CITIZEN “The CITIZEN”
今絶対に手にすべき大本命
October 2021
ラグのないケースとステンレス無垢のブレスレットは、ヘアラインとミラーの仕上げの組み合わせにより力強くシャープな印象だ。ドルフィン針とバーインデックス、スモールセコンドを配した正統派デザインのダイヤルには、「ザ・シチズン」の理想を象徴するイーグルマークを配した。放射状に広がるサンレイパターンに塗膜研磨を施して光沢感を持たせたブルーカラーが優美。「『ザ・シチズン』メカニカルモデル」 特定店限定モデル。自動巻き、SSケース、40mm。¥605,000 Citizen(シチズンお客様時計相談室 Tel.0120-78-4807)
光発電で駆動する「エコ・ドライブ」などで業界を牽引してきたシチズンが、実に11年ぶりとなる機械式の新作を世に送り出した。自社のフラッグシップに位置づける「ザ・シチズン」から発表したことからもその本気度が窺えるが、出来は注目と期待通り、出色となっている。
ひと言でいうなら、「日本とスイスの融合」。シチズンは2012年にムーブメント専門メーカー、ラ・ジュー・ペレ社を傘下にしており、以降、自社の技術者を同社に駐在させる形でスイスの時計製造文化を学び、技術交流を重ねてきたのだ。
新たに誕生した「Cal.0200」の特筆すべき点はふたつ。ひとつは精度の高さ。非常に高度な技術力を要するフリースプラング式を採用することにより、平均日差−3〜+5秒を実現。これはなんとクロノメーター規格を超える精度にあたる。もうひとつは仕上げの審美性だ。上面のサティナージュ(ヘアライン)、地板のペルラージュ、エッジの面取りなどにスイス伝統の技術が垣間見えるが、それらを豪勢な装飾というより必然の機能美として施している点がなんとも日本的といえる。
最新ムーブメントを収めるケースは、ラグのない大胆な面構成によりシャープで立体的な外観。ブレスレットとつながるデザインはどこかレトロを感じさせるが、時代の潮流を捉えたラグジュアリーかつスポーティなルックスに仕上がった。
それでいてこの価格は驚きだ。8月に発売を開始したが、売れ行きはかなり好調の模様。新たな歴史の一歩を刻むこのモデル、今買わない手はないだろう。
自社設計・自社組立の「Cal.0200」は、ケース裏から鑑賞できる。華美な派手さはないが、機能的な美しさが追求されており、ひとつひとつの部品の仕上げや歯車の連なりが美しく見えるよう絶妙に配置されている。