J.M. WESTON “Honfleur #320”

フレンチトラッドなチロリアンシューズ

January 2021

新作の「オンフルール」はジェイエムウエストンらしい朴訥とした表情を備え、安心感を覚える。チロリアンシューズでありながらあえてノルウィージャンウェルテッド製法を採用せずにウェルト周りをすっきり仕上げているため、程よく洗練された感じで履けるのがいい。

 

 ジェイエムウエストンのアーティスティック・イメージ&カルチャーディレクター、オリヴィエ・サイヤール氏は数々の美術館を渡り歩いてきた世界的なキュレーターだ。

 

 ブランドの顔「シグニチャーローファー #180」と「ゴルフ #641」にフォーカスした2018年の鮮烈なデビューを皮切りに、着用しなくなった靴を引き取ってリモージュの本社工場で修繕し蘇らせた「ウエストン・ヴィンテージ」を打ち出すなど、その仕事には常に歴史へのオマージュがあり、ブランドの土臭さを大切にしながら、価値を高めている。

 

 それは新作チロリアンシューズ「オンフルール」においても同様だ。フレンチトラッドの象徴であるチロリアンシューズを、あえて本流のノルウィージャンウェルテッドにはせずウェルト周りをすっきりさせ、懐かしくも新しい感じに仕上げている。ウールパンツでもチノでもジーンズでも、何にでも合わせられるこういった靴を、ウエストンに求めていた方は多いはずだ。

 

 パーマネントモデルに仲間入りしそうな完成度を誇る一足として注目したい。

 

ネイビースエード、ブラックスエード、ブラウンスエードの3色展開。ラバーソールだが、そこまで厚みを持たせていない。ぽってりとしたフォルムでありながら、そこまでバルキーにならないところもいい。ネイビーのみ白のソールを採用している。フレンチトラッドの王道を踏襲した2アイレットのモデルゆえ、これは人気が出そうだ。「HONFLEUR(オンフルール) #320」各¥120,000(予定価格) J.M. Weston(ジェイエムウエストン 青山店 TEL.03-5485-0306)

本記事は2021年1月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue38