Veuve Clicquot President & CEO
JEAN-MARC GALLOT -Interview-

新作ヴィンテージが導く
ヴーヴ・クリコの飛躍に満ちた未来

February 2020

ヴーヴ・クリコの最高峰ライン「ラ・グランダム」の新作が発表された。

ブランド自体の“軸”になっていくという同作に込められた思いとは。

 

 

photography natsuko okada

 

 

Jean-Marc Gallot/ジャン=マルク・ギャロ

1964年フランス生まれ。ルーアンビジネススクールを卒業後、カルティエ、クリストフル、フェラガモにてマネジメント職を歴任。2003年にLVMHグループへ入社後、ルイナールのブランドマネージングディレクター、ルイ・ヴィトンの取締役副社長、そしてフェンディのマネージングディレクターを務め、2014年9月より現職のヴーヴ・クリコ代表取締役CEOに就任。25歳と27歳の息子の父親。

 

 

 亡き夫から受け継いだシャンパーニュブランドを、誰もが知る一流メゾン「ヴーヴ・クリコ」に成長させたマダム・クリコ。現代に残る数々の革新的な製法を編み出した彼女は、その功績ゆえに『ラ・グランダム(=偉大なる女性)』と呼ばれた。この名が冠されたヴィンテージこそが、同社が誇る最高峰ライン「ラ・グランダム」である。

 

 ピノ・ノワールのミネラル感や力強さ、柑橘類や赤い果実のアロマが感じられつつ、軽やかさとエレガンス、そして深みと滑らかなテクスチャーをも併せ持つ新作「ラ・グランダム2008」は、今までのヴィンテージとどう異なるのだろうか。2019年4月に催された同ヴィンテージのお披露目イベントにて、代表取締役CEOのジャン=マルク・ギャロ氏に話を伺う機会を得た。

 

「今回の新作は、1962年に収穫された初めてのラ・グランダムから数えて16番目のヴィンテージとなります。約50年という年月を重ねてきましたが、この2008のローンチは、新しい時代を切り開く、実に野望に満ちたものになっています」

 

 その理由について氏はこう続ける。

 

「まずお伝えしたいのは、10代目の最高醸造責任者ドミニク・ドゥマルヴィルによる初めてのヴィンテージということ。そしてヴーヴ・クリコというメゾンが、ラ・グランダムを今後どう発展させていきたいかが明らかになっていることです」

 

 それほどまでに明確なビジョンとは、どういったものなのだろうか。

 

「ヴーヴ・クリコの象徴、つまり、ピノ・ノワールの品質に対するこだわりです。特に今回の新作ヴィンテージは、92%という高い割合でピノ・ノワールがブレンドされている革新性に満ちたものになっています。これは同社としても初めての試みです。マダム・クリコが残した、こんな言葉があります。̶“Only one quality, the finest(品質はただひとつ、最高峰だけ)”̶我々は、根底に持つこのスピリットを大切にし、今後も品質を追求し続けていきます。そうすれば、日本の皆さんにも、より気に入っていただけるものができると確信しています」

 

お披露目イベントの会場に、大きく飾られていたマダム・クリコの肖像画。シャンパーニュ業界において、数々の革新的な製法を生み出した彼女のスピリットは、今もブランドに深く息づいている。

 

 

 彼女の精神が、今も深くブランドに根づいていることで、高品質のピノ・ノワールを生み、その独特のブレンドや味わいに反映されているのだ。そんなヴーヴ・クリコにおいて、今やアメリカに次いで世界第2位のシェアを誇るという日本。その秘密は、日本食と相性がいいピノ・ノワールが高い比率でブレンドされていることにもあるのだろう。そこで「ラ・グランダム 2008」とオススメのマリアージュを尋ねたところ、「ブリュットはお刺身と、ロゼは鉄板焼きのお野菜や神戸ビーフと相性抜群です」という答えが返ってきた。しかし、氏はこう加える。

 

「一番のオススメは、ただラ・グランダムだけを楽しんでいただくこと。ボトルを開けて、夕食前または後に嗜んでください。大切な人たちと喜びを共有するためにね。シャンパーニュはお祝いのための飲み物でもありますが、それ以上のものです。シャンパーニュは貴方の人生をより美しく、より豊かにしてくれますよ」

 

 自身も奥様と息子たちとシャンパーニュを飲むのが好きだという氏に、最後の質問として今後の展望を伺うと、「今まで伝えてこられなかった新しいメッセージを伝えていきます」と教えてくれた。ラ・グランダムを“軸”として、その周りでヴーヴ・クリコというブランドをさらに強固に築いていくのだという。最後には、こんな意欲的な言葉も残してくれた。

 

「今までは世界的に有名なブランドとのコラボレーションを行ってきましたが、今後は、まだ見ぬ若い才能を発見し、育てていきたいと思っています。シェフやソムリエ、デザイナーかもしれません。残念ながらまだ具体的な名前を教えられませんが、期待していてください」

 

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2019年に発表された新作「ラ・グランダム 2008」(左)と、「ラ・グランダムロゼ 2008」(右)。ボトルのデザインも一新された。

 

 

MHD モエ ヘネシー ディアジオ

TEL.03-5217-9738

www.veuveclicquot.com

 

本記事は2019年7月25日発売号にて掲載されたものです。
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