「フェラーリに反するものとは何か」

November 2026

CEOが語った哲学と、初のBEV『ルーチェ』が示す跳ね馬の未来

 
 

「フェラーリに反するものをご存知でしょうか。それは、“オートメーション”、“モビリティ”、それと“ユーティリティ”です……」。

去る9月下旬、東京ミッドタウン(六本木)で行われたイベントのプレビューで、マラネッロから来日したフェラーリCEOベネデット・ヴィーニャ氏はそんなことを口にした。フェラーリを理解する上での重要なキーワードだろう。彼らがプロダクトを開発する時に使う指標になっていると思われる。製品への強いこだわりだ。そして「イノベーションとお客様がコストよりも先にある」と続けた。

 
 

イベントは、9月26日から10月4日までの9日間行われた「Ferrari Festival Tokyo 2026」である。ブランドの革新性とヘリテージを体感するスペシャルな催しだ。スペシャルなのはこれまでとは異なる海外で行われる初めてのコンテンツが並ぶ。彼らにとって日本は北米に次ぐ第二のマーケットだけに、魅力的な内容がてんこ盛りとなった。フェラーリユーザーはもちろん、初めてフェラーリに触れる人々にとっても印象深いものとなっている。

 
 

目玉は今世界中で話題のルーチェのお披露目。日本でのローンチに先駆け、招待客限定で内覧された。マラネッロのマルチエネルギー戦略のもと、彼ら初のBEVとして開発されたモデルだ。まったく新しいアーキテクチャーと専用プラットフォームでつくられたそれはシステム最高出力1050cvを発揮する。0-100km/h加速わずか2.5秒としながら航続距離は530kmに達するのもすごい。デザインはかつてアップル社のデザイン部門を統括していたジョニー・アイブ率いるクリエイティブ集団「LoveForm」が手がけた。これまでにない斬新さが前面に押し出されている。プレビューでメディアに説明してくれたのはプロダクトマーケティングのグローバルヘッド、エマニュエル・カランド氏。熱いトークが印象的だった。

 
 

こうしたプロダクツ以外では、フェラーリのパーソナライゼーションに触れられることができた。“アトリエ・エクスペリエンス”はスペシャリストとともに、素材やカラーを選びながら形作っていくプロセスを体験する。大量の素材の中から選ぶことの難しさもそうだし、顧客の要望に細かく応えていることを学ぶ。その意味では別角度からフェラーリのこだわりを知るプログラムと言えるであろう。

これ以外では招待制でアマルフィの試乗なども行われた。走る姿を見るのも刺激になる。自分が運転席に座る妄想を描いた人は少なくないはずだ。

 
 

いずれにせよ「Ferrari Festival Tokyo 2026」はフェラーリの今に触れるチャンスであったのは間違いない。冒頭のベネデット・ヴィーニャ氏はこんなことも言っていた。「“ものづくり”と“おもてなし”で知られる日本ですが、これはフェラーリが大事にしていることと同じです」と。日本でフェラーリが人気なのはそれらも関係するのだろう。両者の親和性は高いということだ。となると、このイベントも次回があるかもしれない。今回逃した方はぜひ次回足を運ぶといい。