HOW to WEAR, HOW to ENJOY!
鴨志田流着こなし術 Vol.6
今季気になっている春のアウター4選
April 2020
春の軽やかなアウターは、今季どこに着目して選ぶべきか?
鴨志田氏が選んだここにある4着を眺めてみると、軽やかなだけでなく男らしさが備わっているのに気づく。
photography setsuo sugiyama text yuko fujita
鴨志田康人/Yasuto Kamoshita
1957年生まれ。ビームスを経てユナイテッドアローズの設立に参画。2004年からクリエイティブディレクターを務め、2018年よりクリエイティブ アドバイザーに就任。2007年、自身のブランド「カモシタ ユナイテッドアローズ」を始動し、世界中で人気を集めている。昨年より日本におけるポール・スチュアートのディレクターにも就任。
(左)ロング丈にもなるバブアーはブラウンスーツでフレンチに装う
オイルドジャケットは好きなアイテムで何着か所有しているそうだが、バブアーとサイがコラボレーションしたこちらの「ビデイル」ジャケットには、目からウロコだったという。「丈を伸ばしてロング丈でも着られる仕組みになっていて、それでいて見た目の完璧な美しさもあって、オドロキの一着です。これをブラウンのスーツでパリっぽく合わせたら最高にカッコいいですね」。コート¥52,000 Barbour×SCYE for United Arrows スーツ¥110,000、ニット¥17,000 both by Sovereign/all by United Arrows Roppongi Hills(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店 Tel.03-5772-5501) スカーフ property of Yasuto Kamoshita
(右)鴨志田氏の春の定番はバルカラーコート
ポリエステル100%のバルカラーコートは、カルーゾの新作。「バルカラーコートは、今季のオススメというよりは春夏のアウターの大定番として気に入っているアイテムです。アイテムとしては定番であるのに、このブルーとブラウンの絶妙な配色や、シルクのような独特の素材感といい、絶妙な軽やかさといい、カルーゾは本当に上手いところを突いてきたなと思います。Aラインのきれいなシルエットで、シンプルな装いの中にこれ1枚羽織るだけで洒落て見えるのがいいですよね」。コート¥140,000 Caruso/United Arrows Roppongi Hills(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店 Tel.03-5772-5501)トラウザーズ、シューズ property of Yasuto Kamoshita
鴨志田氏の春のトレードマークとなっているアイテムであり、ぜひ注目していただきたいのが、バルカラーコート(ステンカラーコート)だ。
「バルカラーコートは自分にとっての春の大定番で、高校生の頃からずっと愛用しています。VANヂャケットのマドラスチェックのを買ったのが最初で、次に愛用したのはピオンボのシルクマドラスのもの。そして今日着ているカルーゾのコートも、ブルーとブラウンのチェックの色がきれいでとても気に入っています。バルカラーコートは春を感じさせるきれいな柄ものが個人的には大好きで、アイビー少年だったので、カジュアルのときもスーツのときでも、上からサラッと羽織ってそれらをとても重宝していたんです。春らしくとても軽やかな感じなんだけれど、歩いているときに風に靡く姿がカッコいいロング丈のタイプが当時から大好きでした。着たときのAラインシルエットの美しさこそがバルカラーコートの最大の魅力だと思うんです」
素材選びにおいても考え方は柔軟だ。天然素材にこだわっているわけではなく、特に春は素材自体の軽やかさとか、張り感やドレープ、美しい色の出方や艶感など、さまざまな要素を楽しめる化繊を積極的に楽しんでいるのもポイントだ。
「今日着ているカルーゾのコートなんかはポリエステル素材ですが、化繊でしか出せない、色っぽさとか美しさ、軽やかさがあると思うんです。これはバルカラーコートに限ったことではなくて、もうひとつオススメしているラベンハムのコートにも同様にいえることです。そこは春ならではの楽しみ方だと思います」
(左)大人のパステルでまとめたコットンのラップコート
「市民権を得てスタンダードになりつつあるラップコートは、スーツの上からでもカジュアルでも、なんでもこなせてしまう便利さがあります。今回はスウェットに合わせたのですが、シャルベのスカーフを巻いてひねりを加えつつ、今気になっている“大人のパステル”をテーマに、色の使い方の参考例を作ってみました。このような色使いにトライしてもらいたいですね」。ラップコート¥82,000、スウェット¥14,000 both by United Arrows/United Arrows Roppongi Hills(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店 Tel.03-5772-5501) スカーフ、トラウザーズ property of Yasuto Kamoshita
(右)グレイアウターが主役のグレイッシュなパステル
「ミディアムグレイのアウターは意外と見かけず、新鮮な色だと思います。今季は全体的に淡いトーンが注目されていますが、ミディアムグレイはそれらの色に馴染みやすく、シンプルにフツウに着てもカッコよく決まるのでオススメです。余談ですが次の秋冬のカモシタ ユナイテッドアローズのシャツは、マスタード的なペールトーン、ロングポイントのレギュラーカラーに注目しています」。コート¥47,000 Lavenham タイ¥12,000 United Arrows/both by United Arrows Roppongi Hills(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店Tel.03-5772-5501) スーツ、シャツ property of Yasuto Kamoshita
<本連載の過去記事は以下より>
Vol.7 春にこそ着たいベージュ&オフホワイト
Vol.8 2020年秋冬、装いの変化は?
本記事は2020年3月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。