Claudio Cavaliere Interview

トゥールビヨンの魅力とは

August 2018

 

 

 貴重なアーカイブモデルの数々を目の前に語るカヴァリエール氏とともに歴代のトゥールビヨンモデルを眺めていると、伝統的なトゥールビヨンという機構を搭載しているということは同じでも、モデルのタイプは実にさまざまであることに気づく。

 

「1986年のモデルから30年以上になりますが、その間にさまざまなタイプのトゥールビヨンが誕生してきました。クラシックなドレスウォッチだけでなく、現代的なデザインのモデルにも搭載しています。もちろんスポーティなクロノグラフに搭載したものもあります。どれも印象は異なるものですが、オーデマ ピゲの時計のデザインはタイムレスなものですから、いつの時代にもマッチするのです」

 

 

カヴァリエール氏とともに来日した貴重なアーカイブピースの数々。ケースの素材・形はもちろん、ジェムセッティングしたモデルや、スポーティなロイヤル オークのクロノグラフなど、さまざまなモデルにトゥールビヨンが搭載されてきたことがわかる。いずれもダイヤル側からトゥールビヨンを眺めることができる。

 

 

 2018年の新作でもまた、ふたつの重要なトゥールビヨンモデルが発表されている。ひとつ目は、初のフライングトゥールビヨンを搭載した『ロイヤル オーク コンセプト・フライング トゥールビヨン GMT』。

 

「これは同時に発表されたレディース向けのハイジュエリーピースから開発がスタートしました。ダイヤルのデザインのコンセプトは雪の結晶です。ハイエンドモデルですから、複雑機構であるトゥールビヨンを搭載することになりましたが、トゥールビヨンも雪の結晶の一部になるようにデザインしたかった。しかし、ブリッジをダイヤル上につけてしまうと、デザインコンセプトが損なわれてしまうと考えました。つまりブリッジをなくしたほうが、立体的なつくりも際立ち、美しく見えると判断したのです。メンズもまたフライングトゥールビヨンを採用することで、より一層、動きを見ることを楽しめる、魅力的なモデルに仕上がっていると思います」

ロイヤル オーク コンセプトコレクション初のレディースモデル『ロイヤル オーク コンセプト・フライング トゥールビヨン』。雪の結晶をデザインモチーフとしており、オープンワークが施された文字盤から6時位置にフライングトゥールビヨンを眺めることができる。手巻き、18KWGケース、38.5mm。価格は要お問い合わせ。12月発売予定。Audemars Piguet

 

 

一方、メンズモデルはサンドブラスト加工が施されたチタンとブラックセラミックを組み合わせた力強いスタイルで、現代建築のようなアシンメトリーデザインが非常にモダンな印象を与える。こちらは9時位置にフライングトゥールビヨンを備えている。手巻き、Tiケース、44mm。価格は要お問い合わせ。Audemars Piguet

上の2本とも1月のSIHHにて発表された2018年の新作。ブランド初のフライングトゥールビヨンを搭載して話題となった。

 

 

 もうひとつは、『ロイヤル オーク・トゥールビヨン・エクストラ シン』。2012年に発表されている人気モデルだが、今年は印象的な新しいタペストリー「エヴォリュティブ」が採用されている。

 

「これまでのタペストリーと異なり、6時位置のトゥールビヨンを中心として放射状に広がっていくような新デザインです。これにより一層トゥールビヨンに注目が集まる。トゥールビヨンが活きるデザインです」

 

 まさにオーデマ ピゲのトゥールビヨンの魅力である“見て楽しめる”を、存分に味わうことのできる新作となっている。

 

オーデマ ピゲのシグネチャーともいえるタペストリーに、新しく「エヴォリュティブ」パターンが誕生。6時位置のトゥールビヨンを中心として放射状に広がるため、よりトゥールビヨンを引き立たせている。また、ステンレススティールモデルにはプラムカラーが採用され、官能的な雰囲気が加味された。手巻き、SSケース、41mm。価格は要お問い合わせ。Audemars Piguet

 

 

「オーデマ ピゲのトゥールビヨンは、まず私たちのブランド自体を愛してくださる方に選んでいただいています。つまり時計作りに対する情熱やメカニズムに対する探究心を理解してくださる方。そこまで深くなると、メンズウォッチ、レディースウォッチといった性別の枠は超えるのです。トゥールビヨンだけでもこれだけのスタイルのバリエーションがありますから、さまざまなモデルの中からお気に入りの1本を見つけていただきたいですね」

 

 最後に、オーデマ ピゲの今後のトゥールビヨンモデルについて尋ねてみた。

 

「近年はコンセプトモデルでもさまざまな新作を発表してきましたが、今後もかなり型破りなモデルが登場する予定ですのでぜひ期待してください。ムーブメントも開発中ですし、デザイン的にも新しい意匠が生まれてくるでしょう。数年先までロードマップはできています。今はそこまでしか言えませんが……近い将来を楽しみにしていただければと思います」

 

 

 

オーデマ ピゲ ジャパン

03-6830-0000

www.audemarspiguet.com/jp/

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