EDWARD GREEN : BRITISH SHOEMAKING BRILLIANCE
足元はやっぱり英国靴
エドワード グリーン
July 2020
1890年以来、エドワード グリーンは、世界の靴製造の中心地であるノーサンプトンシャーの工房にて、
そのできあがりを首を長くして待つ紳士たちのために、靴を作り続けている。
text freddie anderson
キャップトウのオックスフォード・シューズは、グローブ・トロッターやフェドラハットと同じく、英国の象徴そのものである。
英国首相がマーガレット・サッチャーの時代……マンチェスターの繊維貿易、ニューカッスルの鉱山、そしてノーサンプトンシャーの靴製造業は完全に死に体だった。経済推進政策の下で、雇用問題は後回しにされた。かつてノーサンプトンのシンボルだった靴工房は、その多くが住宅地となった。靴の生産は中国などの海外に移り、安い労働力によって、英国の産業は滅亡寸前となった。
数十年の衰退の後、ここ10年の間に、英国の靴産業は再びルネサンスを迎えた。不毛の時代を生き延びた数少ない靴メーカーでは、注文は増加し、生産は活況を呈している。
皮肉なことに、サッチャー時代を生き延びたブランドの製品は、中国のような場所で消費されているのだ。遠く離れた韓国やフィリピンのマーケットが、ノーサンプトンのライフラインとなっている。世界が豊かになり、人々は贅沢を求め、伝統に裏打ちされたハンドメイド靴が好まれているのだ。
エドワード グリーンを代表する202ラストによって形作られたストレートチップ“チェルシー”は、同社のベストセラー・モデルだ。どんなスタイルとも合わせられる名靴である。
この世界的な傾向によって、大成功したブランドがエドワード グリーンである。130年前、同名の人間によって設立された、ノーサンプトンでもひときわ有名なこの靴製造業者は、ハイレベルな手仕事を提供し続けている。その生産量は週に350足という控えめなものだ。
作家、小説家、冒険家、そして酒好きのアーネスト・ヘミングウェイはエドワードグリーンのブーツを履いていた。アメリカの作曲家、コール・ポーターは、グリーンをコレクションしていた。ブレイキング・ルールで知られるスタイル・アイコン、ウィンザー公もパトロンだった。現代においても、スタイルのエリートたちはグリーンを愛用し、メイド・イン・イングランドの遺産として、そのクオリティを賞賛している。