CROCKETT & JONES : SKIN IN THE GAME
ローファーで“ぶらぶら”しよう
November 2020
クロケット&ジョーンズのラインナップに追加された4つのローファーは、新しい定番として愛されていくことだろう。
by nick scott
リッチモンドⅡはクラシックなペニーローファーで、盛り上がったエプロンのシームを特徴としている。376ラストを採用し、レザーとキャンバスのコンビも用意されている。フレキシブル・レザーソールを装備。エプロン裏には別ライニングが施され、履き心地もいい。
ローファーという名前は、ドルチェ・ヴィータ(甘い生活)にぴったりだ。“ローフ”という言葉は“何もしないで、ぶらぶらする”という意味だからだ。
今日私たちがローファーと呼んでいるものの中で、最も初期のものは、ロンドンの靴工房“ワイルドスミス”が1926年に、ジョージ6世の、「カントリーサイドの領地をぶらぶら歩くときに履く、柔らかくて快適な靴を」というリクエストに応えて作ったものだ。
現代のローファーのもうひとつの祖先は、靴職人のニルス・グレゴリウソン・トヴェランゲルによって作られたスリップオンだ。ノルウェーの漁師が履いていたレースのない靴にインスパイアされたもので、新大陸で靴の研究をしていたときに、ネイティブ・アメリカンの足元にも同じようなものを見たことがあったらしい。
1920年当時のファクトリーの様子を描いたイラストレーション。
アメリカはローファーが最初にファッション・アイテムとなった場所だ。アメリカで使われる“ペニー・ローファー”という言葉は、アメリカのプレップスクールの生徒たちが、緊急時の電話用コインとして、靴の甲のスリットに銀貨を入れていたことに由来している。
ローファーは今日、ますます愛される存在となっている。現代の洒落者にとって、ワードローブを考える上で、ドレスアップとドレスダウンは、もはや独立した選択肢ではないからだ。ローファーはカジュアル・アイテムだったが、現在ではドレスアップとドレスダウン、両方に使える。お堅い人は、きちんとしたテーラードにはフォーマル・シューズを合わせるべきだと言うかもしれないが、今ではローファーは、何にでも合わせることができるのだ。
往年の発送作業の様子(1920年)。