い環境です。どのようにして集中力を保つのですか?

「サーキットでは自分で作った小さなバブルの中にいるように努めています。週末を楽しむための時間なんだと思っているのです。レースやゴーカートを初めて楽しんだときと同じように、F1のレベルでも楽しむことが重要なんです」

 

 

F1以外の目標はありますか?

「今はF1以外のことを考える暇がありません。世界平和の実現などは頭の片隅にもありません(笑)」

 

 

キャリアの最後に何を達成したいですか?

「とにかく結果を出したいと思っています。今年は表彰台を獲得したい。今はちょっと難しいけれど、マシンをもっと速くして……。2026年には新しいレギュレーションが導入され、ホンダも参入してきます。とてもエキサイティングなシーズンになるでしょう」

 

 

 

ASTON MARTIN VANTAGE

全長✕全幅✕全高:4,495✕1,980✕1,275mm

エンジン:DOHCV8 4.0Lツインターボ

最大出力:665PS/6,000rpm

最大トルク:800Nm/2,000~5,000rpm

0-100km/h加速:3.5秒

最高速度:325km/h

www.astonmartin.com/ja