BRINGING IT HOME
ハケットの“サヴィル・ロウ”を体験する
August 2020
text tom chamberlin photography kim lang
THE RAKEのセルビア人スタッフ、アレックス・ツヴェトコヴィッチは、「ファン・カルロスのフィニッシングは素晴らしいが、彼はそれをよりよく見せる術にも長けている」と言った。
つまり言い換えると、私がJ.P.ハケットで選ぶべき生地は、ソフトではなく、少し硬いほうがいいということだ。そのほうがファン・カルロスのウデが冴えると思った。そこで私はハーディーミニスの“フレスコⅢ”と呼ばれるハイツイスト・ウールを選ぶことにした。このようなフレスコの場合、9/10オンスの厚さだと、暖かい季節にいいので、オートミール色を選んだ。バンチにはそのようなニュートラルな色合いがたくさんあった。
デザインを選択するプロセスは、コラボレーションでなければならない。一方では店側の申し出を聞き、そしてもう一方では私の好みを伝えるのだ。そして彼らがどうリクエストに反応するかも見たかった。私の場合、傾いた右肩、太い首周り、典型的なオヤジ体型という問題を抱えている。ジャケットはクラシックな6つボタン、サイドベンツをリクエストした。丈は私が好きな長さにした。裾から2インチほど短く仕上げるのだ。彼は私が今まで試したことのない、新しいデザインもオファーしてくれた。
トラウザーズはファン・カルロスがデザインしたものを選んだ。ファスナー式で、2つボタンの広いウエストバンドを備えている。私が定番だと考える、ダブルプリーツでターンナップ付きのトラウザーズに組み合わせてみたかった仕様である。サイドシームはラップシームという特別縫製になっていた。