ESSENTIALS OF THE MASTERS: ALBERTO CAMERLENGO

世界の一流が愛するもの
アルベルト・カメルレンゴ

Monday, May 24th, 2021

近年ではメンズコレクションを強化し、絶好調のフルラを牽引する敏腕CEOの興味は、ステータスよりもサステナビリティ。

自分をひけらかさず、権力や見栄とは対面にある控えめな男が選ぶクオリティを追求した品々とは?

 

 

 

text miki tanaka

photography alessandro ottaviani

 

 

 

ALBERTO CAMERLENGO

アルベルト・カメルレンゴ

イタリア・ミラノのボッコーニ大学卒業後、外資系企業にて経験を積み、その後、フォッシル、ブルックスブラザースで要職を経て、2011 年よりフルラに入社。チーフオペレーティングオフィサーを務めた後、2017 年より同社CEO に。

 

 

 

Q1. 一番好きなスーツはどんなモデルですか?

 すべてのファッションアイテムに関してそうなのですが、私はイタリア製のものにこだわっているので、スーツも基本的にすべてイタリア製です。特に好きなブランドはカルーゾとタリアトーレ。幸運なことに私はプレタの48サイズがぴったり合うので、既製品で全く問題ありません。ネイビーの無地のスーツが多く、それだけで20~30着は持っています。モデルはスリムフィットで、ダブルのジャケットが好きです。

 

 

Q2. 一番好きなシャツは?

 スーツはプレタでもよいのですが、シャツはやはりス・ミズーラのほうが着心地がよいので、すべてナポリの職人に仕立ててもらっています。シャツは白無地のみと決めているので、セレクトに困らなくていいですよ。私のクローゼットにはネイビーのスーツと白のシャツがずらりと並んでいて、結局のところ私はいつも同じスタイルなんです(笑)。

 

 

Q3. 一番好きなタイは?

 ネクタイはあまりしないのですが、必要なときには、ネイビーをメインとした暗めの色で、無地が小紋のネクタイをします。ネクタイに関しても、ロダやプラダなどのイタリアンブランドのものが多いのですが、日本に行ったときにフェアファクスのネイビーのネクタイを買ってからはこれがお気に入りです。たまたま見つけたのですが、日本のブランドだと後で知って驚きました。

 

ネクタイはネイビーの無地や小紋のものがほとんど。特にお気に入りの3本、プラダ(右)、ロダ(中)、フェアファックス(左)。

 

 

 

Q4. カジュアルアイテムのお気に入りは何ですか?

 Tシャツにチノ、シャツにジーンズ・・・というようなスタイルが多いです。アウターはストーンアイランドが好きですね。これもイタリア製品へのこだわりでもあり、また機能性が高いという点でも評価しています。カジュアルなシーンでのバッグはフルラのメルキュリオのバックパックを愛用しています。

 

カジュアルなシーンではフルラの「メルキュリオ」のバックパックを愛用。

 

 

 

Q5. 一番好きな靴は?

 フォーマルなシーンではサントーニのひも付きのウイングチップを愛用しています。スニーカーが好きなので、スーツにもスニーカーを合わせることが多く、そういう場合は白やネイビーなどのライトなデザインのものを選びます。フェラガモのスニーカーを愛用していますが、本当はフルラのスニーカー、ヒカイア ロウを履きたいと思っています。これは基本的にはウィメンズ用ですが、ユニセックスでも使えるデザインなので、サイズが小さめの男性たちにも愛用者が多いらしいのです。私は残念ながらサイズが合わないのですが、メンズサイズを今後検討し、製品化することになったらぜひ手に入れるつもりです。

 

スニーカーが好きで、シンプルなデザインのものならスーツにも合わせる。フルラの「ヒカイア ロウ」はウイメンズながらユニセックスで使える一足で、カメルレンゴ氏も隠れたファン。

 

 

 

Q6. どんな鞄を愛用されていますか?

 フルラのメルキュリオというトートバッグを愛用しています。ちょうどA4が入るサイズで、中にたくさんのポケットがあり、真ん中にはジッパーポケットの仕切りもあって便利です。またクロコ風の型押しという点も大事です。フルラは動物保護の観点からエキゾチックレザーは使わず、レザーも食肉用の牛からとった革のみを使用しています。またフルラのドキュメントホルダー、マルテ・ボールドもその使いやすさからかなり気に入っています。

 

ご愛用のトートバッグ、フルラの「メルキュリオ」トートバッグ(上)と「マルテ・ボールド」ドキュメントホルダー(下)。機能性もデザイン性も高く、ビジネスシーンで活躍。

 

 

 

 

Q7. その他ファッションアイテムで愛用しているものは?

 1920~30年代のアメリカのBaer & Wildeという今はもうないブランドのヴィンテージカフリンクスを愛用しています。Kum A Partシリーズのスナップ式のもので、たくさんの種類を持っていますが、特にブルーストーンと黒のストライプのものがお気に入りです。

 

Baer & Wildeのヴィンテージカフリンクスを愛用。

 

 

 

Q8. 愛車を教えてください

 私は自分のクルマを持っていません。可能な限り自転車を使い、バイクシェアリングもよく利用します。そうでなければ遠方に行くときは電車、ミラノ市内では地下鉄、という具合に積極的に公共機関を利用し、どうしても必要があるときだけ社用車に乗っています。これはサステナビリティを考えてのことで、社員にもその姿勢を推奨しています。フルラ社では昨年から、クルマを無駄に使わないようにするために、車移動の際に社員同士がなるべく同乗できるようにするためのシェアリングのアプリを作っています。使用しただけポイントがたまる仕組みになっていて、年間で最も多く利用した社員には賞が与えられます。

 

 

Q9. お気に入りのフレグランスは?

 長年愛用しているのが、サンタ・マリア・ノヴェッラのアクア・ディ・コローニャ・タバッコ・トスカーノです。軽くて、控えめな香りなのが気に入っています。

 

サンタ・マリア・ノヴェッラ修道院薬局の「Acqua di Colonia Tabacco Toscano」。オリエンタルな香りにフローラルとバニラの香りがミックス。

 

 

 

Q10. 一番好きなレストランはどこですか?

 私は仕事柄世界中を旅しますし、好奇心旺盛なため行く先々で色々な料理にチャレンジするので、ひとつ選ぶのは難しいのですが、あえて挙げるならイタリア・モデナのオステリア・フランチェスカーナ。世界的に有名な3ツ星レストランで、想像を超える創作料理でありつつ伝統的なイタリアンでもある料理には感服します。好きなメニューは「さまざまなスタイルと温度で仕上げた5種のパルミジャーノチーズ」です。

 

三ツ星店「Osteria Francescana」の「Five agesof Parmigiano Reggiano in different textures and temperatures」。 www.osteriafrancescana.it/

 

 

 

Q11. お気に入りのインテリアは何ですか?

 私はデザインプロダクツにとても興味があり、特にバウハウス時代の製品が好きです。お気に入りの製品は、マルセル・ブロイヤーが1925年にデザインしたノルのワシリーチェアや、ル・コルビュジェが80年代にデザインしたカッシーナのシェーズロングLC4、ノーマン・フォスターがデザインしたテクノ社のノモス・テーブルなど。フォスターのテーブルは私のオフィスで使っています。

 

オフィスで使っているテーブルはノーマン・フォスターによるデザインのテクノ社製「Nomos」。

 

 

 

Q12. お気に入りのお酒はありますか?

 お酒はあまり飲みません。ただ、私は無類のチョコレート好きで、チョコレートと一緒に飲むラムだけは例外です。好きなのは、グアテマラのラム、ロン サカパ・チェンテナリオ・ロイヤル・ソレラ・グラン・リセルヴァ・エスペシアルです。チョコレートのお気に入りはイタリアのドモーリのもので、70~80%のフォンダンチョコが好きです。中でもクリオッロというタイプが一番好きで、それがないときはトリニタリオ。毎日ひと箱は食べています・・・。もちろん、いつもラムと一緒ではありませんよ(笑)。

 

チョコレート好きでドモーリ社の「Trinitario」や「Criollo」がお気に入り。

 

 

 

Q13. 今までで一番よかったと思うホテルは?

 好きなホテルが3つあり、ひとつはロンドンのショーディッジにあるエースホテル。デザインがとてもクールでアップデートされています。ふたつ目は香港のランドマーク・マンダリンオリエンタル。ホテルスタッフの細かな気配りが行き届いていてとても快適に過ごせます。チェックインの際、自分が名乗る前に向こうから名前で声をかけてくれるのには驚きです。インターネットなどで予約客の写真などを前もって調べてあるのだと思うのですが・・・。そしてもうひとつが東京のパレスホテル。控えめなラグジュアリーさが漂うホテルで皇居のすぐそばというロケーションも最高です。

 

好きなホテルのひとつ、「Ace Hotel」。※ロンドン・ショーディッチのエースホテルは2021年5月現在廃業。

 

 

 

Q14. 今までで一番よかったと思うリゾートは?

 南アフリカのケープタウンの南東のほうのガンズベイにある、グルートボスというリゾートは素晴らしかったです。山と森、そして海・・・と周りを美しい自然に囲まれ、外からは全く隔離されたプライベートな空間です。海と山が共存するのはちょっとトスカーナを連想させます。バカンスでは人がいないところに行きたいので、このような場所は最高です。

 

南ア、ガンズベイにあるリゾート「Grootbos」。www.grootbos.com/en

 

 

 

Q15. 好きなエアラインは?

 エミレーツ航空です。仕事で飛行機に乗ることが多いので大事なのは遅延せずに目的地に着くことと、サービスがよくて旅が快適であること。エミレーツ航空はサービスの質がとても高いので気に入っています。

 

 

Q16. ベストな音楽は?

 私の好きな音楽のジャンルはジャズで、イタリアのジャズミュージシャンのパオロ・コンテをよく聴きます。特に『Happy Feet』と 『Gelato al Limon』という曲を聴くと幸せな気分になります。彼のアルバムの中では1990年に発売された『Parole d’amore scritte a macchina』が好きで、これは前出の2曲を含め、私の好きな曲がたくさん入っている1枚です。

 

パオロ・コンテのアルバム『Parole d’amore scrittea macchina』。

 

 

 

Q17. ベストな映画は?

 ガブリエレ・サルバトーレス監督の『エーゲ海の天使』とマッシモ・トロイージ監督の『イル・ポスティーノ』(1996年)です。前者はアカデミー賞の外国語映画賞をとった1991年の名作です。一方、後者はこの映画を撮り終えた直後に亡くなった、トロイージ監督の貴重な遺作です。意識しているわけではないのですが、私はどうやら海や島を舞台にした映画が好きなようです。母の実家がトスカーナの海沿いの街、リヴォルノだったせいもあるのかもしれません。

 

 

Q18. 好きな本は?

 好きな本は2冊あり、1冊はカリール・ジブランの『The prophet(預言者)』です。愛、友情、死、子供など人生に関するさまざまなテーマをとりあげ、それを“預言者”に質問し、“預言者”はそれにメタファーを使って答えるというやりとりが詩の形式で書かれています。人生において、これを読む時期によって自分自身でも受け取り方が違うので、何度も繰り返し読んでいます。もう一冊は、フルラの創業者であるジョヴァンナ・フルラネットが書いた、フルラネットファミリーとフルラの歴史についての本『A String of Pearls』です。これは非売品で社員だけに配られたものなのですが、素晴らしい本なので外部の方に販売されないのが惜しいくらいです。ジョヴァンナが初めて日本に単身で市場開発に乗り込んだときのことや、その後日本と築いていった絆についても書かれています。

 

フルラ社創業者ジョヴァンナ・フルラネット著『A String of Pearls』。

 

 

 

Q19. 今いちばん夢中になっているコトは?

 夢中になっているというか、大切にしているのは家族と一緒に過ごすことです。17歳の娘と14歳の息子と映画を観たり、本を一緒に読んだりショッピングする時間を楽しんでいます。個人的な趣味としてゴルフや水泳も好きです。

 

 

Q20. 今一番欲しいものは?

 プライベートな時間。仕事に多くの時間をとられるので、家族ともっと一緒に過ごす時間や自分のための時間が欲しいです。自分の好きなことのために好きなだけ時間が使えたらいいなと思います。お金で買えるなら買いたいぐらいです。

 

 

Q21. 今度の休日は何をする予定ですか?

 次のバカンスは喧騒から離れた自然に囲まれたところに行きたいと思っていて、家族と一緒にカナダのニューブランズウィックに行こうと考えています。またフンディ自然公園に行って動物を見たりしたいと思います。

 

紺のスーツに白シャツという着こなしがメイン。この日のスーツはカルーゾ。「自分が表に出るのは苦手」という、イタリア人らしくない控えめなCEOだ。

 

 

 

本記事は2019年9月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue30