MARIO TALARICO “Ombrello Pieghevole”

【マリオ・タラリコ】雨の日が憂ゆううつ鬱でなくなる傘

December 2023

photography yuko fujita

 

 

すべて折り畳み傘だが、マリオ・タラリコが手がけると、こうも味わい深くなる。上から、モンテッラ産の栗の木で、皮を剝いだ“スコルテッチャート”仕様。¥34,100/カナダ産のヒッコリー。¥33,000/節があってそれがアクセントになっているヴェズーヴィオ火山のエニシダの木。¥35,750/南イタリアでもアドリア海側のプーリア州のニレの木を使用。¥35,200/竹のように木化した、とてもレアなサトウキビのハンドルは、先端の節が特徴。¥37,400/他社でもあるバンブーだが、ネクタイのような小紋柄がかわいらしい。¥35,200/ヴェズーヴィオのエニシダの木だが、曲げていないタイプで太さが魅力。¥35,750/モンテッラ産の栗の木で、こちらは皮がついた“コルテッチャート”仕様。¥35,750/タラリコの中でも非常に人気が高い、ソレント産のレモンの木。¥35,750 all by Mario Talarico / Afterhours

 

 

 

 1860年に創業したナポリのハンドメイド傘工房マリオ・タラリコは、地元のユニークな木を用いたハンドルといい、さまざまな柄のかわいらしいシルク調ポリエステルの生地といい、非常に個性が輝いている作り手だ。例えば、南イタリアの木ではプーリア産のニレのハンドルがあり、さらに範囲を狭めてナポリ近郊にフォーカスすると、ソレントのレモン、ヴェズーヴィオ火山のエニシダ、モンテッラの栗(皮付き、皮なしがある)といった木のハンドルを使用した傘がラインナップされている。

 

 コンパクトな折り畳み傘でこれだけ存在感を放っているタラリコは、唯一無二の存在である。今なおナポリのスペイン地区の入り口にある小さな店の小さな机の上でコツコツと作られており、味わい深さもサルトリアナポレターナに通じるものがある逸品だ。