DELIY “Nep Gabardine Jacket”
レディースブランドの経年変化を愛せる服
April 2023
text & photography yuko fujita
デリーは2022年にスタートしたレディースのブランドで、尾張一宮を拠点としており、母体はメゾンブランドの生地なども手がけている産元だ。「経年変化を愛せる服」をブランドのテーマに掲げるデザイナー村瀬摩里子氏の生地使いは常にいい塩梅のツイスト感があり、そのセンスが抜群にいい。
こだわりの素材はネップがいい表情を生み出している遠州産のコットンギャバジン。洗いをかけたあと余計なテンションをかけずに乾燥させているので、綿本来の洗いざらし感がいい感じに出ている。オフホワイトの生地は2色のパッチワークになっていて、この2色使いが程よい遊びを生み出し、ラギッド感を薄めてスッと街に都会に馴染んでくれるのだ。
アフターアワーズのリクエストに応えてパターンを起こし直してメンズにアレンジしたこちらのジャケットは、ややゆったりめのボディシルエット。フロントのボタンはひとつ少ない5個とし、レディース特有の抜け感のあるネックポイントをやや上に移動させながら、この服の醍醐味である襟回りのざっくりした雰囲気はしっかり残している。
ワークやミリタリーがベースになったデザインは、男性にとって着れば着るほど愛着が湧いてくるものだ。素朴な風合いのネップギャバジンは、ブランドのコンセプトを体現するかのごとく着れば着るほど馴染んでいく。この飾らないリラックス感が、今とても気分なのである。
何年も着て味わいが増すネップコットンギャバ
デザイナー村瀬摩里子氏の感性は女性的で、価値観は男性的だ。その二面性が融け合っているのがデリーの服の“ありそうでない”魅力である。オフホワイトとオリーブの2色展開で、オフホワイトは2色使いのパッチワークになっている。何年も着込んで洗いを重ねていくと、白っぽくなって徐々に馴染んでくる。1サイズ展開。ややゆったりめで着るのがいい。ネップギャバ パッチワークジャケット各¥51,700 Deliy / Afterhours