Claudio Cavaliere Interview

トゥールビヨンの魅力とは

Wednesday, August 8th, 2018

 

世界中の時計愛好家たちを魅了しているスイスの名門時計ブランド、オーデマ ピゲ。

至高の時計のストーリーを語るグローバル・ブランド・アンバサダー、クローディオ・カヴァリエール氏が、

貴重なトゥールビヨンのアーカイブモデルとともに来日。その魅力について伺った。

 

 

Claudio Cavaliere

クローディオ・カヴァリエール

1972年、スイス・ジュネーヴ生まれ。機械工学と経営学を学んだ後、1997年にモバード・グループに入社し時計業界でのキャリアをスタート。グッチ ウォッチグループでプロダクトマネジャー、マーケティング部門を経て、2007年にオーデマ ピゲに入社。2014年よりその豊富な時計の知識を生かして“グローバル・ブランド・アンバサダー”に就任。

 

 

 

 少しでも機械式時計に興味のある人であれば、“トゥールビヨン”を知っているだろう。テンプとひげゼンマイから成る調速機が、地球上の重力による悪影響を受けるのを避けるため、回転し続けるキャリッジに収められることでその影響を平均化し精度を高めるという複雑機構のことである。非常に高い技術を要するため、高級時計におけるヒエラルキーの上位に位置し、超高額モデルの代名詞となっている。

 

 時計愛好家にとっては大きなロマンであり、ステイタスを表す憧れの機構のひとつだ。各ブランドから上位モデルにこぞって搭載されてきているが、近年は大量生産の実現によって価格破壊も起きつつあり、その存在意義が改めて問われている。オーデマ ピゲのグローバル・ブランド・アンバサダー、クローディオ・カヴァリエール氏は語る。

 

「どのようなメカニズムであれ、価格に影響する要素というのは3つあります。生産本数、生産の手法、そして装飾やデザインです。オーデマ ピゲは1年に生産する本数が限られていますが、中でも特にトゥールビヨンは限定されています。なぜならすべて職人の手仕事によって作られており、繊細な装飾が施されているからです。実際に手にとって見ていただければ、どれだけ時間と手間がかかっているか、すぐにおわかりいただけると思います」

 

 オーデマ ピゲにとってトゥールビヨンという機構を時計に搭載する意義とはなんだろうか。

 

「この機構が発明された当時から現代でも、時計としての精度を上げることにまず目的があるわけですが、なによりも“見て楽しめる”ことでしょう。誰もがその動きに目を奪われる。その時計に外観的な魅力を加味してくれる機構でもあるのです」

 

 

「オーデマ ピゲのトゥールビヨンは、ブリッジにはポリッシュ加工を施し、さらに歯車のひとつひとつにも装飾を施しています。歯車ひとつにひとりの職人がとりかかっても1日以上の時間がかかってしまうのです。ですから、工業化して生産する他ブランドのものとは異なり、非常に価値のある存在です」とカヴァリエール氏。

 

 オーデマ ピゲの腕時計に初めてトゥールビヨンが搭載されたのは、1986年。この1作目にして、当時として世界で最も小さく薄いトゥールビヨンモデルを実現していた。

 

「とても小さく、構造自体も非常に薄い。しかもダイヤル側から見えるように搭載されています。トゥールビヨンの魅力を活かすように作られていたのです。このモデルをきっかけとして、以降は他の機構、ときには3つ以上の機構を組み合わせられた時計が誕生しました。トゥールビヨン自体がかなり高度な技術を必要とする複雑機構ですが、クロノグラフやミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダーなどのさまざまな機構と組み合わせられたのです。つまり我々にとってトゥールビヨンは複雑機構の礎ともいえます」

 

 

1986年に発表された、オーデマ ピゲ初めてのトゥールビヨン搭載リストウォッチ。キャリバー2870にはプラチナ・イリジウム合金製の自動巻ローターを搭載。ダイヤルの左上にトゥールビヨンを配し、その動きを見ることができる。

 

 

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