Hilton Yokohama

【試泊記】海やジャズ、名物や特産品まで……横浜の魅力をぎゅっと詰め込んだヒルトン

March 2024

世界のヒルトンブランドがついに横浜に上陸した。大規模開発によって誕生した注目のエリアに誕生したヒルトンは、横浜の魅力に溢れている。幸運にも泊まる機会を得たので、詳しくご紹介していきたい。

 

 

text yukina tokida

 

 

Kアリーナ横浜を含むエリア全景。アリーナの右隣のタワーがホテルだ。

 

 

 

 2022年に続き、2023年も日本全国で新ホテルのオープンが相次いだ一年だった。横浜もそんなエリアのひとつで、なかでもひと際注目を集めたホテルといえば「ヒルトン横浜」だろう。人々に待ち侘びられていたヒルトンブランドがようやく横浜に上陸したのだ。

 

 ヒルトン横浜がオープンしたのは、2023年9月のこと。横浜駅東口から徒歩11分の場所にあるケンコーポレーションによる大規模開発によって誕生したエリアに位置しており、世界最大級の音楽に特化したアリーナ「Kアリーナ横浜」やオフィスが入る「Kタワー横浜」に隣接している。

 

 すぐそばを流れる川には横浜名物の「シーバス」が行き交い、時間帯によっては貨物列車も通る。横浜の他のホテルともひと味異なる景色を客室から楽しめるのだ。

 

 

筆者が宿泊した客室からの景色。川にはちょうどシーバスも見える。

 

 

 

 デザインコンセプトが「Yokohama Deco」というだけあって、館内ではアール・デコのエッセンスを感じられる。例えばクルマで到着したゲストを最初に迎えてくれるメインエントランスにあるのは、ロビーへと続く優美な螺旋階段。上品さと華やかさを備えたゴールドの手すりと光沢のある白い階段は、まるで往年の映画のワンシーンを思わせる。

 

 また、メインエントランスをはじめ、ホテル館内には随所にアート作品が飾られている。どれも横浜をテーマとしたものであり、いずれもこのホテルのために制作された唯一無二のアートピースだ。ジャズ発祥の地として知られる横浜。「音楽」もホテルのテーマのひとつであるため、ホテルの中にいるとどこにいても音楽に触れられる。館内で流れているBGMやバーの生演奏も基本的にジャズという徹底ぶりだ。

 

 

メインエントランスに華を添える、見事な螺旋階段と楽器のホルンをイメージした作品。館内のアートピースも音楽に関連したものが数多く展示されている。

 

 

3階のロビー。アール・デコのエッセンスがそこかしこに感じられる。

 

 

 

 3階に位置するのは自然光が差し込む明るいロビー。天井高約7メートルという高さを確保し、床から天井まで窓を配すことで、低層階に位置しているのにも関わらず広々とした空間が広がる。パーテーションや絨毯の柄にも、上品なアール・デコのモチーフを見つけられるだろう。古き良き時代のエレガントさに、現代らしいモダンさが見事に融合されている。

 

 同じく3階にはバー&ラウンジ「Melody(メロディー)」も位置している。ここでひと際目を引く、高さ約7メートルものボトルタワーは、ニューヨークのクライスラービルをモチーフにしたもの。ここには約400本のお酒が並んでいるという。鏡張りになった天井に向かってどこまでも真っ直ぐ伸びるその姿に、誰もが非日常感を覚えるだろう。11時から営業しているため、ティータイムに気軽に利用できるのも嬉しい。バーは17時からの営業だ。

 

 日〜水の夜にはピアノの生演奏、木〜土の夜にはここでピアノとボーカルによるジャズの生セッションも(ミュージックチャージなし)行われる。多彩なカクテルが数多くあるが、まず飲むべきシグニチャードリンクは「メロディー・レモンサワー」。ジンベースに、オリジナルのレモンシロップやソーダ、さらにはローズマリーやコリアンダーパウダーが加わった、さっぱりとしつつも奥深さのある一杯だ。

 

 同フロアにはホテルショップ「Oasis(オアシス)」も。横浜を代表する銘菓「ありあけ横濱ハーバー」をはじめ、地元で造られたワインやジュース、ハムなども販売されているため、ホテル内だけで横浜土産を調達できる。

 

 

バー&ラウンジ「Melody」。奥にそびえ立つのが自慢のボトルタワーだ。窓の外には横浜の夜景が広がる。

 

 

バー&ラウンジ「Melody」のシグニチャードリンクのひとつ「メロディー・レモンサワー」。

 

 

 

 5階に位置する「エグゼクティブラウンジ」では、ジャズ発祥の地としての横浜を体感できるだろう。入り口すぐのライブラリーエリアには全国から集められた横浜の歴史やジャズなど音楽関連の書籍やレコードが並んでおり、壁に飾られたアート作品には愉快に演奏するミュージシャンたちが描かれている。

 

 スイートルームもしくはエグゼクティブフロアに宿泊したゲストであれば、ここでチェックイン&チェックアウトが可能。フードプレゼンテーションは、ティータイム(10:00〜17:00)、カクテルタイム(17:00〜20:00)、朝食(7:00〜10:00)の計3回入れ替わる。現時点ではまだ解放されていないのが残念だが、テラス席も擁しているため夏場にはここでドリンクを楽しむことも叶うかもしれない。

 

 ドリンクやスナックにおいても、横浜の地ビール「横浜IPA」やクラフトソーダ「湘南ゴールドサイダー」「横浜サイダー」などこの地に根付いたアイテムが数多く用意されている。

 

 

エグゼクティブラウンジに入るとすぐ左手に現れるライブラリー。ジャズに関連するさまざまな書籍やレコードが並ぶ。

 

 

座席数は全102席。広々としたラウンジだ。

 

 

朝食の時間帯には温かい料理も並ぶ。ホテルラウンジとしても珍しい「はちみつ巣みつ」も用意されている(写真左側)。チーズやヨーグルトとともに堪能したい。

 

 

 

 ホテル内でのディナーなら、ホテル2階に位置する「Ocean Milano Seafood & Roast Beef(オーシャン ミラノ シーフード&ローストビーフ)」がおすすめ。“もしもミラノに海があったら”をテーマに作り上げられた店内は、豪華客船を思わせるクラシックで木の温もりに溢れる空間だ。壁に配されたレトロな照明や各所にディスプレイされている船の模型など、遊び心を感じる要素も散りばめられている。

 

 初めてなら、まずはコース「REGALO/贈り物」を。筆者が訪れた日は、すみイカとカリフローレを合わせたアミューズからはじまり、アカヤガラ、ロブスターとカニにキャビアを添えた「厳選魚介のフルイドメール ミラノスタイル」、「蒸し鮑のポワレ」、金目鯛とクエ、野菜の出汁を使った「市場直送 魚介類のブイヤベース」、そして「黒毛和牛のローストグリル」にデザートというメニュー構成。新鮮なシーフードだけでなく肉まで楽しむことができるコースだ。ワインについても100種類以上ラインナップしているため、各料理に合うワインをソムリエに選んでもらうペアリングをチョイスしたい。

 

 

「Ocean Milano Seafood & Roast Beef」。落ち着いたブラウンの色味に、鮮やかなブルーのコンビネーションが上品な空間を演出。

 

 

トマトソースをベースにレモンジュースと西洋わさびを加えたピリ辛なカクテルソースとともに頂く「厳選魚介のフルイドメール ミラノスタイル」は、ライムを絞ってさっぱりと。

 

 

プチヴェールとじゃがいものブーランジェールを添えた「蒸し鮑のポワレ」はセロリとマッシュルームのソースとともに。

 

 

「黒毛和牛のローストグリル」。手前はトリュフソースと、奥は牛肉のおいしさを存分に味わえるようそのままで。左側のソースはパースニップ(白にんじん)のピューレ。天然のエジプトの塩も添えられている。

 

 

 

 宿泊の際におすすめの客室は、客室が位置する7階から25階の各フロアに一部屋だけある「エグゼクティブスイートルーム」(81㎡)。十分なスペースが確保されたベッドルームとリビングルームに加え、ダブルシンクやウォークインクローゼットも完備している。バスルームには特注サイズの特大バスタブを備えているため、入浴タイムも存分にくつろげるだろう。スイートルーム特典として、ミニバーが1回分無料となるだけでなく、モルトンブラウンのアメニティも用意されている。

 

 

「エグゼクティブスイートルーム」のリビングルーム。左奥にはベッドルームが広がる。全室にスピーカーを完備しているが、スイートだけはマーシャル社のものという特別仕様。

 

 

ふたりで宿泊する際も快適なダブルシンク。

 

 

バスルームは広々とした特注のバスタブを完備。

 

 

 

 翌朝の朝食は、ホテルの名物ともいえるビュッフェがおすすめ。先述の通りエグゼクティブラウンジでも朝食は提供されているが、オールデイダイニング「Parade(パレード)」でのそれをぜひ体験していただきたい。追加料金(1人税サ込3,800円)で、毎日150種類以上のラインナップのなかから和洋中、そしてライブキッチンでのオムレツやハワイアンパンケーキまで、選びきれないほどのメニューの中から好みの朝食をチョイスできる。

 

 たとえばサラダひとつをとっても、8種類ものデリサラダや6種のサラダアペタイザーなど、豆サラダやキヌアサラダ、ニース風サラダやブロッコリーのサラダなど10種類以上もラインナップしているほど。また、地元で採れる食材をなるべく使用し、地産地消にも積極的に取り組んでいる。こんなものまで横浜で作っているんだ、という新たな気づきも得られるだろう。ひとまず1周して、その日の気分に合わせた自分だけの朝ごはんを満喫したい。

 

「Parade」がすごいのは、朝だけでなくランチ、アフターヌーン、ディナーもビュッフェスタイルで一日中オープンしていること。館内のダイニングの数を他のホテルと比べて抑えていることもあり、各ビュッフェに対する情熱もすさまじい。

 

 点心なども時間帯によっては並んでいるのだが、ここだけのために中国料理専門のシェフが在籍しているほど。ちなみにアフタヌーンティービュッフェでも、カレーは2種類、タコスや自家製麺のパスタなど食事系メニューも常時充実している。

 

 

「Parade」での朝食の一例。和や洋にとどまらず、中国料理やカレーまで幅広く揃う。ライブキッチンで作ってくれる「ハワイアンパンケーキ」も人気メニューのひとつ。

 

 

「Parade」の内観。横浜の港や庭園、鳥籠がイメージされており、ホワイトや緑、ゴールドが基調となったオアシスのような空間が広がる。土日のランチ・アフタヌーンティービュッフェには席と席の間をミュージシャンが演奏して回るという驚きのパフォーマンスも行われる(ここでも音楽へのこだわりが徹底されている!)。

 

 

オールデイダイニング「Parade」のエントランスにはテイクアウト用のショップも。パティシエ渾身の見た目も可愛らしいケーキやチョコレートが並ぶ。

 

 

 

 

 横浜でいつもと違う滞在を求めているならば、ヒルトン横浜こそその願いを叶えてくれるだろう。近場でのホテルステイで、日頃の疲れを手軽にリセットしたい。

 

 

 

ヒルトン横浜

神奈川県横浜市西区みなとみらい6-2-13

TEL.045-641-8100

hiltonyokohama.co.jp